11月11日(日) 2007 J2リーグ戦 第49節
鳥栖 1 - 0 札幌 (13:03/鳥栖/7,680人)
得点者:50' 衛藤裕(鳥栖)
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鳥栖の選手たちは、昨年の悔しさを忘れてはいなかった。鳥栖に勝った横浜FCが、鳥栖スタジアムの試合で昇格を決めたことを…。
今節も他会場の結果次第では、札幌が昇格を決定付ける試合となるはずだった。アウェイの地に乗り込んできた札幌は、勝点3が命題。今季の鳥栖は、ここまで札幌に1勝もできずにいた。アウェイゴール裏には、多くの札幌レプリカが踊っていた。
今季の対戦では、札幌の堅守に鳥栖が手を焼いていた。守備のブロックを崩すことが出来ず、第31節(札幌1−1鳥栖)での藤田のゴールが、唯一札幌から奪った得点だった。札幌は、確実に1得点ずつを奪い、対戦戦績を2勝1分けとしていた。
札幌は、今節も確実に勝点3を狙っていた。得点1が大きなウェートを締める今カード。その1得点が入ったのは、後半5分のことだった。
札幌は、高さとDFの裏を取られないことには、絶対的な自信を持っているチーム。その札幌が痛恨のミスを犯してしまった。鳥栖DF吉田の入れたロングボールに対して札幌DF曽田が目測を誤り、裏を取られてしまった。鳥栖FW金信泳がそのボールを拾って札幌ゴールに迫った。角度のないところからのシュートは、GK高木によって弾かれたが、ゴール前に走りこんだ鳥栖MF衛藤の足元にコースを変えた。このボールを落ち着いて衛藤が押し込んで鳥栖に先制点が入った。
この1点は、鳥栖の試合運びから生まれた1点であり、ここまでの流れからはいつ入ってもおかしくないものだった。それだけ、この日の鳥栖は前線からのプレッシャーが効いていた。藤田と金信泳の寄りに対して、札幌は自由にボールをフィード出来ず、FWのダヴィと中山に渡ることが少なかった。こぼれたボールは、衛藤と高橋が拾いまくっては、左右に散らした。この流れは後半40分まで続いた。
是が非でも勝点3が欲しい札幌は、早めに交代カードを切ってきた。後半13分にはMFに岡本を入れた。それから約10分の間に石井と西を入れて攻撃的な布陣を引いてきた。後半40分には、曽田を前線に上げてパワープレーを用いた。アディショナルタイムを含む9分間には、鳥栖のゴールを脅かし続けた。しかし、鳥栖の身体を張ったディフェンスに、最後までゴールを割ることが出来なかった。そして、勝点3を得ることなく今節を終了した。
京都が山形に逆転勝ちしたために3位京都との勝点差は6に縮まり、4位仙台との差も7になった。3位以内の確定は次節以降に持ち越される結果となってしまった。
どちらも守備から入るチーム同士。鳥栖は、前線からボールを奪いに行くが、札幌はブロックを形成して相手のボールをはじき返す。「守備は攻撃への準備」であることに変わりはないが、その攻撃への切り替え方に違いがある。この日の鳥栖スタジアムは、全員が連動してボールを奪い攻撃へとつなげた鳥栖の方が勝った内容だった。
攻守が一瞬にして入れ替わるサッカー。あの後半5分のボールに札幌が触れることが出来れば、結果は違っていたかもしれない。札幌が触れることで、札幌の攻撃が開始されていたことだろう。しかし、数センチの差で鳥栖に渡ったボールは、ゴールに吸い込まれてしまった。これが、サッカーの醍醐味であり、サッカーの酷なところである。
札幌は、昇格に王手をかける数センチであり、鳥栖はその存在感をここに来て示した数センチである。必死に戦っているからこそ生まれた結果であり、そこにサッカーの素晴らしさがある。
敗れたとはいえ、遠くから駆けつけた札幌サポーターは、試合後に選手たちに拍手とエールを贈っていた。全力で戦った仲間に対しての労いであるとともに次節へ持ち越した昇格への願いを込めたものだった。札幌の選手、サポーターは、次節こそホームで昇格の歓喜に溢れてほしい。試合後の惜しみない拍手を聞いた瞬間に素直に感じてしまった。あの拍手は、サッカーの素晴らしさを伝えてくれる振動である。
鳥栖のサポーターは、堅守札幌から目指すサッカーで1点を奪ったことを素直に喜ぼう。これもサッカーの素晴らしさである。
サッカーには感激がたくさん詰まっている。
以上
2007.11.11 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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