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【AFCチャンピオンズリーグ 鹿島 vs 北京】レポート:11対10の数的優位に立ちながら1点のみ。それでもしぶとく勝利し、今季公式戦連勝を8に伸ばした鹿島(08.04.10)

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4月9日(水) AFCチャンピオンズリーグ
鹿島 1 - 0 北京 (19:00/カシマ/6,487人)
得点者:53' ダニーロ(鹿島)

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 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)予選リーグ突破を争う最大のライバル・北京国安は戦前の予想通り、強かった。前半のうちに4バックの一角をなすZHOU Ting(周挺、背番号4番)が2枚目のイエローカードを受けて退場し、10人の数的不利に立たされながらも、徹底した守備的戦術で鹿島アントラーズの攻撃を跳ね返す。3月8日の今季J1開幕・コンサドーレ札幌戦以降、7試合連続ゴールを奪ってきたFW陣も、この日ばかりは思うように仕事ができずに苛立った。それでも4月5日のJ1第5節千葉戦に続いて2試合連続で先発出場したダニーロが貴重な決勝ゴールをゲット。1-0で辛くも勝利を収め、勝点9でグループF単独トップに立った。23日の北京でのアウェイゲームに勝てば、決勝トーナメント進出が決まる可能性も出てきた。これで今季公式戦8連勝。選手たちは疲労困憊だが、「どんな状況でも勝つ」という鹿島の伝統はしっかりと維持している。

 ACL・グループFの2勝同士の直接対決となった9日の鹿島対北京国安戦。決戦の地・カシマスタジアムは前日のような大雨こそ降らなかったが、強風と気温10.6度の寒さに見舞われた。11日間で4試合という過密日程を強いられている鹿島の選手たちには、非常に厳しいコンディションとなった。

 左太もも負傷が心配された小笠原満男は無事に先発したが、野沢拓也が右足を痛めて急きょ欠場。代役は先週末5日のJ1第5節・ジェフユナイテッド千葉戦で本山雅志の出場停止の穴を埋めたダニーロ。彼の動きは1つの注目点だった。対する北京国安は予想通りの4−4−2。ケガで出場が微妙といわれたホンジュラス代表MFマルティネス(MARTINEZ RAMOS Walter Julian、背番号20番)は問題なくスタメン出場。2トップのチアゴ(Tiago Jorge HONORIO、背番号10番)とTAO Wei(陶偉、背番号15番)はタテ関係でプレーした。
 ホームの優位性を生かし、立ち上がりから積極的に仕掛けたかった鹿島。しかし連戦による疲労が色濃く、リズムがつかめない。北京国安が最終ラインにZHANG Shuai(張帥、背番号3番)やXU Yunlong(徐雲龍、背番号13番)ら中国代表経験者をズラリと揃えたこともあって、マルキーニョスと田代有三の2トップがボールを触る回数も少なかった。序盤はむしろ北京国安がやや優勢といってもいい流れだった。彼らはしっかりとしたポゼッションからワイドに開いた両MFに展開。そこからFWのチアゴに預けて攻めの起点を作ろうと試みる。パス回しもレベルが高かった。しかもラフプレー寸前の激しい当たりを容赦なく見せる。さすがは中国を代表するチームだった。
 苦しい展開を強いられた鹿島だが、前半33分に大きなアドバンテージを得る。相手の左サイドバック・ZHOU Tingが2枚目の警告を受けて退場。11対10の数的優位に立ったのだ。北京国安のイ・ジャンス監督も「1枚目のイエローカードが出る前にもっと注意すべきだった。1人退場したことで全体の動きが変わった」と悔やんだが、鹿島はこれを機にようやく本来のパス回しを取り戻し始めた。

 ハーフタイムにオズワルド オリヴェイラ監督から「相手は引いて守っている。中央から行くと人数が多いからムリだ。慌てずサイドから崩そう」と指示された選手たちは、後半に入ると外からの攻撃の比重を高めていく。前半から積極的だった左の新井場徹に加え、右の内田篤人も高い位置を取る回数が多くなる。そして迎えた後半8分、ついに鹿島は均衡を破る。マルキーニョスが左サイドで受け、そのまま中央へドリブルで前進。同じタイミングでダニーロもゴール前へ巧みに走りこんだ。次の瞬間、マルキーニョスのスルーパスを受けたダニーロは狙い済ました左足シュートで1点をたたき出したのだ。

 これで一息ついたものの、この日の鹿島はその後、ピリッとしなかった。先制点から3分後に岩政大樹がチアゴをぺナルティエリア内で倒してしまい、主審はPKを宣告。一瞬、嫌な空気がスタジアムを取り巻いたが、守護神・曽ヶ端準が立ちはだかる。チアゴのPKを抜群の反応でセーブ。こぼれ球を拾ったHUANG Bowen(黄博文、背番号16番)のヘッドはクロスバーを叩き、北京国安はまたとない同点機を逃した。「ソガさん(曽ヶ端)のおかげ」と岩政もコメントしたが、曽ヶ端の活躍がなければ大事なホームでのACL大一番を引き分けていたところだった。

 この後、オズワルドオリヴェイラ監督は増田誓志や興梠慎三、佐々木竜太といった攻撃的な選手を投入し、追加点を取りに行った。が、自陣に引いて守る相手守備陣を崩せない。逆に終盤にはマルティネスに決定機を作られるなどピンチもあった。1-0で勝つには勝ったが、ここまでの鹿島とは違う、やや不完全燃焼感の残るゲームだった。
 それでも指揮官は「いちばんの目標は勝点3を取ること。勝つことがいちばん重要。それを果たしたのだから評価されるべき」と改めて話した。いい内容でなくても結果を出せるのは確かに強豪チームの証だ。1-0とはいえ、北京国安に大きなプレッシャーを与えたのも間違いない。これで余裕を持って23日のアウェイ戦に臨むことができるはずだ。

 その前に鹿島にはJ1序盤戦の天王山、浦和レッズ(13日/埼玉)、ガンバ大阪戦(19日/カシマ)の2連戦が待ち構えている。シーズンスタートから固定したメンバーで戦っているだけに主力選手の疲労は明らか。小笠原や野沢、この試合で右の腰を強打した内田( /jsgoal_archive/club/00063000/00063300.html )ら負傷者も少なからずいる。しかし「今が頑張りどころ。みんなで乗り越えなければいけない」とオズワルド オリヴェイラ監督は強調していた。
 今こそ「チームの総合力」を発揮すべき時。北京国安戦の1勝で得た自信を次なる戦いへとつなげたい。

以上
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