10月13日(土) 2007 J2リーグ戦 第45節
鳥栖 0 - 3 仙台 (16:03/佐賀/3,721人)
得点者:25' 千葉直樹(仙台)、68' ロペス(仙台)、75' 萬代宏樹(仙台)
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前半25分の仙台のCK。梁が右コーナーアークに静かにボールをセットした。ゴール前では、両チームの選手たちのポジション取りが激しく行なわれていた。田辺主審は、一度プレーを止めて両チームの選手に注意を促し、争点を静めた。その中で、一人冷静にこの後に起こることを考えていた選手がいた。
仙台MF千葉である。
179cmの彼は、GKの周りを動き回り、鳥栖DFのマークをはずそうと試みていた。仙台には、彼より背の高い選手が大勢いる。前節には、最長身のDF岡山がCKからヘディングで得点を決めている。その長身の選手時は、ペナルティエリアに集まっている。
誰もが、長身の選手に合わせてくるものと見ていた瞬間、梁のボールはピンポイントで千葉の頭に合わせられた。「ピンポイントで合わせられたら・・・」鳥栖DFが、その後の言葉を飲み込んでしまうほどの絶妙なタイミングだった。
この25分の先制点には、様々な伏線があった試合だった。
今節を迎えるまで、両チームとも2得点を挙げるほど、攻撃に関しては調子が良いと言い切れなかった。鳥栖は、第39節対仙台戦で、終了間際に失点し、以降5試合で勝利から見放されている。しかも、8試合連続失点中であった。鳥栖らしさを取り戻すためには、「無失点で乗り切り、最少得点で勝つ」(岸野監督/鳥栖)つもりだった。仙台は、今節を迎えるまで10試合、1得点以下の試合が続いていた。しかも、前節は虎の子の1点をアディショナルタイムで失い、勝点2を逃してしまっていた。
両チームとも「先制点」が、のどから手が出るほど欲しかった。それが、勝点3を得るための最良の手段であり、残ったシーズンのチーム力を向上させるための良薬となるからである。その先制点は、仙台に入った。
田辺主審の投げたコインの行方を、鳥栖のキャプテン高橋と仙台のキャプテン千葉が目で追っていた。コイントスで、勝った方がエンドを選択する事ができる。サッカーの神様は、エンドの選択権を千葉に与えた。千葉が選択したのは、風上のエンド。仙台の選手は、キックオフと同時に鳥栖陣内に攻め込む作戦でいた。
「今日はどんな状態になっても、攻める姿勢を失わない」(DF岡山/仙台)つもりでいたことが、すぐに応援に駆けつけた仙台サポーターには通じたことだろう。両サイドDF菅井と磯崎は、積極的に前線に顔を出していた。サイドMFのロペスと梁は、激しくポジションチェンジを繰り返した。2トップの萬代と中島は、鳥栖のDFラインを下げようと試みていた。
しかし、鳥栖も負けてはいなかった。前線からプレッシャーをかけて、ボールを奪いに行った。連動して動くことで、インターセプトの機会が多かった。サイドDF日高と鐡戸は、クロスを多くFWに入れた。ボランチの高橋と衛藤も、積極的にゴール前に飛び込んだ。FWに山口が入ることで、後ろから上がる時間ができたこととDFの押し上げが機能していたからである。開始4分には、高橋のインターセプトから藤田のシュートまでもって行くことができた。21分には、藤田から落としたボールをDF日高が強烈なミドルシュートを放った。前半だけで6本のシュートを放ち、風下ながら優位に攻めていたのは鳥栖のほうだった。
しかし、サッカーの神様が先制点を与えたのは、仙台だった。コイントスから、仙台選手の今節にかける気持ちを感じていたのだろう。見事に仙台の選手たちは、前半唯一のシュートで先制点をもぎ取り、鳥栖の猛攻をしのぎきってしまった。
前半25分の先制点が、この試合の全てを決定付けたと行っても良い。後半開始から、鳥栖は追いつくべく尹を前節同様トップの位置に入れた。積極的に仕掛けるべく、58分には野崎を左サイドに入れた。69分には、金信泳をトップに入れて追いつく姿勢を見せた。しかし、いずれの作戦も前がかりになった鳥栖が、早い展開を試みる仙台の攻撃陣にPKを与えてしまい空砲に終わった。68分と75分のPKは、仙台の今節にかける気持ちが奪い取ったものあり、鳥栖の勝ちたいという気持ちが空回りした結果である。
「タフなゲームを含めてリスタートできたのが大きかった」と勝者の望月監督(仙台)は、今後に向けて感想を残し、敗者となった岸野監督(鳥栖)は、「決めないとああなる、そういうことが見えた試合だった」とこの試合の反省を述べるにとどまった。今節を終了した時点での両チームの立場が明確に出てしまった試合だったといえる。
ボールが激しく動き、選手も合わせて動く。サッカーの面白さは、一瞬のプレーで攻守が切り替わることにある。
110m×68mのピッチでは、外周僅か70cm足らずのボールが1個あるだけで、それを必死の思いで22人が追う。
当然、ボールに触れない時間が多く、一瞬のプレーの重みが出てくる。
集中力とボールに対する想いが強ければ強いほど、一瞬のプレーに磨きがかかり精度が向上する。
その一瞬のプレーを見逃すまいと必死になって観戦する。
サッカーは、プレーする側も観る側も、集中力が必要である。
以上
2007.10.14 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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