今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第33節 山形 vs 鳥栖 レポート】前半で抑え込まれた鳥栖が後半一気の3得点! 山形を抜いて暫定8位に浮上(07.08.13)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
8月12日(日) 2007 J2リーグ戦 第33節
山形 1 - 3 鳥栖 (18:04/NDスタ/5,824人)
得点者:'47 藤田祥史(鳥栖)、'69 野崎陽介(鳥栖)、'70 林晃平(山形)、'74 藤田祥史(鳥栖)

----------

 開始0分、号砲を鳴らしたのはホーム山形の秋葉だった。FKのこぼれ球を宮沢がセットし、ミドルレンジから積極的に狙っていった。シュートは右へそれたが、直後には鳥栖のボランチ尹に根本がプレスをかけて秋葉がさらい、右スペースから北村がクロスを放つ。立ち上がりからネジをいっぱいに引き絞った山形が、「非常に勝ちたい、勝点3が必要なゲーム」(山形・樋口監督)であり、「どうしても勝たなきゃいけないゲーム」(鳥栖・岸野監督)の序盤を優位に進めていった。

 山形のスタートダッシュには、球際に厳しさが見られない「鳥栖らしくなさ」も一役買っていた。局面の奪い合いではほぼ山形に軍配が上がる。さらに、奪ったあとも山形には落ち着きがあった。最終ラインの押し上げが足りず、FWとMFの間、MFとDFの間につくられる鳥栖のスペースを見極めると、ポゼッションでも優位に立った。宮沢から北村へのスルーパス、尹から猛然とボールを奪った財前のドリブル突破、サイドで囲まれた北村のターンからの抜けだし……。中盤を流動的に回しながら、「山形らしさ」がピッチ上で発揮されていた。

「山形らしさ」は守備でもはっきりと表れていた。攻撃の起点となる尹に対しては、ボランチの秋葉と本橋のどちらかが必ず蓋をし、くさびのパスを防ぐとともに攻撃を遅らせた。中盤のプレーで制約を受けた鳥栖は、DFラインから2トップへの配給を試みるが、統率のとれた山形にとって対応は難しいものではない。前半の最後10分ほどはカウンターを打ち合う展開になったものの、藤田、金の2トップの起点を潰した山形が、鳥栖のシュートをわずか1本に抑える。チャンスを得点に結びつける力強さは発揮できなかったが、2週間のブランクを感じさせない山形が前半を支配した。

 そうした流れを断ち切るような鳥栖の目覚めは、後半開始早々。
 2分、スペースを突き右サイドでボールを持った鐵戸に、尹が絶妙な距離でサポートに入る。この2人に山形で対応していたのは本橋ひとり。尹からリターンされたボールを、鐵戸はノープレッシャーで難なくクロスに換えた。ゴール前、ニアサイドには金が走り込んでいたが、ボールの行方はファーで待ち受ける藤田。胸トラップできっちり足元に落とすと、左足を振った。

 サイドとゴール前、山形が犯した2つのミスを逃さなかった鳥栖の先制点は、「後半はどんどんシュートを打っていこうと話していました」(藤田)という鳥栖には攻撃の力強さをもたらす一方で、先制された山形導かれたのは、それとは似て非なるもの「追いつかなければ、という焦り」だった。「うちが勝点3を取らなきゃいけないゲームで、勝点3を取りにいくためにリスクを冒して前がかりになった」(樋口監督)。ここまで8試合連続で先制点を挙げていたが、9試合ぶりに先制点を与える立場になった山形は、ここから先、徐々に守備のバランスに目をつぶる時間が多くなっていく。

 山形は本橋に代えて臼井を、鳥栖は清水康也を野崎に――。山形の右、鳥栖の左。中盤でポジションがかぶる2人が同時に投入されたのは後半12分。臼井はドリブルでの仕掛けとクロスで存在感を発揮するが、「結果」を出したのは後半24分の野崎。GK浅井のキックが金のヘッドで跳ね、藤田がヒールを使いダイレクトに送ったボールを裏でとらえた。プロ初ゴールのシチュエーションはキーパーとの1対1。狙い澄まして決めきった。藤田と野崎、互いの特性を信じきるプレーが、今や統率に微妙なズレを生じている山形DFラインを突破した。

 直後のプレーで、山形も1点を返す。右スペースのボールに猛スピードで追いついた財前のクロスに根本が頭から飛び込み、こぼれ球を最後は林が押し込んだ。同点へと意気上がる山形を沈めたのは、その4分後に生まれた鳥栖の3点目。ポゼッションのなかで尹の縦のくさびが藤田の足元へ、そして飛び出す野崎。2点目と同じような形で、1対1をつくる代わりに今度はPKを獲得。前半のみで中止・再試合となった第32節・湘南戦を除けば3戦連続となる藤田のPK弾が、勝負を決めた。

「どうしても勝たなきゃいけないゲーム」に勝利した鳥栖は、勝点で山形を抜き8位に浮上。ほかのチームより1試合消化が少ないことを考えれば、3位との勝点9差は十分に射程圏内だ。金がいまだに精彩を欠いているが、藤田や野崎の活躍で、第8節・水戸戦(○5−1)以来今季2度目となる1試合3得点も挙げた。「すぐまた試合があるので、調子こかんと、謙虚な気持ちで一生懸命サッカーします」(岸野監督)という岸野イズムで、第2クールに見せた快進撃の再現はなるのか? 次節、東京V戦(8/16@鳥栖)は正念場となる。

「勝点3が必要なゲーム」で敗れた山形も、厳しい状況に一歩追い込まれたものの、これで希望が断たれたわけではない。ゲームをコントロールできた前半45分間は、十分に胸を張れる内容だった。ゴール前を遠慮したように遠目からのサイド攻撃が相変わらず目立つが、さらに一歩、ゴールマウスの近くに踏み込むチャレンジも続いている。気になるのは失点後の対応だ。追う立場になればリスクを負わなければならないが、それとバランスを崩すことはイコールではないはずだ。追い込まれた状況のなかで、その区別をチーム全体でいかに統一できるか。その整理ができたときこそ、次には今日のような試合で勝点3を手にできるかもしれない。


以上


2007.08.13 Reported by 佐藤円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着