8月18日(土) 2007 J1リーグ戦 第21節
甲府 1 - 4 浦和 (18:34/国立/36,756人)
得点者:'6 田中達也(浦和)、'39 永井雄一郎(浦和)、'42 鈴木啓太(浦和)、'46 石原克哉(甲府)、'63 田中達也(浦和)
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ワシントンのいない夜は、泥臭い勝利を夢見ることが愚かな行為ではないはずだった。しかし、終了の笛を聴いたときに身体に残っていたのは感じたのは中途半端な感情。1−4という得点差ほど力の差が無いことを感じながらも、それでも1−4になってしまう現実への失望。
約37,000人の観客が入った国立競技場。約20,000人の浦和サポーターが魅せたパワーは、小瀬陸上競技場でのそれとはまったく違う感情の高まりを感じさせてくれた。サポーターがサッカーというスポーツで果たすことが出来る素晴らしいエンターテイメントの側面を魅せてくれた。また、国立での浦和戦ということで、普段甲府の試合を生で観るチャンスが少ないであろう有名な解説者、ライターの姿も多く見ることが出来た。そして、A代表のオシム監督も初めて甲府のホームゲームを観戦する御前試合だった。
しかし、甲府は立ち上がりから独特の雰囲気に“らしさ”を発揮できなかった。大木監督には珍しく名指しでその理由のひとつを晒した。藤田がやるべきことをやることが出来ていなかったと。開始11分には翻弄されていたディフェンス陣の池端が接触プレーにより過呼吸になってしまい、代えて増嶋を投入するアクシデントも起こった。その瞬間は池端のプレーが不満で交代を決断したのかと思ったが、事実は違った。
だが、増嶋が入ってからようやく甲府の守備陣が弄ばれることがなくなった。浦和の2列目からの上がりについていくように指示した増嶋の判断がそうさせた。既に6分に田中達にゴールを決められていたが、流れはよくなりつつあり希望は充分にあった。少しずつゴールが近づいている手応えを感じていた時間帯には、田中のシュートがポストに嫌われる危ないシーンがあったが、幸運が手を差し伸べる魅力は甲府にはあった。
しかし、あと1本のパスを繋がずにクロスを入れては跳ね返されることを続けているうちに、幸運は手を差し伸べることを止めた。そして、39分(永井)、42分(鈴木)に連続してゴールを決められてしまう。だが、このとき頭に浮かんだのは昨年のホームでのG大阪戦。G大阪は0−3になっても慌てず自分たちのサッカーを貫き、2−3まで盛り返した。
G大阪のような力が甲府にあるかどうかは別として、焦って自分たちのサッカーを見失うほどの幼さは無いと思っていたからだ。後半開始直後、石原の素晴らしいミドルシュートが決まったときは後半に希望が繋がったことを感じた。後半は甲府のシュート数13本に対し浦和は3本と、甲府は多くのチャンスを手にした。前半の修正が“らしさ”をある程度取り戻させた。しかし、全ての選手が“らしさ”を取り戻していたわけではなかった。63分に4点目を決められる。「個」の差を感じさせるセンタリングからの田中達のゴールだった。そして、シュートは打つが決まらない、中途半端な感情を引っ張り出した展開のまま甲府の2回目の国立競技場でのゲームは終わった。
試合後の会見で「(後半の)内容はよかったが、最後は個人の力にやられている。結果を出すためには妥協も必要だと思うが、(大木監督の)方針は負けても負けても(2年前と)変わらないですね」と要約できる質問が出た。この質問は大木監督の感情を刺激した。
「負けてもという言い方は好きじゃない。負けないためにやっている。結果がついてこないのは責任を感じている。エンターテイメントとは言っても楽しむためには勝たないと駄目。勝たないと楽しめない。そこは勘違いしてもらいたくない」
質問者の意図も分かるし、大木監督がこう言わずにいられなかったこともわかる。今の甲府は浦和やG大阪のように、既に実績のある選手や高給取りのスター選手を集めることが出来ないのだから、置かれた環境で工夫をし、選手を育てていかなければならない。これも甲府が生きる道。確かにやるべきことは多いが、やり続けるしかないのだ。
23時ちょうど発の「かいじ123号」で新宿をあとにした青いサポーターはこの結果をどう感じたのだろうか。今こそ、甲府スタイルにプライドを持って、信じてチームをサポートして欲しい。
以上
2007.08.19 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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