【リーグ後半戦展望】----------
もちろん失点はゼロがベストだが、現在の千葉は選手がゴール前に引いて守るサッカーは目指していない。また、２、３人の選手に攻撃を任せてしまうようなチームでもない。時にはリスクを冒して全員で攻めてゴールを狙うサッカーをする以上、堅守を目標としていても失点の可能性は常につきまとう。
だからこそリーグ戦で優勝争いに絡み、ヤマザキナビスコカップで連覇を果たすまでの千葉は、失点数よりも１点でも多く得点して勝つサッカーをやってきた。だが、リーグ前半戦は得点力不足という最大の課題が残った。
その得点力不足解消のため、千葉のフロントはアジアカップによるリーグ戦中断期間にＦＷレイナウドを獲得。前線で起点となり、タメを作って味方の攻め上がりを助けられるレイナウドの加入で得点力アップを目指し、より攻撃的なサッカーで上位浮上を狙う。その際に重要なのは、リーグ戦前半で見られたシュートへの消極的な姿勢を払拭することだ。
「ビハインドで試合の残り時間があまりないという状況になると、どうしても点を取らなきゃいけなくなるわけだけど、うちはそういう時のほうが攻撃のいい形が結構出てくる。それを試合の最初からとは言わないけれど、いいときの千葉はビハインドでなくてもそういう攻撃ができていた」とはＧＫ立石智紀の言葉だが、思い切りよく攻めきるサッカーを取り戻せば得点力は向上するはずだ。リーグ戦中断前には迷わずフィニッシュまで持ち込むサッカーが復活しつつあっただけに、それをより徹底させてゴールを狙っていく。
一方、守備面だが、リーグ戦中断前に一部の新聞報道での監督批判で謹慎処分になっていたＤＦストヤノフが、リーグ戦中断期間中に解雇の形でチームを去った。千葉にとって、的確なカバーリングでリベロとしてチームを支えるだけでなく、果敢なオーバーラップで攻撃を活性化させていたストヤノフの存在は大きい。特に守備面のダメージは大きく、千葉のフロントはストヤノフに代わる選手の補強を全く考えていないわけではないが、リーグ再開はＤＦの補強なしで迎えることになるようだ。
選手一人ひとりがこれまで以上に守備意識を高め、サボることなく連動して高い位置からのプレスでボールを奪うことが必要だ。昨シーズンから多くの選手の入れ替わりはあったが、全員で必死に守り、全員で果敢に攻めるという千葉らしいサッカーを全うすることがリーグ戦後半のテーマだ。
【後半戦のキープレーヤー】----------
レイナウド選手（ＦＷ / No.10）
得点力アップの鍵となるのが、今シーズン開幕時は空いていた背番号10をつけたＦＷレイナウドだ。彼がどれだけ早く千葉のサッカーを理解し、チームにフィットできるかがポイントとなる。レイナウドは千葉加入後初の練習試合（対筑波大戦）ではまだコンディションが万全ではなかったものの、いきなりゴールをゲット。得点能力の高さを証明したレイナウドには、彼自身のゴールはもちろん、2005年から昨シーズンまで千葉に在籍したＦＷハースのように前線で味方をサポートするプレーも求められる。
また、今シーズンからキャプテンを務めるＭＦ佐藤勇人の復活も上位浮上のポイントだ。リーグ戦前半では負傷による欠場があったが、彼の粘り強い守備と前線への飛び出しがチームにもたらす効果は少なくない。さらに守備面では、リーグ戦開幕時は出場機会が少なかったベテランのＤＦ斎藤大輔の活躍が重要となる。ストヤノフの離脱後、経験の少ないリベロを務め、リーグ戦中断前の数試合では勝利に貢献する活躍を見せた。豊富な試合経験を活かしたコーチングとカバーリングで、ＤＦ陣を引っ張るキーマンとなる。
【前半戦の振り返り】----------
アマル オシム監督は就任時から失点数の多さを懸念していた。だが、守備強化のため獲得したＤＦジョルジェビッチは、負傷やコンディション不良もあってフル稼働できなかった。しかし第２節からの２試合連続３失点、第11節の４失点、第12節の３失点は目立ったものの、無失点や１失点で終えた試合はリーグ第18節終了時で９試合。失点よりも戦績に大きな影響を与えたのは得点力不足だった。元日本代表の黒部光昭、2005年から２年連続でＪ２日本人得点王の新居辰基といったＦＷを獲得したが、チーム全体として決定機をモノにできない場面が多かった。
また、パスをつないでボールを支配するものの、シュートへの積極性に欠けるプレーが散見されたことも大きな課題として残った。アマル オシム監督の指示通りボールを失うまいとする意識が、逆にフィニッシュまで手数をかけすぎる攻撃になり、相手を守りやすくさせてしまう。そして、思い切りのよいシュートが打てず、相手にボールを奪われてカウンター攻撃を食らって失点を招く形になり、リーグ第18節終了時で勝ち試合がわずか５という結果につながった。
【再開時のフォーメーション予想】----------
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攻撃陣はリーグ戦中断前と比べて大幅な変更点はないと思われる。リーグ戦中断前は１トップと２トップの両方を採用したが、１トップ採用時はタメを作ってボールをさばくことのできるＭＦ工藤浩平が好調だったのを活かすためだった。ＦＷ巻誠一郎は「１トップよりも２トップのほうがやりやすい」と話しており、巻とレイナウドの２トップが濃厚だ。左右のウイングバック、トップ下のレギュラーはリーグ戦中断前と変わらない。
それに対してＤＦ陣は３バックの形こそ変わらないものの、ストヤノフの解雇もあってメンバーが変わる。ストヤノフが務めていたリベロにはＤＦ斎藤大輔の起用が濃厚で、斎藤をストッパーで使うのであればＭＦ中島浩司が起用されるだろう。２人のストッパーのうち１人はＤＦ水本裕貴で確定だが、残る１枠は池田昇平、ジョルジェビッチ、結城耕造のＤＦ陣が争う形となる。そして、ボランチは２人のままで、怪我から復活したＭＦ佐藤勇人がＭＦ下村東美と組む。ＧＫは開幕時は岡本昌弘がスタメンだったが、岡本の一時的なジェフ・リザーブズへの登録変更をきっかけにレギュラーの座をつかんだ立石智紀が、そのままゴールを守っていく。
以上
2007.08.06 Reported by 赤沼圭子
