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【J1:第19節 清水 vs 大宮 レポート】多くの決定機をつくりながら決勝点を奪えなかった清水は勝ち点2を失う。大宮の佐久間新体制初戦は収穫あるドロー(07.08.12)

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8月11日(土) 2007 J1リーグ戦 第19節
清水 2 - 2 大宮 (19:03/日本平/15,047人)
得点者:'5 小林大悟(大宮)、'10 チョジェジン(清水)、'18 吉原宏太(大宮)、'53 フェルナンジーニョ(清水)

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 シュート数は、清水18本、大宮9本。CKは、清水15本、大宮3本。内容から言えば、清水が勝って順当というゲームだったが、大宮の気迫が勝利の女神の決断を遅らせたのかもしれない。

 清水の先発は予想通りのメンバー。中盤をダイヤ型にした4-4-2で、エースのチョ・ジェジンと2トップを組むのは、五輪代表としても猛アピールしている岡崎が入った。佐久間監督が就任して4日目で初ゲームを迎えた大宮は、ケガのレアンドロの代わりに片岡をDFラインに下げて、4-1-4-1の形でスタート。
 そして展開は、予想外に早い時間で点の取り合いとなった。5分に大宮が左サイドで得たFKの場面、通常ならゴール前にクロスボールを合わせる位置であり、GKの西部もそれを予想していた。しかし、キッカーの小林大がその裏をかいて、ニアサイドに低く速いボールを蹴ると、西部が逆をつかれてポスト際に先制ゴールが決まった。

 しかし、清水のほうも攻撃の流れ自体は、久々の公式戦とは思えないほど良く、流動的に人とボールが動いて、序盤から大宮ゴールに迫る形を多く作っていた。ただ、同点ゴールはまったく違った形。10分に清水のロングボールが高くバウンドした場面で、片岡がボールを待ってしまったところを、勢いよく飛び出したチョがかっさらって、そのまま左からシュート。見事にGKのニアサイドを抜いて、清水が5分で同点に追いついた。

 その後も、清水が押し気味に試合を進め、続けざまに惜しい場面を作るが、大宮のほうも、攻撃で狙っていた形をうまく表現することができていた。大宮が狙っていたのは、清水のセンターバックを外に引っ張り出し、深い位置から低くて速いクロスを入れるという形。
「相手のDFが大きいので、クロスは工夫しないといけないということで、まず1人がダイアゴナル(斜め)に走って(センターバックの1枚を引き連れ)、そこにボールを出して速いクロスを入れることを意識していた。それはうちの速いFWが生きる形だし、清水に対してすごく効果的だった」と小林慶が語り、小林大も「チームみんなでやろうとしていた狙いが本当にうまくいっていたし、得点も生まれたし、すごく収穫があった」と今後に向けての手応えを口にする。

 2点目は、その狙い通りの形であり、さらに新戦力の「個の力」も大きく作用した。18分、右サイドでボールをキープしたデニス・マルケスが、ドリブルで一度中に入ってから縦に突破してゴールライン際から低く速いクロスを入れ、そこに吉原が合わせて鮮やかにゴールネットを揺らした。大宮が前半のうちに2点を奪ったのは、今季初めてのこと。
 また、33分にデニス・マルケスのスルーパスから藤本主がゴール右に飛び出し、速い折り返しから小林大が決定的なヘッドを放った場面などは、まさに小林慶が語った通りの形。ここは清水の守護神・西部がミスを取り返すファインセーブで防いだが、大宮が3点目を奪うチャンスも十分にあった。

 もちろん清水のほうも、その後同点のチャンスを何度か作ったが、決めきれずに2-1のまま前半は終了。前半はフェルナンジーニョや藤本淳にバイタルエリアをうまく使われていた大宮は、前半途中からボランチを2枚に変えて対応。後半も、そのまま4-4-2に形を変えて臨んだが、フェルナンジーニョを止めきることはできなかった。
 後半8分、ペナルティエリア手前でチョがクサビのボールを受け、身体でDFを押さえながら落としたボールからフェルナンジーニョが思い切りよくシュート。これが左ポストぎりぎりに決まって、清水がようやく同点に追いついた。

 そして、その後は試合終了まで清水ペースが続く。デニス・マルケスも前半ほどの切れはなくなり、大宮はあまりチャンスを作れなくなったが、今度は守備陣が気合いの入った守りを見せる。清水は、セットプレーの場面で藤本淳やフェルナンジーニョから質の高いボールが何本も入り、右サイドバックの市川も素晴らしいクロスを連発し、決定機は何度も作ったが、大宮の身体を張った守備にも阻まれ、最後のところで決めきれない。
 終盤は、引き分けでOKという戦い方になった大宮にそのまま守り切られる形で、2-2のままタイムアップを迎えた。

 内容的な手応えがあったという点では同じだが、試合後のサポーターの反応は対照的。よくやったという声援が圧倒的に多かった大宮のほうは、少なくとも新監督の下でチームがひとつになるという点では、十分な手応えが得られたゲームだった。
 ブーイングと声援が入り交じっていた清水のほうは、勝ち点を2つ失ったという意識が強かったゲーム。とくに、15本のCKの中で味方にピタリとボールが合うシーンを何度も作りながら、1点も取れなかったのは痛いところ。少し運にも見放されたという印象もあった。
 ただ、「チャンスは作れているので、チームとしてはこの攻撃を続けてチャンスを数多く作っていくしかないと思う」とベテランの伊東が語る通り、チームとしての戦い方は、課題である後半の試合運びも含めて問題はないように見えた。「あとは……」という部分は、選手たち自身がいちばんよくわかっているはずだ。

以上

2007.08.12 Reported by 前島芳雄
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