8月30日(木) 2007 J2リーグ戦 第37節
仙台 1 - 0 京都 (19:04/ユアスタ/11,510人)
得点者:'54 オウンゴ−ル(仙台)
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前節のテンションを引き継ぎ、さらにそれを上回る内容を90分続け、仙台は京都を退けた。先週末に平塚まで行けなかったサポーターも、ホームで見せたこの戦いぶりに、仙台の変貌を確信したはずである。
8月、仙台は多くの勝点を取り逃してきた。水戸、徳島、愛媛、草津と、順位表の下4つにいる相手との4連戦、その全てで相手に先制点を許すなど、集中を欠いて試合に臨んだことで決して小さくない代償を払い続けた時期もあった。
だが、もう大丈夫だ。前節の湘南戦、そして今節の京都戦にあったのは、粘りの面で進化を遂げた仙台の姿。仙台にとっては9月以降の戦いに大きな弾みをつける勝利だった。
開始1分、ロペスからのワンツーパスを受けて最終ラインの裏に抜け出したのはボランチの千葉。これによる1対1はGKに阻まれるが、仙台のこの一戦にかける意気込みを表現するには十分な場面だった。
その後も仙台は、素早い攻めで京都を脅かした。印象的だったのはロペス。前節は守備でほとんど機能していなかったロペスだが、今節は前線からのチェックで貢献。14分には奪ったボールを中島へスルーパスで出して自らゴール前に駆け上がり、折り返しを受けてシュート。34分にも自分のチェックでボールを奪い、関口の素早いフィニッシュを呼び込んだ。
さらにこの日は、ロペスに限らず、チーム全体の粘り強さが目立った。実はこの日の京都も、決して出来が悪かったわけではない。ショートパスでサイドを頻繁に変えようとする意図がはっきりと見えたし、前線のパウリーニョとアンドレも巧みな動きで仙台の守備陣を脅かしていた。それこそ前回対決時(京都5−1仙台)の仙台であれば、早い時間に綻びを作られていたかもしれない。
だが今回、仙台はチーム全体で京都の揺さぶりに食らいついた。繰り返されるサイドチェンジにも、足を止めないスライドで対抗し続け、一つ突破を許してもすぐさま2人目、3人目が寄ってくる守備は、明らかに5失点した前回と様相を異なものにしていた。
そして0−0で迎えた54分、仙台は高い位置で梁がボールを拾うと、前に出ようとした京都の裏を取り左に流れたロペスへすぐさま展開。ロペスが平島をかわして入れたセンタリングは、ニアに走りこんだ中島の頭をかすめた後、その中島を追って入ってきたチアゴに当たってマウスに吸い込まれていった。実はオウンゴールという結果に試合後「喜びすぎて恥ずかしい」と中島は笑ったが、崩しの素早さを考えれば、何も恥ずかしがることのない美しい得点だった。
試合はそのまま1点差で進み、最後は3トップにしてきた京都の猛攻を凌いだ仙台が、このカードでの今季初勝利を得ている。
ところでこの試合、京都に流れが傾きかけた場面が3度あった。だがその全てを、仙台はフィールドの選手、そしてベンチの働きで回避し、最少得点での勝利を手繰り寄せた。
1つ目は23分。パウリーニョにこの日唯一、ライン裏に抜け出された場面。右から切り込まれ、利き足の左足でシュートの体勢に持ち込まれた瞬間、戻った岡山が間一髪でボールをカットした。この形で失点を喫していれば、その後ラインは下がり、仙台としては全てのゲームプランが崩壊、前回の5失点同様の流れになりかねなかっただけに、まさに「1点もの」の守備だったと言える。
2つ目は65分過ぎからの時間帯。前半から飛ばしていた仙台の運動量が落ち始め、京都のボール回しについて行くスタミナも、奪って前へと行く出足も失われ始めたこのタイミングで、京都は明らかに攻勢に出ていた。
ここで仙台79分、チームの中でも疲れがより目立っていた永井を下げ富田を投入。限界点ギリギリまで踏みとどまってのこの交代はずばり的中し、一気に中盤の混乱を沈静化することができた。
最後は試合終盤。京都は田原を投入し3トップへと布陣を変えると同時に、途中投入でスタミナが有り余っている渡邉を左サイドバックに移して、前半から狙い続けていた仙台右サイドの再攻略にかかった。仙台の右サイドハーフにはこちらも途中投入の菅井がいたが、その後ろの右サイドバック田村は、前半からの奮戦で疲労困憊、足をつり、そのせいか致命傷になりかねないパスミスを犯す場面もあるなどかなり危険な状況にあったため、何かしらの対応が必要な場面だった。
そこでベンチは、千葉を下げて中田を投入する。千葉が負傷を抱えていたこともあるが、菅井を中央に移したとしても、やはり中央の高さは減るため、それなりのリスクはある。
だがそのリスクを補って余りある効果を、この交代はもたらした。右のサイドハーフに入れられた中田は、将棋でいう香車のように右サイド前のスペースに睨みを聞かせたことで、渡邉はほとんど攻めに絡んでこられない。結果的にこれで京都の左サイド攻撃を減少させたことが、3トップの効果を半減させることにも繋がったわけで、仙台としてはしてやったりの「1−0」勝利であろう。
出場停止の角田に代わって登場した秋田が遜色ないプレーを見せるなど、この日の京都におかしな点は全くなかった。だからこそ、仙台にとってこの勝利の意味は大きい。
以上
J’s GOALニュース
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