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【J2:第37節 徳島 vs 愛媛 レポート】今季3度目の四国ダービーは1-1のドロー。勝利までには届かなかったが、徳島はようやく連敗を脱出。(07.08.31)

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8月30日(木) 2007 J2リーグ戦 第37節
徳島 1 - 1 愛媛 (19:04/鳴門大塚/3,423人)
得点者:'58 大木勉(愛媛)、'73 石田祐樹(徳島)

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とにもかくにも引き分けた。それによって徳島はようやく連敗を止めた。スタンドへ挨拶する選手たちの笑顔、また今井監督さえもが覗かせた笑みが、ここまでの重い重い苦しみをひとまず降ろせたことによるものだったのは間違いない。もちろん今季の四国ダービー勝ち越しを決めたこともあっただろうが。

逆に愛媛の選手たち、そして望月監督の表情に明るさは無かった。連敗はしなかったものの、それでも四国ダービーでまたしても勝てなかったことの悔しさを誰もが明らかににじませていた。その光景は、ダービーマッチがやはり特別な一戦であることを改めて感じさせるものだったと言えよう。

今季3度目の四国ダービーは立ち上がりから両者が攻撃的に仕掛けあう展開となる。徳島が中盤でのボール回しから愛媛DFライン裏へ飛び出す長谷川や片岡にラストパスを狙えば、愛媛は両サイドを攻撃の起点として明確化。右の関根と左の江後を積極的に使ってチャンスをうかがった。

ただ、前半全体としては徳島ペース。高い位置にDFラインを保ったコンパクトな陣形で愛媛に果敢なプレスをかけてボールを奪うと、チームはそれをしっかりとポゼッションしリズムを作っていた。今井監督も「前半はボールを動かすということに関して、我々がやろうとしていることに近づいているようなプレーが出ていました」と振り返ったが、丹羽やダ・シルバがタクトを振るったワイドな組み立てはその通り評価に値するものだったと言っていいだろう。

しかしながら、迎えた後半、先にスコアを動かしたのはハーフタイムで立て直してきた愛媛であった。前半とは見違える出足と動きで主導権を強奪すると、58分に大木がミドルレンジから右足を振り抜き待望の先制点。チームに今季の四国ダービー初のリードをもたらした。そしてこの得点で愛媛はさらに勢いづく。途中出場のジョジマールが豪快なドリブルシュートを放つなど、追加点を奪うべく畳み掛けた。

が、劣勢を強いられ始めた徳島に68分、流れを呼び戻すビッグプレーが出る。それを出したのは、今井監督。前線の小林と長谷川を同時に下げ、スピードと走力に長けた石田と大島の2人を一気に投入した。すると、この2人が出場からわずか5分後に長い距離のパス交換から同点ゴールを生み出す。まさに采配がズバリ的中。あまりにも見事にハマッた選手起用であった。さらに、この2人はその後チームに大きなプラスの作用ももたらす。持ち味のスピードとハッキリした動き出しで再三前線にボールを引き出すとともに、果敢なチェイシングで愛媛DF陣にアプローチして守備でも貢献。チームが残り時間に息を吹き返す原動力となった。

結果的に逆転には届かなかったが、徳島にとってこの一戦は非常に意義ある戦いとなったはずだ。それは連敗を脱出したということだけでなく、チーム全員のベクトルが徐々に揃いつつあることを確認できたという意味でも。決定力不足などまだまだ解決されない課題は多いが、戦術理解とプレー精度が選手たちの努力によりさらに高まれば、チームの辿る軌道はきっといい方向へと向いていくことだろう。今節の水戸の勝利によって最下位に転落したとは言え、今後この8連敗をしっかり糧にして前へ進んで欲しい。

対して愛媛としては気持ちの切り替えが必要となる。先制点を挙げた大木が「ショックです」と沈痛な面持ちで話したが、すぐ3日後に迫る次節のことを考えればそれを引きずっていてはならない。この悔しい思いは一旦胸にしまい、今季まだ一度残っている雪辱の機会に再び取り出してぶつけてもらいたい。

この一戦のプレビューにも書いたが、両チームがJ1昇格を争っているようなシチュエーションでの四国ダービーを早く見てみたいと心底思う。さらに、このダービーマッチがいつかリーグを代表するほどのビッグゲームになっていってくれることを願ってやまない。

以上

2007.08.31 Reported by 松下英樹
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