11月4日(日)第87回天皇杯4回戦 広島 vs 湘南(13:00KICK OFF/鳥取)
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2003年のJ2をチームと共に闘ってきた広島のサポーターにとって、湘南ベルマーレというチームには格別な想い出がある。誰もが「最終節での昇格をかけた直接対決」を予想していた状況下で迎えた第43節(当時のJ2は44試合制)、広島はホームで鳥栖に2−1で勝利。ところが、昇格を競っていた川崎は、その年の対戦成績で3勝をあげていた湘南に対し、2−2で引き分けてしまったのである。これによって、広島は1試合を残してJ1復帰を決定。当時、77分に同点ゴールをあげた湘南・坂本紘司に対して、感謝の言葉を口にする広島サポーターが跡を絶たなかった。
広島が湘南と対戦するのは、その年以来4年ぶりとなる。2003年の時の対戦成績は、広島の2勝1分1敗。しかし、3−0と広島が快勝した最後の対戦をのぞき、この2チームは常に接戦を演じていた。広島は湘南の組織的な守備を崩せず、試合の主導権を握っているようで実は湘南のペースでゲームが進む、というパターンを繰り返していたのである。
あの時とは、広島も湘南もメンバーが変わっているし、そして互いに置かれている状況も違う。広島はJ1残留争いのまっただ中に巻き込まれ、ここ6試合勝利がない。1週間前の千葉戦では、88分まで2−0でリードしていながら、ロスタイムで同点に追いつかれてしまい、「勝てない」ことがチームに与えている状況の重さが理解できる。一方の湘南は、今季のJ2の「台風の目」的な存在として健闘してきたが、残り4試合で3位仙台との勝ち点差が8と、ギリギリの線でJ1昇格争いに踏みとどまっているのが現状。両チームともリーグ戦での厳しい戦いの中で迎えたこの天皇杯で結果を残し、リーグ戦に勢いをつなげていきたいところだ。
ただ、広島にとっての不安材料は、ウェズレイが足の太ももを傷めており、湘南戦を欠場すること。ペトロヴィッチ監督は、佐藤寿人を1トップに据え、そのシャドーとして森崎浩司・柏木陽介を置く布陣を練習で試しているが、1試合平均1.09(J2リーグ2位)と守備の堅さを誇る湘南を相手に、個人の力で崩せるウェズレイの不在がチームに与える影響は少なくない。練習でも、いいコンビネーションでの崩しは見られているが、一方で組織的な守備ブロックをつくられた時にどう崩していくか、というテーマへの回答はまだ見つけられていない。湘南の最終ラインには、斉藤俊秀やジャーンといったJ1での経験が豊富な選手がいることもあり、個々の工夫なくして広島が得点をあげるのは、決して容易ではない。
「昨年、ウチで頑張ってくれていたチュウ(中里宏司)がいるチームだからね。湘南の試合は、ずっと注目して見ていたんだ。湘南は、ブラジル人選手が3人ともよく機能しているチーム。我々に対しては120%の力で闘ってくるだろう」と広島の指揮官は湘南に対して警戒心を隠さない。「今、広島全体が、我々のことを心配してくれている。全力を尽くしているのはわかってくれているとは思うが、結果が残せていないのが、私は歯がゆい。だからこそ、リーグ戦が気になるのはわかるが、まず湘南に勝つことに向けて、全力を尽くしたい。昨年も、天皇杯で勝利したことで勢いを取り戻したんだから」。
J1残留に向けて勢いをつけたい広島。一方の湘南もまた、J1昇格の可能性を追い求めるためにも、J1チームを倒して雰囲気を高揚させたいところ。毎年、J1対J2の試合は白熱するものだが、このカードは特に、互いの勝ちたい気持ちがピッチに渦巻く戦いとなるだろう。
以上
2007.11.03 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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