11月18日(日) 2007 J2リーグ戦 第50節
福岡 2 - 0 徳島 (17:04/博多球/9,293人)
得点者:25' リンコン(福岡)、36' アレックス(福岡)
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山形恭平の見事なサイドチェンジから奪った先制点。久永辰徳の仕掛ける姿勢が奪った2点目のPK。いずれのシーンも福岡の攻撃的な姿勢が生んだゴールと言える。しかし、この2つのゴールシーン以外に福岡が観客をひきつけたシーンは皆無に等しかった。90分間に渡って狙い通りのサッカーを意図的に展開していたのは徳島。試合内容は、福岡が何度も繰り返した逆転負けのパターンに酷似していた。これもサッカーということなのかもしれない。しかし、この日、そんな言葉に納得する福岡サポーターは少なかったことだろう。
前節のC大阪戦まで45試合を過ごしてもなおチームを熟成できず、連携もままならない。動かず、仕掛けない選手たちが口にする自分たちのサッカーは、ただ閉塞感を漂わせるだけのものになり、つなぐサッカーが機能しないために取り入れた前線に向かって蹴るサッカーにも対応できず、J1昇格を目指していたチームは、いつの間にか7位という順位が妥当なチームになった。そんなチームに求められていたのは、それぞれの選手が責任を持ってやるべきことを遂行し、目の前の試合にすべての力をぶつけ、そして勝利を挙げることだった。
勝利という結果は手に入れた。それが最も重要なものであることは誰もが理解している。それでもなお、この日の結果でチームが何かを得たのかと問われれば素直にうなづくことはできない。足もとにつないで相手のプレッシャーを受け、ゴールを狙う積極性に欠け、相手の攻撃に対してはただズルズルと下がる。そして無防備にフリーの選手を作って決定的なシュートを浴びる。第2クール以降に顕在化した課題を相変わらず繰り返しただけの試合は、福岡が陥った状況を改めて露呈したものだった。
一方、「ご覧になった通りのゲーム内容。それぞれの皆さんが見た通りの、そんなに皆さんと差異はないのかなと思う」とは試合後の今井雅隆監督(徳島)。悔しさを押し殺しての記者会見となったが、徳島にも閉塞感が漂う。京都、札幌、C大阪の上位陣に対しても、この日の福岡に対しても、自分たちの狙い通りのサッカーを展開しながら、結果は7試合連続無得点の7連敗。安定した戦いが求められるリーグ戦では、自分たちのサッカーを表現し続けることは重要な要素だが、それも結果を伴ってこそ。徳島もチームの課題が改めて浮き彫りになった試合だった。
中盤を厚くした4−5−1の布陣から、前に出てくる相手に素早くプレッシャーをかけてボールを囲い込む。奪ったボールを不用意に蹴らずに熊林親吾に預けて組み立て、左SBの塩川岳人をビルドアップの起点にして前に出る。C大阪に引き続きCBの位置でプレーしたアンドレは存在感を示し、ダ・シルバは相変わらずの運動量で攻守の要となってチームを支えた。「チームとしてのコンセプトを前後半やり通せたということは実感としてある」という今井監督の言葉は十分にうなづける。
ただ、ゴール前での力強さ、工夫の足りなさ、そしてミスの多さは変わらず。いい形を作りながらも、そのチャンスを広げられない。それでもこの日は、後半にいくつかの決定的なチャンスも作り出したのだが、それをゴールに叩き込むことができなかった。「早い時間帯にゴールが生まれていれば、こちらが2−0で勝てていた試合」という片岡功二の言葉には納得できる部分もあるが、その1点が遠い。徳島もまた、目の前に立ちふさがる壁を破れない試合を繰り返した。
激化する昇格争いに加わることができない両チームだが、それは目標のすべてを失ったことを意味しない。リーグ戦が続く限り、サッカーが続く限り、目の前の試合に対してベストパフォーマンスを発揮し続けること、そして観客を引き付ける「何か」を見せることが両チームの目標であり使命でもある。それがチームとしての、プレーヤーとしての来シーズンにつながる。福岡はこの日の勝利を、徳島はこの日の内容を、残り2試合につなげて観客が納得する戦いを見せられるかが問われているが、それはプロサッカー選手としての姿勢を試されることを意味している。
以上
2007.11.19 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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