2月17日(日) 東アジアサッカー選手権2008 決勝大会
日本代表 1 - 1 北朝鮮代表 (19:15/中国・重慶/30,000人)
得点者:6' チョン・テセ(北朝鮮代表)、69' 前田 遼一(日本代表)
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国歌斉唱の時から罵声が飛び交い、試合開始後も日本がボールを持つたびにブーイングが起きる。中国・重慶の反日ムードは2004年夏のアジアカップの時と変わらなかった。しかし、北朝鮮戦のピッチに立った選手でその強烈アウェーを経験しているのは中澤佑二(横浜FM)や遠藤保仁、加地亮(G大阪)の3人だけ。「Aマッチ初出場が2人(川島永嗣=川崎Fと田代有三=鹿島)いたし、10試合未満の選手も多くて、立ち上がりは落ち着かなかった」と遠藤も話した。
異様な空気に飲まれたのか、序盤の日本代表は入りが悪すぎた。中盤でボールを失い、絶対に仕事をさせてはいけない北朝鮮のエース・鄭大世(川崎F)にいとも簡単に先制点を献上してしまったのだ。中村憲剛(川崎F)が発熱で欠場したこともあり、その後もなかなかボールが落ち着かない。前半途中に遠藤が自ら下がってワンボランチの鈴木啓太(浦和)のサポートに入ってからはようやくミスパスが減ったが、この日の岡田ジャパンは1月の指宿合宿から積み上げてきたことが何ひとつできていなかった。
後半に入り、両サイドからの攻めを意識するようになってから少しリズムが変わり始める。その先陣を切ったのが内田篤人(鹿島)だった。「A代表の試合ではまず戦うことが大事だと分かった」と話す19歳の右サイドが積極的な攻め上がりでチャンスを作る。それでもビハインドは跳ね返せなかったが、チームを窮地から救う新たな存在が現れた。それが後半20分に起用された安田理大(G大阪)と前田遼一(磐田)だった。
「相手に先制点を奪われて、1対1で勝負できる選手というのが今回はミチ(安田)だった。彼が必要だと考えた」と話す岡田武史監督の期待を背負った20歳の突貫小僧は普段より1つ前目の左MFでプレー。強引にドリブルで突進し、鋭いクロスを上げた。これを相手GKがミスしたところに飛び込んだのが前田。6日のタイ戦(埼玉)直前には風邪を引いて体調を崩し、試合出場機会を得られなかった男が確実に1点をもぎとった。
北朝鮮に1−1のドローという結果はかなり不本意ではある。が、内田と安田、前田、後半に入って本来の泥臭さを取り戻した田代ら新戦力が台頭したのは大きな収穫といえる。この苦しいゲームを20日の次戦・中国戦につなげていくしかない。
第3回東アジア選手権が17日、重慶五輪競技場で開幕した。日本戦に先駆けて行われた第1試合は韓国が3−2で中国に逆転勝ちした。岡田監督率いる新体制発足後、初タイトルを狙う日本としては韓国同様、白星から大会をスタートさせたかった。
今大会では多くの選手を試すという狙いを持つ指揮官はこの日、初キャップの選手2人を先発でピッチに送り出した。水本裕貴と播戸竜二(G大阪)のスタメンも2006年10月のインド戦(バンガロール)以来。新顔が多いため、連携面がやや不安視された。対する北朝鮮は5−4−1の守備的布陣。鄭やボランチの安英学(水原三星)が中心選手だ。
6日の2010年 FIFA ワールドカップ南アフリカ アジア3次予選初戦・ヨルダン戦では超ディフェンシブな戦い方をしたという北朝鮮だが(結果は1-0で北朝鮮の勝利)、この日は日本の4−1−3−2システムを研究してきたようだ。彼らは日本のワンボランチが両刃の剣であることを熟知し、そこに徹底してプレスをかけてきた。これで中盤の連動性を失った日本はミスパスを連発。開始6分に鄭の先制点を許してしまう。1対1には絶対的な自信を持つはずの水本だったが、いとも簡単に鄭にかわされてしまう。これ以外にも2度、彼が飛び込んで背後を取られる危険な場面があった。この日は本来の水本らしさが残念ながら見られなかった。
前半は左サイドバックで初先発した加地と急きょ先発した山岸智(川崎F)の動きが重なったり、中盤が連動性を欠いたり、播戸と田代の2トップにボールが入らなかったりととにかくリズムが悪かった。チャンスらしいチャンスは41分、右CKから中澤がヘッドで合わせた場面だけ。「チーム全体がどうするか考えているうちに前半が終わってしまった」と播戸も不完全燃焼感を露にするしかなかった。ハーフタイムには岡田武史監督も「もっと両サイドを使って攻めろ」と激しく檄を飛ばしたという。
後半は相手の運動量が落ち、選手たちが異種独特なスタジアムの雰囲気に慣れたことで、流れが少し変わった。内田がクロスを上げる回数がより多くなり、田代も高さを生かしたポストプレーを披露。「後半になって自分のリズムでやれた」と本人も話している。
そして極めつけが安田である。2005年11月に熊本で行われたU-18アジアユース1次予選・北朝鮮戦でも、彼は全く同じようなプレーから決勝点をたたき出している。今回はゴールこそ奪えなかったが、チームを窮地から救う大きな仕事をしてみせた。「北朝鮮とは相性がいいのかも。チームの起爆剤にはなれたかもしれない」と彼自身、A代表デビューに大きな手ごたえを感じた様子。彼を抜擢した岡田監督の采配も見事だった。
終盤には田代が2度の決定機を迎えながら決め切れなかった。「もう少しやれると思ったが…」と指揮官もゲーム内容に不満を感じたようだ。確かに日本は北朝鮮に球際で負けていた。ゴール前での怖さも鄭を擁する相手の方が上だった。高原直泰(浦和)らを欠いているとはいえ、このままでは南アフリカへの道はさらに険しくなるといわざるを得ない。山岸、羽生直剛(F東京)、水本の「オシムチルドレン」が効果的な仕事を見せられず、左サイドの加地が戸惑いを感じさせたまま90分を終えるなど、期待外れに終わった選手も少なくなかった。彼らには奮起を期待するしかない。そんな中でも、内田や安田ら若い力が台頭したことを前向きに捉えたい。
次の中国戦はどうしても負けられない。完全アウェー状況の中、選手たちには意地と誇りを見せてもらいたいものだ。
以上
2008.02.18 Reported by 元川悦子
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■第2戦以降の予定
2月20日(水)東アジアサッカー選手権2008 決勝大会 第2戦 日本代表 vs 中国代表(19:15KICK OFF/中国・重慶)
-試合速報- / ★この試合の模様はTBS系列にて18:55より生中継!
2月23日(土)東アジアサッカー選手権2008 決勝大会 第3戦 日本代表 vs 韓国代表(19:15KICK OFF/中国・重慶)
-試合速報- / ★この試合の模様はTBS系列にて19時より生中継!
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一覧へ【東アジアサッカー選手権2008 決勝大会 日本代表 vs 北朝鮮代表】レポート:異様な空気に飲まれ、北朝鮮に大苦戦。やっとの思いでドローに持ち込んだ日本。内田、安田ら若い力の台頭という収穫も(08.02.18)
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