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【AFCチャンピオンズリーグ クルンタイ・バンク vs 鹿島】レポート:猛暑も人工芝ピッチも関係なし。常勝軍団・鹿島がクルンタイバンクを9−1で一蹴し、初のACL制覇へ好発進(08.03.13)

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3月12日(水) AFCチャンピオンズリーグ
クルンタイ・バンク 1 - 9 鹿島 (17:30/バンコク/人)
得点者:15' 田代 有三(鹿島)、20' 岩政 大樹(鹿島)、35' 野沢 拓也(鹿島)、46' マルキーニョス(鹿島)、49' 田代 有三(鹿島)、63' KASSIM(クルンタイ・バンク)、68' マルキーニョス(鹿島)、71' マルキーニョス(鹿島)、73' 佐々木 竜太(鹿島)、89' 野沢拓也(鹿島)

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高温多湿の気候も、人工芝ピッチも、慣れないボールも、常勝軍団には関係なかった。
 2007年Jリーグ王者として5年ぶりにアジアチャンピオンズリーグ(ACL)参戦を果たした鹿島アントラーズ。1次リーグ初戦の相手は昨季タイリーグ2位のクルンタイバンクだったが、技術・戦術・個々の能力・試合運びの老獪さ…と全ての面で相手を大きく上回った。

 立ち上がりこそスロースタートを強いられたが、開始15分にセットプレーから田代有三が先制。20分に再びリスタートから岩政大樹が2点目を奪い、35分に野沢拓也が3点目を挙げた時点で勝負の行方はほぼ決まった。それでも彼らは手を緩めない。「ACLはグループ1位しか準々決勝へ行けない。得失点差が後々、非常に大事になってくる」と話すオズワルドオリヴェイラ監督は、先発イレブンを代えないまま後半も戦い続けた。
 その結果、エース・マルキーニョスがハットトリックを達成。田代が2点、途中出場の佐々木竜太が1点とFW陣が計6ゴールをゲットした。野沢も2点を挙げるなど、9−1で相手を一蹴。鹿島は初のACL制覇に向けて力強い一歩を踏み出すのに成功した。

 クルンタイバンク、北京国安、ナムディンとともにF組に入っている鹿島。この1次リーグを突破するためにも、12日の初戦はきっちりと勝ち点3を確保しておきたい。しかし今回は熱帯のタイ・バンコクでの試合にもかかわらず、平日の15時半キックオフ。ピッチは人工芝で、慣れないボールが使われるなど、J1王者にとってはあらゆる面でアウェーだった。実際、試合開始時のチュラスタジアムの気温は34度。ピッチ上は45度を超えており、普通に立っているだけで朦朧としてくるコンディションだった。「早い段階で点を取らないと後々厳しくなる」と鈴木満取締役強化部長も懸念したほどだ。

 先週末8日のJ1・コンサドーレ札幌戦を出場停止で欠場した大岩剛、岩政大樹の両センターバックが復帰し、昨季2冠の最強布陣が揃った鹿島。だが過酷な気象条件が影響したのか、序盤の鹿島は動きが少し鈍かった。「最初はボールが足につかなかった」と本山雅志も言うように、多少の戸惑いがあったのかもしれない。そんな中、選手たちは「前半は守備的に行きつつ、田代をターゲットに使って素早い攻めでゴールを狙う」という作戦を忠実に実行し、15分にはいち早く先制点を奪う。始まりは小笠原満男のFKだった。これがDFに当たり、こぼれ球を拾った大岩がオフサイドギリギリに抜け出した田代にパス。彼は思い切ってシュートを放ち、確実に1点を手に入れた。クルンタイバンクは4−3−2−1に近い変則的な布陣で、かなり積極的に攻撃をしかけてくるチームだった。が、守備は甘く、最終ライン裏が空いていることも多かった。事前情報通りの相手の弱点を鹿島はいきなり突いたのだ。

 この5分後、小笠原の左CKから岩政が豪快なヘッドで2点目を奪う。日本代表に招集されながら試合出場を果たせず、3月1日のゼロックススーパーカップで退場している彼にとってこの試合は今季初の90分ゲーム。「今日は少しずつ自分の感覚を呼び戻すことを優先させてもらった。こういう試合ではセットプレーからの得点が重要。意味のある1点を決められて、自分もやっと一歩を踏み出せた」と彼自身も安堵の言葉を口にした。

 野沢の巧みな得点も加わり、前半は3−0で終了。大量点を取って今後の戦いを有利にしたい鹿島は後半も貪欲にゴールを狙った。開始1分にはマルキーニョスが相手DFを1対1で抜き去り、一気に持ち込んで4点目を奪う。彼は31歳のベテランだが、灼熱のバンコクでも疲れや消耗など一切感じさせない。この後も卓越したスピードとドリブル技術を次々と披露し、後半だけでハットトリックを達成する。特に本山からのスルーパルを受けて30〜40mを独走し、ゴールにちょこんとボールを置いた後半26分のチーム7点目などは、見る者を痛快な気分にさせた。

 マルキーニョスのゴールラッシュに刺激された田代も後半1得点。後半28分に途中出場した佐々木も、ファーストタッチでいきなりゴールを挙げた。極めつけは後半ロスタイムに本山からのスルーパスを確実に沈めた野沢。非凡な得点感覚を持つ選手として以前から高く評価されていたが、この日の自身2得点には本人も満足したのではないだろうか。

 終わってみれば大量9点。鹿島は昨季2冠の底力を見せつける格好となった。「確かに相手も強くなかったけど、今日は自分たちでラクな展開に持っていったのが大きい。1点2点入った後も追加点を狙い続けることができたから、こういう結果にできたと思う」とキャプテン・小笠原も力強くコメントしていた。後半になって相手がパスをつなぎ始めたら前線からプレスをかけてボールを奪いに行くなど、彼らは前後半で戦術を微調整する「余裕」も見せた。試合後、相手の2人が倒れて病院に運ばれる事態に陥ったが、鹿島側は最後までピンピンしていた。コンディショニングや基礎体力の面でも明らかに上だったといえる。

 そんな中にも課題はあった。後半18分にセットプレーからコートジボアール人FWカシムにフリーでニアサイドに飛び込まれた失点シーンである。「あれはいらない失点だった。しょうがないで終わらないようにしないといけない」と小笠原も反省しきり。ACLでは一瞬たりとも集中を欠くと命取りになりかねないだけに、この失点がなぜ起きたのか、どうすれば防げるかをチームとして改めて分析する必要があるだろう。

 いずれにせよ、初のACL制覇に向け幸先のいいスタートを切った鹿島。ナムディンに勝った北京国安と勝ち点3で並んだが、得失点差でリードした。このアドバンテージを今後、最大限生かしていくことが肝要だ。常勝軍団は大勝で満足することなく、この先も全てのタイトルを狙い続けていく。

以上

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