3月16日（日）J2 第2節 横浜FC vs 湘南（16:00KICK OFF/ニッパ球）
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　「神奈川ダービー」。かつては、横浜FC、川崎フロンターレ、湘南ベルマーレの神奈川3クラブ同士の対戦を、川崎FのJ1昇格後は、横浜FCと湘南の試合を神奈川ダービーと称して、様々なイベントで盛り上げる特別な試合であった。その神奈川ダービーが2年ぶりにJ2の舞台で復活する。

　横浜FCは、J2降格後、選手を大幅に入れ替えるとともに、新しく都並新監督を迎えた。1年での昇格を目標に、守備を第一に考えつつ、チャンスを確実にゴールに結びつけることで勝ち点3を取ることができるチームを構築している。ただ、これだけ顔ぶれが変わった状況では、どの程度の結果を残せるのか未知数というのが正直なところだっただろう。開幕の徳島戦では、「相手のプレッシャーに少しびびって、リズムが作れなかった」と都並監督が述べるように、徳島のよく訓練された攻守の動きに中盤を支配される時間が多く、うまく歯車が噛みあわなかった。それでも、良い時間に山田とアンデルソンが先制点と追加点を奪い、選手交代を含め堅実な試合運びで逃げ切った様には、勝てるチームの片鱗をうかがわせた。もちろん、都並監督は内容には満足していない。開幕戦で表現できなかった点を解決するべく、ゴールにつながる攻撃の動きを中心に連携の精度を高める練習を繰り返している。まさに、今の横浜FCは進化中のチーム。進化の過程では勝利が一番の良薬であり、開幕戦の勝利でチームにも良い雰囲気が広がっている。湘南戦も勝利することで、進化を加速させていきたい。

　対戦相手の湘南も、開幕の仙台戦では、ボールを支配されるものの粘り強い守備で得点を許さず、セットプレーをものにして勝利を収めた。DF斉藤が「相手のやりたいことをうまく消せた。相手はどう点をとるのかわからなかっただろうし、守備陣は連帯感を持って守れた」と述べたように冷静に闘った。チーム全体に昨年の結果に裏打ちされた自信が溢れており、成熟したチームになりつつある。どの選手からも「今年は結果が必要」という言葉が出るように、目標に向けて勝利を重ねていくだけという意思統一は完璧だ。

　守備を中心に考える両チームだけに、膠着した状況の中で、横浜FCであればアンデルソン、エリゼウ、湘南であればアジエルというキープレーヤーの生かし方を探る試合展開になるだろう。選手交代を含めた、采配にも注目したい。

　今年のJ2は試合数が減り、例年以上にスタートダッシュが重要となる。昇格が目標の両チームにとって、この試合でライバルを叩く勝ち点3を取ることが要求される。試合を決めるポイントとして都並監督が挙げたのは「ハート」。奇しくも、今年の湘南のスローガン「志闘HEART&HARD」と重なる。今年のJ2の主導権を賭けてハートがぶつかり合う神奈川ダービー第一幕を制するのは「進化中」の横浜FCか、「成熟」の湘南か。シーズンを占う大一番が始まる。

2008.03.14 Reported by 松尾真一郎