11月10日(土) 2007 J2リーグ戦 第49節
水戸 1 - 0 愛媛 (13:04/足利陸/1,054人)
得点者:85' 金澤大将(水戸)
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85分、吉本からのロングパスを受けた金澤がそのままGKをかわし、ゴールマウスに戻ったDFをあざ笑うかのように落ち着いたループシュートを放ち、ゴールを決めた。結局、これが決勝ゴールとなり、水戸が勝利をおさめた。「これまでウチがいいリズムでも点が取れず、やられるケースがあった」(金澤)水戸だけに確かな成長を感じさせるゴールと勝利であった。
「やっていて手応えのあるゲームだった」と金澤が振り返るように1対0という点差以上に内容で差のついた試合であった。3分に金澤、4分に塩沢、15分にも塩沢が決定機を迎えるなど序盤から水戸の積極性が支配し、ほとんど愛媛陣内で試合が行われる展開となった。
その展開を生んだのも4日に行われた天皇杯鹿島戦の影響によるものが大きい。消耗度の激しい試合となり、翌週の練習では動きが鈍く、「プレスのかけ方がまとまっていなかった」(塩沢)。そのため、前田監督が「全員で戦うために今日は前からプレスに行かせた」ことで「みんなの意識が高まった」(前田監督)。それが最後までチーム一丸となって戦えた要因であり、決勝ゴールを呼び込むこととなった。さらに「鹿島戦で得たものは大きい」と倉本が話すように1人1人が鹿島戦で得た収穫と課題をこの試合にうまく持ち込んだことも勝利の要因だ。特に局面での「1対1で負けなかった」(倉本)ことで愛媛を圧倒。自信に溢れたプレーがチームの攻撃性をさらに助長し、次々とチャンスを作り出すこととなった。「全体的に80%くらいやってくれた」と前田監督も満足げな表情を見せた。
だが、「決めるところを決めていれば、もっと楽な試合になっていた」(金澤)というのも本音である。打つも打ったり、愛媛の倍の18本のシュートを放ちながらも1点差では決して満足できる結果ではない。「あとは精度ですね」と前田監督はチームに必要な残り20%のことを語った。
とはいえ、引いた相手に対して、18本のシュートを浴びせたということは成長の証でもある。昨季までの水戸はリアクションでしか攻撃ができなかったが、今では相手を崩し、そしてシュートまで持ち込めるようになっている。81分、西野のポストプレーから金澤がボールを受け、オーバーラップしてきた右サイド鈴木和にパス。そして、そこからのクロスに塩沢が飛び込んで頭で合わせるものの、わずかにゴール左。決定機を外すこととなってしまったが、相手の守備を切り裂いたシーンだけに「あれで入っていればパーフェクト」(前田監督)という展開を作れるようになっている。「流れは素晴らしかった」と話す前田監督。水戸が着実にアクションサッカーへの道筋を歩んでいることを証明した90分であった。
一方、愛媛にとっては悔しい敗戦である。水戸とのプレス合戦で敗れ、「ボランチが消されることとなった」(望月監督)ため、攻撃の起点が作れず、防戦一方の展開に。後半は大山の動きから何度かチャンスを作ったが、水戸の守備を最後まで崩すことはできなかった。愛媛は攻守においてボランチにかかる比重が大きい。そこを潰された時の工夫のなさが、激しいプレスをかける水戸と対戦すると常に如実に表れてしまう。結局、今季4戦で水戸からは無得点。今後の大きな課題となることだろう。ただ、この試合でエースの田中が復帰。残りのリーグ戦、そして天皇杯浦和戦に向けての明るい材料となりそうだ。
「落合監督(中日ドラゴンズ)とは逆の発想ですね」。前田監督は試合後に自らの采配をそう語った。日本シリーズで日本一が懸かった試合で落合監督は完全試合を目前にしていた投手を交代させ、勝利に徹した。しかし、前田監督は1人も選手を交代させず、継続することでチームに勝利をもたらした。それは前田監督のサッカー哲学でもあるという。「サッカーは90分間プレーする体力がないといけない。そのプロセスの中で代えることもあるが、90分間が基本」と語り、「続けることが大事なんです」と力強く締めた。
この日の90分だけでなく、シーズン通してアクションサッカーを貫いた『継続』がこの勝利につながったことは疑う余地はない。最下位という順位に沈みながらも目先の勝利だけにとらわれず、常に自分たちの目指すサッカーを貫いてやってきた。その中でミスもあり、失敗も繰り返してきた。だが、そうした経験の積み重ねが日々チームを大きくしてきたのである。そして、すべての選手たちが目指すサッカーを信じ、全力でしがみついてきた。その結果、1人1人が確かな成長を見せていることは水戸サポーターが一番よく知るところだろう。今季前田監督がもたらした『変革』はまったくぶれることなく、確かな手応えとしてチームに浸透している。この日の勝利で最下位脱出が見えてきた。しかし、水戸の目指す場所はそんな小さなところではなく、もっとはるか高い場所である。そのためには今の『変革』をさらに進めるしかない。
本物の目標を得るためにはさらなる『継続』あるのみ――この日の勝利がそれを強く訴えかけている。
以上
2007.11.11 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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