10月10日(水) 2007 J2リーグ戦 第44節
福岡 1 - 1 京都 (19:03/博多球/8,627人)
得点者:2' 森岡隆三(京都)、89' 布部陽功(福岡)
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勝点63の福岡と勝点70の京都。互いの立場は違っていたが、大混戦の昇格レースに勝ち残るためには、ともに勝点3が必要なことに変わりはなかった。J1への強い思いと、勝ちたい気持ちがぶつかり合う激しい試合になる、それが試合前の予想だった。ところが、ピッチの上で繰り広げられたのは、互いの力をぶつけ合う試合ではなく、ともに過去の課題を繰り返す試合。福岡も、京都も、昇格の可能性は残したが、勝点2を失った両チームが抱える問題は少なくない。
試合開始直後の2分。ペナルティエリア付近で不用意なファウルをしないことを確認し合っていた福岡が、いとも簡単に与えたFKを森岡隆三が直接ゴールネットを揺らして京都が先制。京都にとっては最高の立ち上がりだったはずだ。立ち上がりに京都が出てくるのは前節の湘南戦を見ても分かり切っていたこと。それにもかかわらず、何となくゲームに入ってしまった福岡を一気呵成に攻め立てるチャンスでもあった。しかし、京都はここから徹底的に守りを固めることを選択する。
負けられない試合。実力が拮抗している相手。シチュエーションを考えれば、守りを固めてカウンターを狙うのは定石。森岡は「前半はいいペースかなと思っていた」と口にする。しかし、それにしても消極的すぎた。8人で守りを固め、攻撃はパウリーニョとアンドレの2人に任せきり。ただロングボールを2人に向かって蹴るだけではチームのリズムは生まれない。ロスタイムの同点ゴールを悔やむよりも、そこに至る経緯にこそ問題があった。
しかし、その京都を攻めきれないのが福岡。徹底して引く京都にスペースは消されていたが、それにしても工夫がなさすぎた。パスは足元につなげるばかり。中盤の選手の動き出しがなく、ボールを保持するだけでスピードが上がらない。積極的に前線に駆け上がる城後寿にボールは送られず、最大のストロングポイントである田中佑昌を生かそうという意図さえ感じられなかった。「立ち上がりに点を取られたことで意思疎通に欠いた部分があった」(布部陽功)。出し手と受け手の意思が微妙にズレたチームはミスも繰り返した。
「中盤の選手がもっとアプローチに行け。守りに入るばかりではなく、チャンスには攻める気持ちを忘れるな」。ハーフタイムの美濃部直彦監督の指示を受けて、後半の立ち上がりに京都はふたたび前に出る。しかし、前半のほとんどを守ることだけに費やし、自ら攻撃のリズムを放棄したチームに簡単にリズムが戻るわけもない。唯一の攻撃の手段だったアンドレとパウリーニョの運動量も極端に落ち、あとは前節の湘南戦同様、ただボールを跳ね返すだけになっていく。
前に出る福岡。試合はハーフコートゲームの様相を呈した。京都には1本のシュートも許さず、前からボールを追うシーンが増える。それでも、ただ守るだけの京都に一気呵成に襲いかかるまでの力はない。前半と比べればスペースへ出るプレーも、仕掛けるシーンも増えたとはいえ、2点を奪わなければいけないことを考えれば物足りないものだった。再三にわたってゴール前に現れる布部陽功が勝ちたい気持ちをプレーに表し、左サイドでは久永辰徳が2人に囲まれながらも積極果敢に仕掛けても、それがチームとしての勢いにつながらない。
どうしても押しきれない流れを変えるためにリトバルスキー監督は最終ラインを3枚にして長野聡を前線に投入、パワープレーに出る。この戦術に京都は明らかに戸惑いを見せた。しかし、なぜか福岡は長野にロングボールを当てることが徹底できない。ロスタイムの同点ゴールは、その長野の落としと、気迫あふれる布部が形にしたものだったが、指揮官の意図をピッチで表現できないチームに2点目は遠かった。長野がほとんどのボールを競り勝っていただけに、もっと徹底できればの思いが強く残る。
森岡の先制ゴール。布部の劇的な同点弾。それぞれは素晴らしいものだった。しかし、ゲーム全体を眺めれば、互いの課題を修正出来ていないことばかりが目についた。中10日の準備期間がありながら、悔しい思いをしたはずの湘南戦の教訓を生かせずに繰り返した京都。勝つことでしか何も始まらない状況に追い込まれているにもかかわらず、足元ばかりのパスで攻撃を停滞させた福岡。試合の流れや、相手の出方に応じた戦いができていないことが、両チームが苦しんでいる最大の理由だろう。
それでも、昇格への可能性が消えないのが今年のJ2。それは、この両チームだけではなく、多くのチームが同じ課題を抱えていることを意味する。そんなサバイバルレースに生き残る方法は、自分たちの置かれた立場を理解し、やらなければいけないことを行動に移すことでしかない。それができずに同じことをいつまでも繰り返すようなら、昇格の可能性は単なる机の上の数字にしか過ぎなくなる。福岡にとっては46節の札幌戦(10/20@博多球)、そして京都にとっては45節のC大阪戦(10/14@西京極)。この試合こそがサバイバルレースに生き残るための最後のチャンスになる。
以上
2007.10.11 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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