10月14日(日) 2007 J2リーグ戦 第45節
水戸 1 - 0 徳島 (19:04/笠松/1,336人)
得点者:20' 吉本岳史(水戸)
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2つの顔を持つ水戸の現状を映すゲームであった。
「我々が持っているポテンシャルを出し切れないうちに終わってしまいました」と今井監督が試合後に振り返ったように、水戸が攻守において徳島を圧倒。序盤から積極的な姿勢を見せ、チャンスを作り出していった。際立ったのは金澤と椎原の両サイドMFの動きだ。「ワイドの選手にもっと中に入って仕事をするように伝えた」という前田監督の指示通り、2人が中盤で縦横無尽の動きを見せたことで徳島守備陣は混乱。中に入る動きができることにより、今まで以上に縦への突破が生きるようになった金澤はいつも以上の切れ味を発揮し、次々とサイドアタックを繰り返した。
そして20分、水戸の幅広い攻撃に対し、混乱した徳島守備陣の隙を見逃さなかった。最終ラインからのロングボールをDF裏で受けた塩沢がペナルティエリア内で倒され、PKを奪取。それを吉本が落ち着いて蹴りこみ、先制点を挙げた。その後も攻め手を緩めず、チャンスを作り出していった水戸。アクションサッカーの着実な浸透ぶりを見せることとなった。
だが、それだけにもう1つの顔である「得点力不足」が如実に表れることとなった。先制点を喫し、「プランが狂った(片岡)」徳島は最終ラインでパスミスを連発。そうした相手のミスに乗じて得点を奪うことが強いチームである。しかし、相手のパスミスを奪いながらもゴールにつなげることができず。さらには中盤を支配したことでサイドから何度もチャンスを作ったが、ラストパスのアイデアを欠き、決定機を築くまでには至らなかった。
全体的に積極的な姿勢こそ見ることができたが、詰めの甘さは相変わらず。そのツケは当然終盤に回ってくることとなった。80分に吉本が2枚目の警告を受けて退場すると、最後は徳島のパワープレーにさらされた。なんとか集中を保ち、逃げ切ったものの、内容的に圧倒していただけにもっとラクな展開に持ち込みたかったところ。「もっと点を取れていたと思う」と金澤は話す。勝ちはしたものの、課題も顕著に現れることとなってしまった。
ただ、徳島の方が課題は深刻か。けが人が続出したこともあり、この日は全体のバランスがバラバラ。攻守においてミスが目立ち、いいところなく敗れることとなってしまった。特に最終ラインの連携が悪く、失点もラインコントロール時の意思疎通を欠いたことによるもの。それ以外でもオフサイドトラップを失敗する場面が何度も見られた。攻撃においても意図のあるパスが水戸に比べてはるかに少なく、チームとしての攻撃の形を見ることができないまま、偶然性の強い攻撃に終始した。
なすすべなく敗れた徳島。しかし、今はチームとして地力をつけるべき時のはず。勝敗も大事だが、チームがどこに向かっているのかという指針をピッチ上で示すことの方が重要なのではないだろうか。敗戦以上にそれがまるで見えなかったことが悔やまれる一戦であった。
その反面、水戸は指針は見せている。最下位に低迷するものの、チームの成熟度は日に日に高まってきており、アクションサッカーは確実に身につきつつある。この日の中盤の構成力は今までにはなかったものであり、攻撃の幅が広まったことを証明してみせた。この試合だけでなく、どの試合でもチームの方向性は見せてきた。そして、攻撃においても、昨季までとははるかに異なるものを見せている。だからこそ、最後の壁である「得点力不足」が大きく感じられるのだ。ただ、壁を乗り越えるための特効薬はない。チーム全体の攻撃意識をさらに強めていくだけ、今、進んでいる水戸をぶれずに進んでいくだけである。この日の勝ち点3を糧に歩みを進めることで必ず壁を乗り越える日が来るはずだ。
ただ、この試合で残念だったのは吉本の1枚目の警告である。先制ゴールを決めた吉本はすぐにユニフォームを上げ、サポーターに向かい「12」と書かれたインナーシャツを見せ、喜びを分かち合った。その行為に対して、警告を受けることとなってしまったのだ。主審の判断はルールに沿うものであり、間違いではない。吉本自身も「ルールを理解していなかった」と反省をしており、妥当なものである。ただ、サポーターと喜びを分かち合おうという吉本選手の気持ちは心の底から賞賛したい。「サポーターと一体になれたのでよかった」。吉本のその思いこそが水戸ホーリーホックにとっての最高の財産である。
2007.10.15 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第45節 水戸 vs 徳島】レポート:アクションサッカーと得点力不足という2つの顔を見せた水戸。内容では圧倒しながらも1対0の辛勝に終わる。(07.10.15)















