8月12日(日)J1 第19節 広島 vs 名古屋(18:00KICK OFF/広島ビ)
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広島にとって後半戦浮上の鍵は、一にも二にも守備力の向上にある。一部報道には「ストヤノフ(前千葉)獲得へ動く」という情報もあるが、クラブからは正式のアナウンスがまだ出ていない。いずれにしても、今節には間に合わない。そして、盛田剛平が8月4日の練習で負傷し今節は出場できない上に、森崎和幸の体調が万全でなく今週前半の練習を回避している。どうもこのところ、広島は万全の状態で準備できていない。
「万全ではない」という事情は、名古屋も同様だ。7月28日まで北海道網走で10日間に及ぶキャンプを行っていたが、ヨンセン・玉田圭司・杉本恵太・大森征之・増川隆洋・吉村圭司らが怪我や体調不良のため離脱。長期離脱中のスピラール、楢崎正剛・金正友らアジアカップ参加組を含めると、主力の半分以上が欠けていたことになる。玉田以外の選手たちは広島戦に間に合いそうだが、オフ期の調整がうまくいったとは決して言いがたい。
さて、両チームのスタイルを考えてみると、共に後ろからパスをつないで攻撃を創るチームと言えるだろう。パス本数で言えば、広島はJ1第3位、名古屋は5位。また、強力な2トップ(広島=ウェズレイ+佐藤寿人、名古屋=ヨンセン+杉本)を持ち、攻撃に特徴を持つ両アウトサイド(広島=服部公太+駒野友一、名古屋=本田圭佑+中村直志)がいて、システムも1ボランチの3−5−2。つまり明日は、似通った特徴を持ち合わせたチーム同士の戦い、と言っていい。
ただ、サッカーの内容には違いが出ている、と言えよう。広島は、リーグ3位のシュート数・6位の得点数に対し、リーグ最下位の被シュート数・失点数と、完璧に攻撃に偏っている。一方の名古屋は、被シュート数はリーグ2位。そのわりには失点数がリーグ8位とバランスを欠いているが、守備そのものには安定感がある。ところが、パスをつないでいるわりにはシュート数がリーグ10位と少なく、得点も1試合平均1.28と決して満足できる数字ではない。
パスをつなぐサッカーは、自分たちでボールを持って主導権を握る戦い方だから、それが完成型に近づけば得点は増え、失点は減っていく。いい例が、1試合平均得点2.28・平均失点0.94を誇るG大阪だろう。が、発展途上のチームの場合、パスをつないでいるものの攻撃が遅くなり相手のブロックを崩せないというパターンや、パスミスを犯したりカウンターに対処できなかったりして失点してしまうケースに陥ることがある。いわば、前者が名古屋であり後者が広島なのだ。
特に広島の守備は、まだまだ不安な状況にある。ナビスコカップ・鹿島戦(7/8)で、前線からしっかりと守備をするスタイルを見せて完璧な勝利を握ったが、それは日本代表に参加していた佐藤に替わって出場した、桑田慎一朗の献身的な動きがあればこそ。同じことをウェズレイと佐藤寿人に対して要求するのは難しい。選手としての特徴が違うからだ。ただ、そうなると柏木陽介や森崎浩司といったMFに、大きな負担がかかるのは間違いない。夏の猛暑の中で行われる試合だけに、果たして運動量が持つかどうか。名古屋の2列目、金正友や山口慶は、どんどんFWを追い越して得点を狙うスタイル。その形に広島は、昨年も今年もやられているだけに、2列目の運動量が落ちると大量失点の危険性もある。
ただ、名古屋の方も、広島は決して「気分のいい相手」ではない。昨年来の対戦成績は、1分2敗。常に内容では広島を上回り、先制点をゲットしても、最終的には広島の軍門に下っている。その最大の要因は、かつての僚友・ウェズレイを抑えきれないことだ。彼に対し、3試合で4失点。名古屋を知り尽くしたウェズレイの個人技を、どうしても抑えきれない。マークにいっているつもりでも、フッと気づけば彼をフリーにしてしまっている。また、ウェズレイを警戒するあまり、佐藤寿人や柏木陽介らの動きをマークしきれず、彼らからのチャンスメイクで失点してしまっている。
サッカーの内容と順位がリンクしていない、という部分でも、似た特徴を持つ両チーム。4月に行われた豊田スタジアムでの対戦では、互いに点をとりあう激しい戦いの末、広島が勝利した。明日の試合もまた、同様の熱い攻撃的な戦いとなるだろう。その中で、自らの課題を克服する強い意志を見せたチームが、勝利の凱歌をあげるはずだ。
以上
2007.08.11 Reported by 中野和也
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