11月18日(日) 2007 J2リーグ戦 第50節
山形 1 - 0 水戸 (14:04/NDスタ/2,643人)
得点者:62' レオナルド(山形)
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「コーナーキックのこぼれ球がパスになっちゃうところが水戸にとってはアンラッキーなところで、あれがパスになってシュートで入ったというところが山形さんのラッキーなところじゃないかなと思います。そこの差だけだと思いますね、今日のゲームは」(水戸・前田監督)
この試合の勝者と敗者を分けたのは、後半17分、レオナルドのゴール。山形のCKがゴール前で跳ね返されたボールに合わせて、秋葉が中央からグラウンダーのミドルシュートを放つと、ボールは右ポスト近くに残っていたレオナルドの足元へ。レオナルドのシュートは逆サイドのポストに跳ね返されるが、それがGK武田でも、ほかの水戸の選手でもなく、再びレオナルドの近くに転がってきた。山形にとっては5連敗を脱出し、9試合ぶりの勝利を決めたプレーだったが、水戸にすればアンラッキー中のアンラッキーということになるだろう。
しかし、まさに前田監督が言うとおり「そこの差」だけだった。両チームとも、少ないながらも決定機はあったが、ゲームの内容は、互いの攻撃力が相手守備力を凌駕するシーンが少なかった。キックオフ時点ですでに4.2度まで冷え込んでいたスタジアムでの観戦に相応しい試合では、決してなかった。
午前中から降り続いた雨で、メインスタンド側のピッチで水しぶきが上がるなど、ボールコントロールに神経を遣うコンディション。山形、水戸ともにロングボールを多用したシンプルな攻撃で組み立てていく。山形はトップの豊田に当ててからの展開を狙ったが、水戸のDF平松によって空中戦は自由にならないことが多かった。前半、山形がもっともゴールに近づいたプレーは、37分、臼井の左クロスに秋葉が競りながらヘッドで合わせたシーン。しかし枠に飛んだシュートはGK武田が真上に弾いたあとにしっかりとキャッチ。続く38分には臼井がペナルティーエリア内でシュートを打ち込んだが、これも武田がキャッチ。しかし、これ以外のプレーではパスの出し手と受け手の意図がまるで噛み合わないシーンのオンパレード。雨でボールをコントロールしきれないプレーが目立った。財前が左から、園田が右から上げたクロスに豊田も反応はするが飛び込みきれず、41分には中盤でパスカットした本橋が中央をドリブルしたあとに右サイドの財前に絶妙のスルーパスを送るが、ようやく上げたクロスに飛び込む形跡はなかった。思いどおりにいかない時間帯が多かったが、ただ、「0−0で行ってもあまり焦れないように、我慢強く戦う戦い方をやっていました」(石川)と、冷静さを失わなかったことが後半の決勝点につながっていった。
豊田ほどのターゲットがいない水戸は、山形DFラインの裏へFWを走らせる。前半は5本のシュートを放つが、決定的と呼べるシーンは後半に入ってから生まれる。後半9分には、左クロスのこぼれ球をボックス内で西野がシュート。15分にも、こぼれ球を倉本の右足がゴールを狙ったが、いずれもGK清水が弾く。1点を先制された直後の後半20分にも、ボックスの外から倉本が蹴り込んだシュート性のボールを、ファーで西野が合わせるが、これも枠をとらえきれず。パスの回りは山形以上にスムーズで、CKでは8対1と上回るなどチャンスはつくれていた。パズルは完成間近だが、「決定力」というピースだけが、この試合では見つからなかった。
開幕から続けてきた水戸のアクションサッカーへの挑戦は、この1年で大きな進歩を遂げてきた。今節で最下位脱出は果たせなかったが、水戸・前田監督は、「1年間、彼らがどう伸びていったかということが、今の水戸にとっては大切なこと」と、長期的な視野を優先させている。今季残る2試合はC大阪と札幌。力のあるチームとの連戦は、水戸にとって格好の期末試験となる。
1シーズンに同じ相手と4度対戦するJ2では、相手の長所を消す傾向が強い。特に上位チームには他のチームがこぞって研究の度合いを強めてくるが、そこで動くのか、動かずに継続するのかの舵取りは非常に難しいものとなる。が、どちらにしても進歩することが求められ、それができたチームが結果として上位を占めることになる。「攻めるところまではいくが、最後、決め手という部分で、残念ながらシーズン通してクオリティを上げることができなかった」(樋口監督)という山形には、足りない部分があったという事実が厳然として残るシーズンとなったが、山形の印象を聞かれた敵将の前田監督が「メンタルというのはすごい強くなきゃダメだと。そこがいちばん大きいんじゃないですかね。そこを鍛えないと上位には行けないと思いますね」と指摘したことは興味深い。
今節でホームゲームを終え、最終節でカードが組まれていない山形は、次節・アウェイ鳥栖戦が今季ラストゲームとなる。石川、秋葉が累積4枚目で出場停止。1秒ごとに意味のある90分間の末に、勝利を手にしたい。
以上
2007.11.19 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第50節 山形 vs 水戸】レポート:ともに決定力を欠くゲームで、1点を奪った山形がホーム最終戦を勝利し連敗脱出。水戸の最下位脱出は次節以降に持ち越し。(07.11.19)
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