今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第37節 山形 vs C大阪 レポート】ロスタイムの劇的ゴールでC大阪が連勝! 山形は無得点の3連敗で低迷脱出はまたもお預け。(07.08.31)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
8月30日(木) 2007 J2リーグ戦 第37節
山形 0 - 1 C大阪 (19:04/NDスタ/2,100人)
得点者:'89 香川真司(C大阪)

----------
 勝ち点3を最後まで信じたホームの舞台は一転、奈落の底と化した。

 このまま引き分ければ、勝点1を分け合うことになっていた。ドローと敗戦では、相手に2ポイント余分に渡してしまうかどうかの違いはあるが、このまま引き分けたとしても、自身が手にできる勝ち点は1ポイントしか違わない。しかしそうと解っていても、90分を越える戦いの証としての「勝ち点0」はあまりにも痛い。試合終了のホイッスルのなか、歓喜に沸くC大阪と、もはやしっかり立っている選手のほうが少ない山形。明暗はくっきりと分かれた。

 「本来であればここまで苦しまずに済んだゲームだった」
 安堵混じりにクルピ監督があえて苦言を呈したのは、「決勝点の前にも決定的なチャンスがあったので、それを決めていれば、もう少し早い時間にゲームを決められた」という試合終盤の時間帯だ。

 後半23分、ほとんど機能しなかったツインタワーをあきらめ、森島康に代えて濱田を投入。右サイドでプレーしていた古橋をトップに据え、中盤とトップとの風通しを改善しようと試みた。その効果は間もなく表れる。後半28分、小松が右スペースに入り込む。マイナスのクロスは山形のゴール前を通過し、山形のカウンターにつなげられてしまったが、29分には移籍後初先発となったジェルマーノからパスを受けた古橋のスルーパスに香川が抜け出し、ペナルティーエリア内からシュート。GK清水のファインセーブに阻まれたが、36分には濱田が右サイドから入れたグラウンダーに古橋がスルー、香川がセットしたボールを中央に回り込んでいた濱田がミドルシュートを放つなど、サイドから中の起点を使って飛びだす形で、繰り返し山形ゴールに迫った。

 その中でも動きが際立っていたのは、左サイドに集められたボールを確実にゴール前のチャンスにつなげていた香川だった。ただ、19分、28分、33分とめぐってきた決定機をすべて決めきれず、0−0のままロスタイムに突入。C大阪自体もチャンスが途切れていたが、ロスタイム目安の3分を回った後、右サイドの濱田から飛んできたクロスに頭から飛び込むと、うまく地面に叩きつけたボールがついにゴールネットを揺らした。暫定7位という順位も、3位まで勝点7差も変わらない。それでも、苦しい試合で手にしたこの勝点3は、厳しいレースを戦い抜くための大きなモチベーションとなるに違いない。

 3連続無得点で3連敗を喫した山形も、立ち上がりは「今日こそは」の期待感を発散させていた。怪我により前節から2トップが入れ替わったが、チャンスを得た2人が運動量で攻撃を推進する。開始直後、丹羽からジェルマーノへのパスを絡め取った北村が持ち込んでこの試合のファーストシュート。さらに、石川のフィードで左サイドを破った北村がマイナスのクロスを入れ、もう1人のFW坂井のシュートを引き出した。このシュートはGK吉田に阻まれたが、その後も、前半だけで6本のCKを獲得するなど押し込み、ミドルレンジからのシュートも積極的に狙い、3試合ぶりの得点と試合の主導権を手に入れようと、45分で9本のシュートを打ち込んだ。前半41分には財前が負傷でピッチを退くが、交代で入った佐々木が突破力を活かしてシュート、クロスとチャンスを広げた。

 守備では、C大阪の高さのある2トップにレオナルド、鷲田が体を寄せて動きを制限し、中央に入ってプレーする古橋、香川の両SHも中盤の4人の受け渡しで、何度か危ない場面も切り抜けた。後半に入り、カウンターを応酬する展開になるとサイドから崩される機会も増えたが、ゴール前を固め、GK清水も枠内のボールに的確に対応し、失点だけは防いでいた。それだけに、ロスタイム終了間際の失点には、選手のすべてがショックを隠しきれなかった。GK清水も「あれだけ耐えたのに、またさらにあのようなことが起こるとは思ってなかった」と、厳しすぎる試練をどう受け止めていいのか戸惑っている様子だった。

 こうした思いをしないためにも、なんとしても実現したいのが得点力アップだ。公式記録では、福岡、札幌、C大阪の3試合で放ったシュート数は計34本。9試合ぶりに出場した坂井は、肌で感じた問題点をこう話している。「サイドの選手が持つときに、ペナルティーエリアからどうしても流れてしまい、中の枚数が足りなかった。もう少しエリアの幅でプレーしたかった」。また、樋口監督は「1人で打開できる選手はうちには残念ながらいない。そうすると、局面で2対1をつくったり、数的優位をつくって出ていこうと思うと、収まらないと出ていけない」と、高い位置で起点がつくれていないという別の問題も指摘する。

 現実を受け止めるのは果てしなく痛みを伴う作業だ。痛み止めを使う手段もあるだろうが、効力が失われれば痛みはぶり返し、変わらない現状が残される。
向かうべき道は、痛みの回避ではなく、痛みとの対決。戦いに参加する人数が多ければ多いほど、快方に向かう時期は早まるはずだ。

以上

2007.08.31 Reported by 佐藤円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着