2月24日(日) 東アジア女子サッカー選手権2008 決勝大会
なでしこジャパン 3 - 0 中国女子 (17:30/中国・重慶/人)
得点者:19' 大野忍(なでしこジャパン)、43' 大野忍(なでしこジャパン)、55' 永里優季(なでしこジャパン)
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永川スタジアムのピッチ上に設置された表彰台の上に、なでしこジャパンはいた。
いつも、いつもその後ろに並んで、うつむきながら、他チームが最後にそこで喜ぶ姿を後ろから見続けてきた彼女たちにとって、ずっと立ちたかったその場所。とうとう念願の“タイトル”を手にして、そこに立って笑えるときがやってきた。
そのお立ち台に立ち「やっぱり最高ですね!」と荒川恵理子(日テレ・ベレーザ)ははしゃぎ、「みんなで取ったタイトルだから嬉しいし、まわりの人から言われ実感してきた」と山郷のぞみ(浦和レッズレディース)はかみしめ、「10年以上代表やってきて、本当に初めてのことだから。本当に、本当に嬉しい!」と澤穂希(日テレ・ベレーザ)は喜びをあらわにした。
東アジア女子サッカー選手権の最終戦、2月24日(日)。天候はくもり、気温は12度と少し肌寒い。日曜日ということ、そして地元中国との優勝をかけたたたかいとあってか、試合開始の数時間前から、驚くほど多くの人がスタジアムに向かう姿が見られた。1戦目の韓国vs北朝鮮戦ではまばらだったスタンドは、第2戦、日本vs中国が始まろうとする頃には、人・人・人で埋め尽くされた。スタンドの後方には立ち見をする人も多かった。
日本にとってみれば、強烈なアウェイの状態。中国の選手たちがウォーミングアップに出ようとすると、その集まった観客から、隣同士の声が聞こえないほどの大声援が飛ぶ。それと同時になでしこジャパンの選手たちもアップのためピッチに登場。なんとその観客に対して笑顔で手をふる選手もおり、「あれをブーイングと考えると気持ち的にもやられてしまうので。応援だと思って(笑)」と宮間あや(岡山湯郷Belle)。「あれだけたくさんのお客さんが入ってくれて嬉しかったですし」と荒川。あれほどのアウェイの状態すらも楽しんで、それを味方にしてしまうという、たくましさを感じる。
キックオフ前のスタメンの写真撮影のあと、ベンチの前に集まった全選手とスタッフが、ひとつの輪になり肩を組んだ。「みんなで戦って優勝しようってことで、ああしたんです」と澤。気持ちをひとつにして、笑顔でピッチに走りこんでいくスタメンの選手たち。
スタメンは、GK山郷、DF近賀ゆかり(日テレ・ベレーザ)、池田浩美(TASAKIペルーレFC)、岩清水梓(日テレ・ベレーザ)、柳田美幸(浦和レッズレディース)、MF大野忍(日テレ・ベレーザ)、澤、阪口夢穂(TASAKIペルーレFC)、宮間、FWには永里優季(日テレ・ベレーザ)と荒川のツートップ。大野を2列目の右に置いた佐々木則夫監督は、「今日は攻撃的にいこうということを全体にイメージをもたせたかった。引き分けでも(優勝できる状況で、それで)いいということではないことを、イメージさせたかった」という。
そのメッセージをしっかり受け取った選手たちは、30秒で永里がシュートを放つなど、立ち上がりから積極的に攻める。「永ちゃんと、がんちゃん(荒川)がキープして私たち2列目が前を向いてゴールを狙っていく」という大野は「狙い通りの試合が出来ました」と振り返る。
開始から19分、右に流れた永里からのクロスに大野は「ミーティングでも言われていたとおり(大野)」に反応し、まさに狙い通りの得点となった。
その直後、澤は一人ベンチの佐々木監督のもとにむかい「荒川のポジショニングをどうするか相談(澤)」するなど、終始全体のバランスをとることを優先させた。「今日はこれまでの2戦(の反省)をふまえて、バランスをすごく考えたんだ」と振り返った。
前半の40分ごろから、日本のセットプレーでのチャンスが増え始めた。この時間にもう一点がほしいという流れの中、とうとう追加点が生まれる。42分、宮間のCKを澤がシュート、ポストがはじいたところを大野が押し込み2−0とする。
2点リードで前半を終えたハーフタイム。佐々木監督は指示を出した最後に「守るなよ!攻撃のとき、5人が(後ろに)残ってるなんてやめろよ!」と激をとばし、「でも、3人は残っとけ!(笑)」と、選手を笑わせてピッチに送り込んだという。後半立ち上がりから二人の選手交代をしてきた中国。円陣の中から澤を呼び、その対応を指示する佐々木監督。
3点以上とらなくては優勝はない中国は、前半のボランチの二人をさげ、FWの選手を増やし、攻撃により比重を置いてきた。
勝利を確実なものにした日本の3点目は、後半の10分に早くも決まった。
右の大野からのクロスに永里がヘディングであわせ、3−0。「最初ニアに入っていたけどがんちゃんとかぶったので、ファーにポジショニングをしたらぴったりきた」という永里。
中国の選手たちの運動量もグンと落ち、バランスの悪さも目立ち始める。それと同時に、アウェイのムードを作っていた観衆からの声援も小さくなり、次第に帰り始める人が増えてきた。アウェイのムードをも跳ね返す3得点と試合内容を見せつけたなでしこジャパン。
3点リードの中、佐々木監督は22分に、荒川に代えて安藤梢(浦和レッズレディース)を投入し、右に安藤を入れ、大野を前にあげた。34分には、大野に代えて丸山桂里奈(東京電力女子サッカー部マリーゼ)を投入。43分には永里に代えて宇津木瑠美(日テレ・ベレーザ)を投入。その宇津木を2列目の左へ入れ、左にいた宮間を右に、右にいた安藤をトップに入れるなど、交代と同時にいろいろな組み合わせで展開。
ロスタイムの2分が過ぎ試合終了。なでしこジャパンは3−0で中国に見事勝利、3得点をあげ、無失点。自分たちの戦いを90分間貫き、勝利することができた。大きく両手を空にあげた澤。ピッチの中で抱き合い、ベンチに走り全員で輪を作ってはしゃいだ選手たち。
なでしこジャパンは、今大会3戦全勝、念願の初タイトルを手にすることとなった。
大会3得点の大野が得点王に、そしてこの優勝のきっかけとなった北朝鮮戦での終了間際のゴールと、終始チームの中心として活躍を見せた澤が大会のMVPに輝いた。
大橋監督から佐々木監督へと指揮官が変わり、準備期間がわずかしかなかった中、新しいスタイルを一日も早く自分たちのものにしようともがき苦しみ、戦い抜いた選手たち。一戦一戦、試合を重ねるごとに反省し、次に結果を出すことで、一歩一歩そのサッカーを自分たちのものにし始めているという手ごたえを感じていった。ひたすら“自分たちのサッカーを作り上げる”、そこに集中していた結果、勝利を重ね優勝を手にすることが出来たともいえるだろう。
この大会で得た一番大きなものは、“北京オリンピックにむけての自信”というかけがえのないものだったといえるかもしれない。ただ、まだその準備は始まったばかり。
表彰台から見た風景を忘れずに、更なる上を目指してほしい。
以上
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