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【リーグ後半戦展望】----------
中断期間、新潟の大きな変化は2選手を放出したことだ。「チームの顔」とも言えるMF鈴木慎吾を大分へ、今季大宮から移籍してきたボランチのディビッドソン 純マーカスを神戸へ。ともに期限付きで移籍させた。そのことで、チーム内のポジション争いは激しくなった。レギュラーと控え選手の差をなくし、選手の質、層のレベルを上げることが後半戦の1つのテーマになる。
鈴木はフル出場こそなかったが、スーパーサブとして相手に脅威を与えていた。鈴木に代わる切り札的な存在の出現が必要だ。現段階では、MF田中亜土夢、FW河原和寿のU20日本代表コンビに期待がかかる。ともにU20ワールドカップでの活躍を生かし、チームで主力になることが後半戦の狙い。鈴木の移籍はチャンスでもある。
登録選手は27人から25人に減少した。田中、河原らの立場に見られるように、ベンチ外からベンチへ、ベンチからピッチへとチャンスが回ってくる可能性は高くなった。練習での集中度も高い。中断期間中に鈴木淳監督が徹底したのは戦い方の精度アップ。前線からのプレッシャーと攻守の速い切り替えが武器。人とボールを常に動かすスタイルをさらに浸透させ、守備のコミュニケーション、シュートの正確さなど細部のレベルアップに着手した。人数が少ないだけに、メニューとメニューのインターバルは短い。自然とよりハードな内容が課せられるようになった。
その蓄積をまず最初に形にしたいのが夏場のゲームだ。昨季は第14節から第23節までの10試合で1勝1引き分け8敗と大きく崩れた。7月下旬から9月中旬までの暑さの厳しい時期。「暑いとどうしても集中力を欠く。間延びしてしまう」。鈴木監督もこの点を最も警戒する。運動量が多い分、疲労も大きい。一歩目の攻防で先を越されると、ずるずると相手にペースを持っていかれる恐れがある。
克服する方法を、鈴木監督はまずメンタル面に求めた。フィジカルのベースはしっかりと鍛えてある。「疲れても先にプレスをかける、足を止めない。当たり前だけど、その気持ちを忘れてはだめ」。同時に、実戦練習ではバックラインでのボール回しなど、強弱をつけることも意識して行った。アグレッシブで、かつ、賢い戦い方をしっかりと行えるかがカギになる。
もう一つ、大事な使命がある。7月、新潟県中越沖地震が発生した。2004年の新潟県中越地震に続いて、またも天災に見舞われた。前回と同様、チームには被災地、被災者を勇気づけるという役目がある。
「一生懸命、戦うことで勇気を与えたい」(鈴木監督)。その思いが、無形の力になる。
【後半戦のキープレーヤー】----------
エジミウソン(FW / No.10)、マルシオ リシャルデス(MF / No.27)
千代反田充(DF / No.5)、永田充(DF / No.6)
坂本 將貴(MF / No.14)
10ゴールをあげ得点ランキング2位タイにつけたFWエジミウソンが絶好調だ。もともと夏場は得意。来日して4シーズン目だが、過去3年は中断期間明け直後の数試合で必ず得点をマークしている。大きな故障がないことも強みだ。そのエジミウソンを生かすのはMFマルシオ リシャルデス。プレースキックのほか、流れの中での的確なパスで周囲の味方を生かしている。特にエジミウソンのスピードを生かし、走らせる形でボールを出すパターンは練習中からはまってきた。
守備陣の課題はサイド攻撃の対処。フル出場を続けるセンターバックの千代反田充は、コーチング、カバーリングとそつなくプレーする。コンビを組む永田充とともに、両センターが相手のチャンスを阻むことで、攻撃陣にもリズムが生まれてくる。
上位争いを演じる中で、最終的に決め手になるのは気持ちの部分。千葉時代に修羅場をくぐってきた坂本將貴のリーダーシップが、重要な局面で期待される。
【前半戦の振り返り】----------
3位という順位以上に、戦い方が徹底できたことが大きい。「攻守にアグレッシブなサッカー」を昨季、鈴木監督が就任した当初から掲げていた。1年をかけて定着させてきたスタイルが、今季は結果に結びついている。今季、新潟は連敗していない。スタイルが徹底されている分、反省点もみつけやすい。気持ちの切り替えもしやすい。先制されても追いつき、逆転に持ち込む。第6節G大阪戦がそうだった。前半のうちに追いつくと、後半、矢野貴章のゴールで勝ち越した。勢いを失わない戦い方ができている。
もっとも、課題も見えてきた。第10節甲府戦から第18節広島戦まですべて失点している。無失点試合は3試合だけ。接戦が予想される後半戦は不用意な失点を喫しないこと。それが前半の戦いから見えた。
【再開時の予想フォーメーション】----------
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GKの北野、バックラインのメンバーに大きな変動はなさそう。左サイドバックは松尾のほかに坂本のケースもある。今季は目立った出番はないが、中野も好調を維持し、チャンスを伺っている。内田の守備は安定している。マルシオ リシャルデスとの連係でオーバーラップもスムーズに行う。
中盤は、本間が要になりそう。動きながらのパスワークは攻撃のリズムをつくる。千葉は守備的な役目に徹して、本間を生かす。故障で前半戦を棒に振った司令塔シルビーニョの復帰が近い。ボランチの組み合わせで、攻守のバリエーションが増える。坂本が下がった場合、左サイドハーフは松下のケースも。内に入る動きに正確さが加わった。
ツートップは矢野、エジミウソンの不動のコンビ。絶好調のエジミウソンに加え、日本代表で経験を積んだ矢野が、どれだけアピールできるかが見所になる。
以上
2007.08.09 Reported by 斎藤慎一郎














