10月13日(土) 2007 ヤマザキナビスコカップ
鹿島 3 - 2 G大阪 (15:00/カシマ/16,279人)
得点者:41' 本山雅志(鹿島)、44' 本山雅志(鹿島)、49' 播戸竜二(G大阪)、51' 小笠原満男(鹿島)、66' シジクレイ(G大阪)
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本山雅志の卓越した個人技で2点を奪い、前半を折り返したところまでは、オズワルド オリヴェイラ監督の描いたシナリオ通りの展開だったことだろう。後半立ち上がりに播戸竜二に1点を返されても、すぐさま小笠原満男がFKで追加点を挙げる。そんな老獪さも鹿島アントラーズらしさだった。
しかし後半15分、計算外のアクシデントが起きる。攻撃陣に勢いを与えていた本山が負傷退場を余儀なくされたのだ。これが鹿島の歯車を狂わせる大きな転機になってしまう。3−1でリードしているにもかかわらず、彼らは落ち着きを失い、一瞬のスキを突かれてシジクレイに2点目を取られてしまう。
2試合合計3−3のタイとなり、モノを言ったのが「アウェイゴール」だった。アウェイで2点奪っているG大阪とゼロの鹿島。その差は想像以上に大きかった。終盤はG大阪の播戸やマグノアウベス、中盤の選手たちに巧みに時間を使われてしまった」と岩政大樹も悔やんだが、鹿島は一度失ったリズムを取り戻せない。柳沢敦、興梠慎三を投入して4トップにしても、最後まで高い壁を打ち破ることはできなかった。
終了のホイッスルが鳴った瞬間、3−2でこの試合に勝ったにもかかわらず、田代有三、中後雅喜、青木剛と選手たちが次々とピッチに倒れこんだ。2年連続のヤマザキナビスコカップ決勝進出も、悲願の10冠の夢も断たれた選手たちの姿はあまりにも痛々しかった。が、「彼らにはまだリーグ戦もある。この悔しさをぶつけてくれると確信している」と指揮官も話すように、来週からはすぐにJ1リーグ戦が再開される。11月からは天皇杯も待っている。気持ちを奮い立たせて、次なるタイトルへ向かっていくしかない。
第1戦を敵地で0−1で落とした鹿島。13日の第2戦では「アウェイゴールを与えず、先に点を取る」という難しい命題に挑まなければならなかった。しかも右サイドのスペシャリスト・内田篤人が北京五輪アジア最終予選・カタール戦出場のためチームを離脱した。指揮官は先週6日のヴィッセル神戸戦と同じように、右に新井場徹を回し、左に石神直哉を入れるかと思われたが、試合経験の有無を重視したのか、新井場はそのまま左に置いて、右に中後を起用する秘策を採った。基本布陣の4−4−2は予定通りだ。対するG大阪は4−2−3−1からスタート。播戸の1トップで守備的に挑んできた。
序盤はG大阪がいいリズムでスタートしたが、1点のビハインドを跳ね返したい鹿島がじわじわと押し込み始める。20分過ぎからは完全にゲームを支配。ヘッドの強い田代を起点にロングボールを多用しつつ、そのこぼれ球を拾って攻めるという形を繰り返した。これが機能し、田代やマルキーニョスが決定機を迎えるようになる。小笠原、野沢拓也、本山の3人が連動して意表をつく攻めを見せるなど、攻撃のバリエーションも増えてきた。寺田紳一も「ホントに自分たちが攻められるのか?」と思ったというが、それほどこの時間帯の鹿島には勢いがあった。
迎えた41分、喉から手が出るほどほしかった先制点が生まれる。野沢が左サイドに開いた瞬間、2列目からゴール前へ一気に走りこんだ本山がパスを受け、相手DFをかわして左足を振り抜いたのだ。この3分後、再び本山が見事なフェイントで寺田をかわして2点目をゲット。10日のアウェイゲームでは戦術的理由でスタメン落ちを強いられたエースナンバー10を背負う男が意地と誇りを見せつけた。
前半を終えて、第1戦との合計スコアは2−1。このまま行けば鹿島は2年連続で決勝へ進める。だがG大阪はそうやすやすと勝たせてくれる相手ではなかった。「これで後半は点を取りに行かなければいけないことがハッキリした。ここからだ」と西野朗監督はハーフタイムに選手たちを激しく鼓舞したという。そんな指揮官の闘争心が乗り移ったのか、後半のG大阪は前半とは別のチームのように前がかりになる。そして4分、寺田→前田雅文とつながったボールを受けた播戸が、鹿島守備陣に生まれたギャップをうまく突いてゴール。貴重なアウェイゴールを奪ったのだ。
それでも鹿島の勝利への意欲は衰えなかった。この2分後に小笠原のFKが壁に当たって直接ゴールイン。この試合のスコアは3−1になり、彼らは再び優位に立つ(第1戦との合計スコアは3−2)。この直後、本山がケガで下がるアクシデントが起きた。が、「常勝軍団」と呼ばれた頃の鹿島なら、どんな状況でもリードを死守しただろう。追いすがる相手の攻撃をしぶとい守りで止め続け、ファイナル行きの切符を勝ち得ていたはずだ。
だが、今季の鹿島は「不安定な守り」という継続的な課題を抱えている。それがこの大事なゲームで出てしまう。後半21分、きっかけは遠藤保仁の左CKだった。彼の蹴った微妙な高さのボールは難しい位置を通過していった。これに戸惑ったのか、岩政も田代もGKの曽ヶ端準も金縛りにあったように止まってしまう。次の瞬間、ボールはファーサイドでフリーになっていたシジクレイへ。彼のヘッドがゴールネットを揺らすのは、当然の成り行きだった。
「今日は90分間集中していたし、悪い流れはなかった」と岩政は話したが、2試合合計で2度のリードを生かせなかったチームが勝ち進めるほど、カップ戦は甘くない。、指揮官が柳沢、興梠と切れるカードを次々と切っても4点目は生まれない。この試合だけを見れば3−2の勝利となったが、ファイナリストの座をつかんだのは結局、G大阪だった。
アウェイゴールの有無…。傍目から見ると微妙な違いだが、鹿島イレブンにとっては非常に大きな差だったに違いない。「この展開でも勝てないんだから、ガンバの力が上だった」と本山も認めるしかなかった。精神力や攻守両面のバランスのよさ、勝利を強引に引き寄せる力…。全ての面でレベルアップしなければ、悲願の10冠はいつまでも達成できない。大目標達成への厳しさを改めて痛感させられる一戦だった。
以上
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