3月9日(日) 2008 J1リーグ戦 第1節
川崎F 1 - 1 東京V (14:04/等々力/21,020人)
得点者:32' 森勇介(川崎F)、89' ディエゴ(東京V)
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川崎Fがリズムを崩した一因は、東京Vの勇敢さにあった。
川崎Fの圧倒的な3トップを前に、東京Vはゴール前ではしっかりとした守りを徹底。まずはゴールにふたをし、その上で攻撃時には枚数をかけて川崎F陣内へと攻め込んだ。戦前の予想に反して、ペースを握る東京V。川崎Fは立ち上がりの時間帯を苦しむこととなる。
川崎Fにとっての前半は、彼らが本来持っているはずのコンビネーションを出せないまま時間だけが過ぎていく難しいものだった。昨季からの主力選手の入れ替わりは、右ストッパーの井川祐輔と、左ウイングバックの山岸智。そしてトップに入ったフッキの3選手である。選手の出入りに関しては決して多すぎるものではなかった。それでもなお苦しめられたのは、ひとえに冒険的かつ爆発的な3トップの採用に他ならない。
「前半から前の3人の連携が取れてなくて1点しか取れなかった」と悔しさをにじませていたのは、3トップの一角を担う鄭大世。フッキという強烈な武器を手にした川崎Fにあって、前線からバランスを取る役割を任せられたキープレーヤーである。その鄭が、実感を込めて語った課題が、川崎Fの試合内容を説明していた。
ただそれでも1点を先制したのはさすが。前半32分に、寺田周平からのフィードを受けた森勇介が東京Vゴールへ向けて独走。一度はシュートをミスしたが、自らに跳ね返ってきたボールをきっちりと蹴り込んで川崎Fが1点を先取する。昨年末に、川崎市内の小児病棟を「ブルーサンタ」として慰問した森は、そこで知り合った19人の子供たちを招待。そんな背景もあって、川島永嗣を除くチームメイト全員が森を祝福すべく取り囲んだ。
このゴールによって、流れは川崎Fに傾いた。しかし、川崎Fはとどめの一撃を見舞うことができなかった。点が欲しい東京Vは、後半の中盤以降リスクを取って攻めにかかるようになる。それが故に、川崎Fはカウンターを連発。しかし功を焦りすぎたのか、3トップは精度の低いシュートを連発してしまう。
後半、わずかに3本にとどまった東京Vのシュートに対し、川崎Fが畳みかけたのは14本。しかしそのどれもゴールネットを揺らすまでには至らなかった。
「点を取りたい気持ち自体は悪いことではないと思う」と前線の選手をかばった川島は、後半の77分に決定的なピンチでシュートをブロック。前半27分に廣山望が抜け出して1対1になった場面も含めて、やるべき事は全てやり尽くす試合ができていた。それだけに、1点のリードを保ったまま、試合を終わらせることができなかった事に対して「結果を残したかったですね」と無念さを残すコメントを口にしていた。
後半終了間際のCKの場面。川崎Fは無理にゴール前に放り込まず、キープ。時間をかけてじっくりと試合を終わらせようとする。しかし、その意思に反し、1点を取りに来た東京Vの攻撃を受けてしまった。途中交代出場の平本一樹についたのは伊藤宏樹。
「よくわからないんですが、ファウルをしたという意識もないです」とその場面を振り返った伊藤のプレーがPKを宣告され、このシュートをディエゴがきわどく蹴り込んだ。
勝点3を狙った川崎Fは万事休す。昨季、第2節で神戸に引き分けたのに引き続き、今年も昇格チームを相手に勝点を2点落とす結果となった。落胆の心境を隠せない選手たちは口々に「切り替えます」と述べてスタジアムを後にした。
一方、敵地で勝点1を手にする形となった東京Vは、思い切りの良さが結果につながる事となった。また、60分に飯尾一慶に代わりピッチに立った河野広貴への交代采配を筆頭に、特徴のある選手を投入。川崎Fにプレッシャーを与え続けたのが功を奏す形となる。1点は失ったが、そこで切れることなくプレーを続け、追加失点を受けなかったのが引き分けを呼び込んだ形だ。
サッカーは何が起きるかわからない。戦前の予想に反し、思うように試合を進められなかった川崎Fが、東京Vと勝点を1ずつ分け合う結果となった。
以上
2008.03.09 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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