8月12日（日）J2 第33節 山形 vs 鳥栖（18:00KICK OFF/ＮＤスタ）
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　札幌、京都の２チームが抜け出しているが、３位グループには勝ち点３差内で５チームが密集している。この試合で対戦する２チームは、そこからやや距離を置いた位置にいる。８位・山形は勝ち点42、９位・鳥栖は40。彗星のしっぽのような今のポジションから引き離されてしまえば、再び差を縮めるためにはさらに大きなエネルギーを必要とする。勝ち点３を取って３位集団に食らいついていきたいチーム同士の潰し合い、まさにサバイバルな一戦となる。

　最終節の第52節に試合が組まれていない山形にとって、前節は実質、今シーズン最後の休みとなった。今節までの間隔は２週間。最初の１週間は３日間のオフとミニキャンプで、リフレッシュと残り19試合を戦う意識の再構築を図り、残る１週間でブレイク前の軌道に戻っている。９日には、延期されていたサテライトリーグ戦がアウェイ水戸で行われたため、チーム全体が統一したメニューでトレーニングすることができず、コンディション維持の面で難しい部分はあった。それでも、「あれより苦しいことは、試合でもなかなかない」（ＧＫ清水）という猛暑に耐えながら、精神面で一段と強さを増した感がある。
　
　２週間ぶりの試合に臨む山形に求められるのは、しっかりと試合に入ること。それにより、８試合連続で先制点を挙げ、２試合連続完封したブレイク前の流れをいい形で引き寄せたい。と同時に、長くチームの課題となっている「２点目獲得」への挑戦もリスタートとなる。試合の勝負どころを逃さず３試合連続アシスト中の財前と、攻守に豊富な運動量を発揮しゴール前に常に顔を出すキャプテン宮沢の最年長コンビが好調を維持。また、ＤＦ石川の出場停止明けや怪我人の復帰、さらに今月初めのＦＷグスタヴォ獲得などによってポジション争いも激化している。底上げされたチーム力を勝ち点３に、しっかりと結びつけたい。

　対する鳥栖は、ここまで90分換算の得点は山形と同じ1.14。不調を脱した第２クール以降、安定した守備を背景に、得点が失点をわずかに上回る効率のいい勝ち方を続けてきた鳥栖にとっても、昇格争いにしっかり加わるために得点力アップが必要なのは同じだ。今季14得点と日本人得点ランクトップに成長したＦＷ藤田に加え、７月にはＣ大阪から金信泳を獲得。ただ、他のチームがそうであるように、金もチームにフィットしようとする途上にある。加入による相乗効果は徐々に構築されている段階だ。

　が、中盤に尹晶煥が戻ってきたとなれば、そうしたプロセスも一気にスピードアップしそうだ。今シーズン、尹は怪我や出場停止などでコンスタントな出場を果たせていないが、前半45分のみでうち切られ再試合となった第32節・湘南戦で、先発としてはじつに第５節以来となる出場を果たすと、藤田、金の２トップへ縦のくさびを中心に攻撃を組み立てた。そのなかの前半38分のプレー。尹がくさびのパスを入れ、キープした金が再び尹へ戻すと、尹はワンタッチで裏へ。そこへ高地が飛び出しゴール前で待つ藤田へのクロスにつなげた。攻撃のバリエーションを生み出す尹がどれだけ自由にプレーできるかが、鳥栖にとっては非常に大きなポイントとなる。

　湘南に対しては、今季２試合で９失点（１得点）。さすがに岸野監督も鐵戸をアジエルのマンマークに付ける奇策に打って出たが、山形に対してはこれまでどおり４−４−２のゾーンを重視した守備網に落ち着くだろう。ＤＦ柴小屋の出場停止が今節に延びたことが予定外の部分はあるにせよ、久しぶりの出場となった内間の湘南戦45分間のプレーをプラスに考えることもできる。特に後半はより集中力を高め４試合ぶりの無失点を狙うが、湘南戦の再試合が決まりスケジュールがさらにタイトになるだけに、勝つことでそうした負担を少しでも軽減しておきたい。

　果たして、先制点を挙げるのはどちらか？　その先制点は追加点につながるのか、それとも持ちこたえることができず同点弾を呼ぶのか？　第１クールでは鳥栖が先制するも山形が逆転、第２クールではまったく逆のパターンで鳥栖が勝ち点３を手にしているだけに、最後の笛まで予断は許さない。予報では、キックオフ予定の18時で気温31度。消耗戦を制するには、気持ちで上回ることも求められる。

以上

2007.08.11 Reported by 佐藤円