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【リーグ後半戦展望】----------
ナビスコカップ準々決勝で川崎Fに惜敗した甲府。第2戦(国立)は甲府らしさを発揮できずに敗れてしまったが、第1戦(小瀬)のように前に向かうサッカーが出来れば強力な川崎F相手でも充分に戦うことが出来ることを証明した。“脱バレー”の今シーズンは、最後の部分で苦労しているが、ゴール前での連携・強さ・アイディアの部分を須藤+補強で解消できるかが後半戦の注目だ。前半戦に勝点を積み重ねることが出来なかったチームは補強や監督交代で巻き返しを図る姿勢を見せているが、腰が重かった甲府もJ2徳島から大型FW・羽地を獲得、韓国Kリーグの仁川FCからは身長192センチのラドチッチ(モンテネグロ)を期限付き移籍で獲得する方向で手続きを進めている。この手続きが終われば、甲府のFW陣の大型化が大きく進むことになる。
8月5日に行われた千葉(@市原臨海)とのトレーニングマッチ(結果は1−1)ではボール回しの部分ではJリーグの中でアドバンテージを持っていることを証明したが、シュートの数を増やすということは発揮できなかった。相手のゴール前付近まではボールを運んでも、あと1〜2本のパスを繋げないとシュートシーンは増えない。後半には4−3−3の中盤の逆三角形を三角形にするダブルボランチを試すなど、現有戦力でシュートチャンスを増やすための工夫を大木監督は行っているが、新加入FWを加えた3トップの新布陣がリーグ戦で披露されることを楽しみにしたい。ラドチッチがフィットするにはある程度時間が必要になるだろうが、まずは羽地の能力を活かすことが出来ればゴール前での手数と可能性は増えるだろう。千葉戦でのゴールは、羽地のアシストを受けた山崎のゴールだった。そして、忘れてはならないのが身長165センチのFW・山崎の存在。大型選手が揃う中で、彼らが持ち得ないスピードとタイミングが活きてくる。そして、神崎、富岡、木村らも目の前にあるチャンスに向かって積極的に競争に加わって欲しい。
【後半戦のキープレーヤー】----------
須藤大輔(FW / No.9)
アルベルト(FW / No.16)
羽地登志晃(FW / No.18)
ラドチッチ(FW)
「ボール回しでアドバンテージがある」と書いたが、常にアドバンテージがあるわけではない。千葉戦でも、シュートまで辿り着かないことが多くなればバランスが崩れてきてアドバンテージを失う場面があった。「パスを出してもボールを失う」と後ろの選手が思うようになれば、カウンターに対する守備の意識が強く働き、中盤以降の押し上げが不十分になってしまうからだ。そうなるとボールを奪い返すバランスも悪くなり、悪循環に陥ってしまう。ナビスコカップでは須藤への縦パスが収まり、そこからの配球が攻撃を前に進めただけに、相手ゴール前での縦方向のパスがキーポイントになるだろう。パスワークだけでペナルティエリアに侵入してシュートで終わることは何度もできないだけに、ここで前を向いてドリブルで勝負できる選手、ボールを失わない選手の存在は必要不可欠。
再開後の3連戦は茂原不在のまま戦わないといけないが、須藤、アルベルト、羽地、ラドチッチの大型FWのプレーは大注目だ。須藤は既に信頼を勝ち得ているが、アルベルトの動きがよくなってきたことは嬉しい。「まだ出来ないプレーがあるけど、よくはなってきている」と大木監督も一定の評価をしている。羽地とラドチッチは甲府のスタイルを理解するために時間が必要だが、まずはそのスピードが問われるだろう。甲府のスタイルを理解し、相手ゴール前で前を向いて勝負できるFWが出てくれば甲府の攻撃力は爆発的に高まるはずだ。それだけの下地は出来ている。
【再開時の予想フォーメーション】----------
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甲府は選手を固定していないので、選手の入れ替わりには驚かないどころか、成長という新陳代謝として歓迎だ。甲府がやるサッカーには変わりはないが、得点力アップのためには3トップを軸とするプレーの精度、連携、アイディアの共有でレベルアップを見せてほしい。中盤は新アンカーの井上が林以上に攻撃参加する場面が見られるだろう。その場面が多ければ多いほど甲府の攻撃のバランスがいい状態であることの証になる。逆に、井上がズルズルと下がる場面が多くなれば、ボールを奪っても効果的な攻撃に繋げることは難しいだろう。
また、新加入FWの使われ方は注目したい。千葉とのTMでは、羽地が3トップのサイドで使われており、縦への突破力とサイドでのキープ力は期待だ。ディフェンスラインでは韓国キャンプで高評価を得た田森が杉山(第19節・鹿島戦は出場停止)を脅かすプレーが出来るかどうか。また、御厨もきっかけを掴みつつあるので、CBの層が厚くなることも期待できる。GKでは鶴田が阿部からポジションを奪っているが、桜井を含めた厳しい競争は最後まで続くだろう。
以上
2007.08.09 Reported by 松尾 潤














