8月30日(木) 2007 J2リーグ戦 第37節
草津 2 - 2 鳥栖 (19:04/群馬陸/2,548人)
得点者:'14 高地系治(鳥栖)、'21 飯尾和也(鳥栖)、'44 高田保則(草津)、'63 チカ(草津)
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この試合が特別なゲームでなかったならば、草津の戦いは賞賛に値するものだっただろう。0対2というスコアから執念とも言える同点劇。草津が2点のビハインドを追いつくのはJ昇格後初のことだった。しかし、今節はクラブ初の連勝を懸けた20回目の挑戦で、勝利という結果が求められる試合だった。草津に課せられた、連勝というミッションは、20回目のチャレンジでも達成されることはなかった。
序盤は鳥栖の一方的な展開だった。藤田、金の迫力あるポストプレーを起点に、中盤の選手が攻撃に絡み、次々とチャンスを演出。高地、清水、高橋らの鋭いプレスと豊富な運動量は、草津のそれをはるかに上回っていた。「鳥栖の速いプレスを恐がってしまっていた」(鳥居塚)。鳥栖の先制点はその勢いの中から生まれた。14分、高地の左足から繰り出されたFKがゴールネットを鮮やかに揺らす。浮き足立つ草津は21分にも右CKから飯尾に決められ、いきなり2点のリードを許してしまう。前半、草津が受けたシュートは14本。試合は完全に鳥栖が支配した。
スタジアム全体に漂った、重苦しいムードを一変させたのは高田だった。「ニアにスペースがあったので、ボールが入れば行けると思った」(高田)。前半終了間際のロスタイム、松下の左CKにニアサイドで合わせ、土壇場で1点を奪い返してみせる。草津はエースの一撃で息を吹き返す。
システムを4−5−1から4−4−2に変えた草津は後半、鳥栖を追い詰めていく。「草津の勢いに押され、中盤の選手がDFラインに吸収されてしまった」(岸野監督)。草津は、高田とカレカの気迫に引っ張られるかのように選手たちが躍動。中盤のパス回しからサイドへ展開しゴールへと迫る。そして迎えた63分、草津はペナルティエリア左でFKを獲得。キッカー・松下のアイデアが同点ゴールを生み出す。相手が直接を警戒する中、松下はファーサイドへふわりとしたボールを蹴り上げる。「鳥栖の高い選手が壁の中にいたので、ゴール前は小さい選手しかいなかった。チカに高いボールを上げれば絶対に勝ってくれると思った」と松下。その思惑は的中。頭2つ分以上、抜け出したチカは、豪快なヘッドをゴールへと突き刺す。
早い時間帯に同点に追いついた草津は、「絶対に勝ちに行く」という指揮官の指示のもと、勝利のみを求めてゴールへと向かっていく。残り時間で何ができるか、これが草津に与えられた試練だった。スタジアムの雰囲気は最高潮。草津が3年越しの連勝を成し遂げる舞台は完全に整ったかに見えた。しかし、幾度となくチャンスを迎えるものの、無情のホイッスルを聞くことになる。「最後の場面で負けたくないという気持ちが出てしまい、プレーが消極的になった」と植木監督。
一方、2点リードを守りきれなかった鳥栖だが前半に魅せたパフォーマンスはベストに近い内容だった。「前半のサッカーを90分間しなければいけない」と清水。最終ラインで奮闘した飯尾は「追いつかれたが、振り出しに戻っただけなので、頭を上げて闘うべきだった。その姿勢がなかったのが残念」と振り返った。鳥栖は続く、福岡、湘南、仙台との3連戦に今季の運命を託すことになる。
草津にとって、今節の試合の評価は分かれるところだ。2点を先制されたことは課題となり、追いついたことは収穫となる。だが、この結果に満足することだけは避けなければならない。過去3年間、連勝を懸けた試合で勝てなかったことの積み重ねが、20回という数字にまで達してしまったのだ。この事実は重い。草津のミッションが遂行されるのはいつになるのだろうか? 草津の連勝は晩夏の夜空に消えた。
以上
2007.08.31 Reported by 伊藤寿学
J’s GOALニュース
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