10月10日(水) 2007 J2リーグ戦 第44節
湘南 3 - 1 鳥栖 (19:03/平塚/3,220人)
得点者:21' 藤田祥史(鳥栖)、25' 加藤望(湘南)、65' エドワルドマルケス(湘南)、76' アジエル(湘南)
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ポゼッションで上回り幾度かペナルティエリアも陥れるなど、優位に試合を進めていたのは湘南だったが、先制点を奪うのは鳥栖だった。21分、レオナルドが左の山城純也に振る。マッチアップするサイドバックへの素早いアプローチをはじめ攻守に効いていた山城は、DFラインの頭上を越すやわらかいラストパスを送った。これに絶妙な動き出しで応えたのは藤田祥史だ。現在、J2リーグ日本人得点王をひた走るストライカーは、背後からの難しいボールに巧みに合わせ、技ありのゴールを決めた。それまでは縦パスを許さず、中盤で奪えばすかさずサイドへ散らし攻め立てていた湘南にとっては、流れとは裏腹な先制弾だった。
このとき思わず漏れたホームサイドの溜息は、しかしわずか4分後に歓喜の色に変わった。25分、積極的な攻撃参加を見せる山口貴弘が右サイドから中央目がけてラストパスを送る。ニアの坂本紘司はこれをスルーし、その先でパスカットを狙った鳥栖DFの足も届かない。そこに待ち構えていたのが、10月7日に38歳のバースデーを迎えたばかりの加藤望だった。フリーで受けるや瞬間、枠を確認し、自身の間で右足を振りぬいた。指揮官をして、「望の素晴らしいシュートで前半のうちに追いつけたことが大きかった」と言わしめたJ2最年長プレイヤーによる貴重な同点弾である。
それにしてもこの38歳の存在感には舌を巻く。「スーパーダイナモ」というフレーズで湘南サポーターが記念日を祝ったとおり、まさしく守備では坂本らと挟んでボールを奪い、攻撃に転じれば周りと連動しつつ縦横無尽にピッチを駆ける。アジエルをはじめ仲間との呼吸で逆サイドへ顔を出したのは一度や二度ではない。
そのベテランを起点に、山口のピンポイントクロスから石原直樹がヘディングシュートを見舞うなど湘南が相手ゴールを脅かせば、鳥栖もカウンターに活路を見出す。パスを繋ぐ時間帯もあった。だが前半のうちにはともに追加点は生まれず、勝負は後半に委ねられる。
鐵戸裕史のクロスバーを叩くミドルを皮切りに、後半開始早々から押し込んだのはアウェイチームのほうだった。積極的にシュートを狙い、あるいはダイレクトパスで崩しペナルティエリアまで侵入するなどゴールの予感を漂わせる。だが対する湘南も最後の所で凌ぎきり、アジエルを軸にエドワルド マルケスや石原に代わって入った原竜太の2トップ、そして前半から攻めの姿勢強く再三ペナルティエリアを窺っていた坂本、もちろん加藤、くわえて山口と尾亦弘友希という両サイドバックが機を見て絡み、反撃に出る。こうして、「逆転できたのはホームの力」と坂本が振り返った逆転弾は生まれた。65分、こぼれ球をエドワルドがかっさらい、アジエル、さらに左に展開した加藤へと繋ぐ。加藤はダイレクトで折り返し、相手DFのあいだを抜けたエドワルドがどんぴしゃでヘッドを合わせた。
ところで湘南の2得点の背景には、たしかに鳥栖のミスも潜んでいた。ただ、やはりそのまえに流れをぐいと手繰り寄せるプレーがあったことも忘れてはならない。たとえば序盤に坂本が高い位置まで走りボールを奪ったシーン、また追加点の直前には加藤がなかへ切れ込み際どいミドルを放ってもいる。そうした積み重ねの先で、劇的ゴールは結実した。
逆転された鳥栖は、すでに途中出場していた尹晶煥にくわえ野崎陽介と金信泳を相次いで投入、打開を目指す。70分過ぎには衛藤裕が相手ゴール前に走りこみ、あるいはミドルを狙い、さらにリスタートから尹がヘディングシュートを放ったが、いずれもGK金永基の砦を崩せない。逆に湘南は76分、相手のクリアボールを中盤でカットした北島義生がすかさずアジエルへ渡す。受けたアジエルはドリブルに乗り、相手に囲まれながらも針の穴を通すようにゴール右隅へシュートを刺した。互いに攻めあう姿勢は最後まで続き、そのまま試合終了の笛を聴いたのだった。
今節の結果を受け、鳥栖は5戦未勝利となった。とくに声における問題は深刻なようだ。「第4クールだというのに……」右サイドから攻撃を主導する高地系治は、もどかしさともつかぬ苦悩を隠さない。それぞれが考えてプレーするなかで、それら個を繋ぐためには声が不可欠だ。指揮官の求める「激しくプレスをかけ、奪ったらしっかり繋ぐ」サッカーも、声が足りなくては成し得ない。いま一度、根本を見直したい。
一方の湘南は、先制されながらも同点、そして逆転劇を演じ、勝点を積み上げた。つぎは、今節もアウェイで徳島を下し5連勝と、現在もっとも波に乗っている東京V戦に臨む。「逆転したあとも守りに入ることなくやり続けたことが3点目に繋がった」と試合後に加藤が噛み締めたように、今季つくりあげた組織的守備を土台に、どんな展開であっても攻め続ける姿勢が湘南にはよく似合う。中2日と次節に向けても間がないが、ハードワーカーたちにとってそんな日程はもはや関係なかろう。むしろよい流れは切れないほうがいい。現在のメンタルとパフォーマンスを西が丘に持ち込むまでだ。そして勝ち続ける先に、新たな景色、さらに「J2最年長プレイヤー」という看板も新しいフレーズに書き換えられる日が待っている。
以上
2007.10.11 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
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