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【リーグ後半戦展望】----------
J2から1年でのJ1復帰を果たした柏にとって、J1残留が最大の目標であることに変わりはない。残留という結果が出なければ、ここまでの2年間が無駄になるというのが石崎監督の考え。「今シーズンが勝負の1年。残留してこそ、ここ2シーズンをどう戦ったかが来年からのチーム強化につながる」という。
中断期までの戦いで勝点26をあげ、目標とする年間勝点『45』をクリアするのも間近と思われがちだが、チームに気の緩みはない。石崎監督自身、チーム力不足を感じており、前半戦の戦いぶりからの変化を必要としている。
ナビスコカップのグループリーグ敗退により、1カ月と10日という長〜い中断期間を手にした柏は、その期間の大半をレギュラー組以外の選手の底上げ、新戦力の発掘に充てた。その練習のハードさは選手、スタッフが認めるところだが、これは石崎監督が来年以降も見据え、チームの底上げをしているのだと実感できるものだったようだ。
実際のところ、柏は開幕直後のスタートダッシュに成功して上位をひた走っていたが、5月以降は引き分けが多くなり、リーグ戦10試合の成績は2勝4分け4敗で9位にまで順位を下げている。4月までの8試合で無得点に終わった試合がわずかに1、逆に無失点で終えた試合は5を記録しているが、5月以降の10試合で無得点、無失点に終わったゲームはそれぞれ4試合。うち3試合はスコアレスドローのゲームだった。
6節で攻守の要である山根巌(ボランチ)、12節で古賀とともに堅いDFラインを築いていた近藤直也(センターバック)が負傷し、長期戦線離脱を余儀なくされた影響も確かにあったが、チームの戦い方を研究され、柏対策を取られた場合にそこを打開していくだけの力が不足していた点も否定できない。
清水から期限付きで移籍してきた太田圭輔の加入、エースナンバーを背負った北嶋秀朗が両膝手術のリハビリから復帰し、攻撃のオプションが増えそうな点はプラス材料といえるだろう。また長らく負傷組にいた池元友樹、中谷勇介、平山智規、ようやくチームに馴染み、練習試合でゴールを重ねている大久保哲哉、阿部吉朗、石崎監督からも成長を認められる永井俊太、柳澤隼がチームに合流することでもたらされる効果への期待が高まる。彼らが開幕時のレギュラー組からポジションを奪い、これまでとは違ったチーム戦術を見せるようになれば、チームは活性化していくだろう。
中断期明けの相手はアウェーの浦和。ここで勝利するか、負けても内容的に満足のいく戦い方ができれば、開幕戦で磐田を破り勢いに乗ったように目標である勝点45を案外早い時期に達成できるかもしれない。
【後半戦のキープレーヤー】----------
太田圭輔選手(MF / No.39)
6月20日に清水から期限付移籍で加入した太田圭輔は柏でのデビュー戦となったサテライトの千葉戦でゴールを奪い、強烈な印象を残した。和歌山キャンプを経ると、7月の練習試合では国士大戦でハットトリック、順大戦で2得点、サテライトの札幌戦でもゴールを決め、好調をアピールしている。とくに太田は「右サイドのスペシャリスト」と石崎監督からの評価も高く、得点能力以上に精度の高いクロスからのアシスト能力がチームに大きな効果をもたらすと期待されている。ここまでのサイドアタッカーはスピード系の菅沼、鈴木とテクニック系の谷澤がいるが、いずれも単独での突破が特徴。ここに周りを生かす太田が加わればチームとしての幅が広がるだろう。
トップ下での起用が続く佐藤由紀彦も好調で、スタメン目前のところで負傷により戦列を離れた池元友樹、昨年11月に両膝の手術に踏み切った北嶋秀朗も復調間近。彼らがコンディションを上げ、コンビネーションが構築されて繰れば、その高い得点能力にも期待が持てるはず。ここにU22コンビの李忠成、菅沼と絡むことで、それぞれがどんな変化を生み出すのかも興味深い。
【再開時の予想フォーメーション】----------
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前半戦のメンバーと比べたとき、大きな変化があったのは右サイドだ。17節の横浜FC戦で脳震盪を起こし、プレーできない日々が続いた鈴木達也は和歌山キャンプ後に足の痛みを抱え、最近チーム練習に合流したばかり。その間、右サイドで起用された太田が練習試合などでゴールという結果を残し、ポジションを獲得した。山根とコンビを組むアルセウが8月に入って体調を崩し、8日の練習にも合流できない状態のため、浦和戦では永井の起用が予想される。永井の成長は目を見張るところで、浦和戦の結果如何ではポジションを確保する可能性もある。DFラインの不安材料は近藤の回復が遅れている点だが、U22日本代表の神戸合宿メンバーにも入った小林祐三と古賀とのコンビネーションは格段にアップしているだろう。このように多少の選手の入れ替えはあるものの、前線から全員でプレスをかけ、早い段階でボールを奪い、ゴールに結びつけるという戦い方には変わりはない。全員で守り、全員で攻める――。若手が躍動する柏らしいダイナミックなサッカーが期待できそうだ。
以上
2007.08.10 Reported by 平山佳代














