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【J2:第37節 福岡 vs 湘南 レポート】互いの特長をぶつけ合う好勝負を制したのは湘南。福岡は悔しい2連敗を喫する。(07.08.31)

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【J2:第37節 福岡 vs 湘南 レポート】互いの特長をぶつけ合う好勝負を制したのは湘南。福岡は悔しい2連敗を喫する。

8月30日(木) 2007 J2リーグ戦 第37節
福岡 0 - 1 湘南 (19:04/博多球/8,943人)
得点者:'82 石原直樹(湘南)

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 ギリギリの均衡状態を保つ天秤のように、試合はどちらにも傾かず、しかし、たった一粒の砂が落ちれば一気に傾く。そんな90分間だった。延々と続く緊張感あふれる膠着状態は、見る者の視線をピッチの上に釘付けにした。試合は1点勝負。早い段階から、そんな気配が漂っていた。そして決勝ゴールが生まれたのは82分。ハーフウェイライン近くからドリブルを仕掛けたマルケスに引っ張られる福岡。右サイドでフリーになってラストパスを待つ石原直樹。その石原がマルケスからのラストパスを落ち着いてゴールへ流し込んだ。

 ハーフウェイライン手前からコンパクトなゾーンを敷いて、福岡が入ってくるところを囲い込んでカウンターを狙う湘南。最終ラインでボールを回しながら、湘南が作る守備ブロックのギャップへボールを送り込んで相手の隙を探る福岡。試合は睨み合いのような展開で幕を開けた。昇格争いも終盤に差し掛かり、互いに勝ち点は落とせないという状況がそうさせるのか、試合はゆったりとしたリズムで進んでいく。

 そして、互いに守備意識の高さを見せる。福岡は、湘南のカウンターの起点となるマルケスを柳楽智和がハードマークで潰し、湘南は、坂本絋司、北島義生のダブルボランチが裏へ抜けだそうとするアレックス、宮崎光平を捕まえて離さない。湘南の前半のチャンスは、福岡のミスに乗じてカウンターを仕掛けた38分、39分の2回。福岡は神山のスーパーセーブをつないで攻めに転じた38分の1回。J1昇格サバイバルレースへの生き残りをかけた戦いの勝負は後半に持ち越された。

 後半の立ち上がりに、それぞれ決定的なチャンスを演出した後、試合は再び睨み合いに。どちらが、いつ仕掛けるのか。試合の焦点はその1点に絞られた。そして、先にリズムを変えてきたのは湘南。59分、原竜太に代えて石原を投入。2トップに加えて、アジエルを高い位置に出して前への意識を強くする。これに対して、福岡はアジエルにマンマークをつけたが、ギアチェンジをすることができないままに時間を過ごす。この攻防が結果的に勝負を分けた。

 J1昇格争いが終盤を迎え、上位との差を考えれば負けられない状況にある福岡が、我慢しながら組み立てることに間違いはなかったが、前に出る機会を掴み損ねてしまっては、最大の特徴である攻撃を生かせない。均衡を保っていた天秤は微妙に傾き始めた。そして冒頭のシーン。マルケスはハーフウェイライン近くからドリブルを仕掛けたのだが、自分のマンマークに引っ張られる福岡の選手は誰もマルケスに付けず。自由に突破を許した時点で勝負はあった。そして湘南は、対福岡戦としては2002年以来15試合ぶりの記念すべき勝利を勝ち取った。

「うちのDFが相手の戦い方に対応できるようになってきたのは仙台戦で確信を持てていた。それがうまくはまった。力は福岡の方が上なので1点勝負だと思っていたが、まさにプラン通り」(菅野将晃監督・湘南)。シーズン当初から組織力の高さが注目されながらいまひとつ勝ちきる強さに欠けていた湘南だが、第3クールは、ここまで札幌、京都、福岡、仙台と戦って2勝2敗の五分。敗れた京都、仙台とも紙一重の戦いを演じた。「第1、2クールで積み重ねてきたものがチームの力として発揮できている」(同)。終盤戦に向けて、湘南は着々と力を着けてきた。

 そして福岡。「お互いのスタイルのぶつかり合いというところで結果的に負けたのはすごく悔しい。1点、2点と取りたかったんですけれど崩しきれなかった」とは布部陽功。志向するサッカーに問題はないが、気になるのは、試合運びという面で意思統一しきれていない部分が感じられること。それが上位に勝てないことや、大事な試合を勝ちきれないことにつながっている。それを払拭して、福岡らしいサッカーを表現し、結果を出すことが次節の九州ダービーのノルマになった。

以上

2007.08.31 Reported by 中倉一志
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