11月18日(日) 2007 J1リーグ戦 第32節
広島 1 - 1 神戸 (14:05/広島ビ/13,555人)
得点者:47' 佐藤寿人(広島)、65' レアンドロ(神戸)
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ブロックをつくって守る。それが、この試合の広島のテーマだった。
前線にスピードのある選手が並んでいる神戸は、カウンターが鋭い。その対策として、ラインを下げて裏のスペースを消し、守備ブロックをつくってボールを奪う方法を広島・ペトロヴィッチ監督は選択した。
しかし彼にとって誤算だったのは、選手たちがその戦術を意識しすぎたのか、あるいはJ1残留の重圧からか、指揮官の思惑以上に引きすぎてしまう。「ブロック」ではなく「ライン」と化してしまったがために、神戸の司令塔・ボッティにスペースを与えてしまったのだ。完全に中盤を制した神戸はサイドで数的優位をつくり、広島のゴール前に危険なクロスを供給。槙野智章やストヤノフが跳ね返してはいたものの、こぼれ球はことごとく神戸の支配下に。広島は、我慢に我慢を重ねるしかなかった。
36分、神戸のエース・大久保嘉人がフリーで放ったミドルシュートは、バーとポストに当たった後、ゴールラインを越えたように見えた。しかし、副審は「完全にボールがラインを越えたわけではない」と判断したのか、ゴールインのジェスチャーはしない。主審もゴールを認めず、大久保のシュートは「幻のゴール」となり、先制を逃してしまう。
しかし、神戸の勢いは衰えない。45分、カウンターから朴康造が抜け出す。数的同数の状況で朴は槙野を引きつけ、フリーとなった大久保にパス。ペナルティエリア内で決定的なシーンを迎えた。
だが、レアンドロをマークしていた森崎和幸が一気に反転し、大久保のシュートコースを消す。大久保はドリブルを仕掛けるが、森崎和は慌てない。そして大久保の切り返しを完全に読み切り、絶妙のタイミングで足を出してボールを奪ったのである。6月23日、神戸でのゲームの時も、同じようなシーンがあった。この時、森崎和は大久保を引っかけ、決勝点につながるPKを与えてしまった。だが今日は、森崎和の落ち着きが大久保を制したのである。
この2つのシーンの他にも、前半の神戸は数多くのチャンスをつくった。しかし不運も手伝って、それを決められない。そうなると、サッカーの神様は気まぐれを起こす。
ハーフタイム。森崎和は佐藤寿人と縦パスを出すタイミングについて話し合った、と言う。前半、神戸の高いラインに苦しんでいた広島だが、その裏をついて何度か決定的なシーンをつくってはいた。その狙いを確認したのである。
47分、森崎和がルックアップしたと同時に、佐藤は裏へと飛び出す。その瞬間、森崎和は、右足を強振。柔らかく精度の高いロングパスが、オフサイドの網をかいくぐった佐藤の足下に。フリーとなった広島のエースは、利き足ではない右足で、ボールをゴールに流し込んだ。押しに押されていた広島が先制点を奪う。本当にサッカーとは、わからない。
その直後、広島は何度か決定機を得た。しかしJ1残留への重圧は、選手たちの動きを前方向から後ろへと引き戻す。前半と同様に全体が引き気味となり2ライン化した広島は、神戸にまたもスペースを与え、セカンドボールを拾えなくなった。
65分、右サイドからのクロスを広島は許す。森崎和が跳ね返すが、こぼれを支配したのは古賀誠史。強靭な左足から放たれた古賀のスピードにあふれたクロスに反応したのは、レアンドロ。ニアに飛び込み、テクニカルな右足ボレーで流し込んだ。
同点に追いついて以降も、神戸は攻撃の手を緩めない。しかし、高柳一誠を投入して中盤の修正を図った広島は粘りの守備を見せ、カウンターを仕掛ける。双方共に決定機をつくったものの、最後の一押しができない。結果としてこの試合は、引き分けに終わった。
甲府と大宮も引き分けたことで、16位広島(勝点31)と15位大宮(勝点31)、17位甲府(勝点27)との勝点差は変わらない。しかし、主将として獅子奮迅の活躍を見せてきた戸田和幸が通算8枚目の警告を受け、2試合出場停止。青山敏弘と柏木陽介は水曜日までU−22日本代表にとられ、チームで調整する時間がほとんどない。状況は、非常に厳しい。
しかし、神戸・松田監督が「この試合なら2点以上とらないと」と唇を噛み締めたように、負けてもおかしくない内容の試合を引き分けに持ち込んだ意味は、決して少なくない。苦戦の原因となったバランスの悪さを修正し、持ち味であるボールに数多くの選手が絡んで攻めていくサッカーを思い出せば、厳しい状況も打破できるはず。そのためには、現状を重く受け止めすぎず、「やるべきことはやった」という開き直りを生むための練習を続けるしかない。
以上
2007.11.19 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第32節 広島 vs 神戸】レポート:J1残留の重圧に苦しむ広島。神戸に中盤を明け渡しながら、勝点1を死守。しかし戸田が2試合連続出場停止に。(07.11.18)
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