4月12日(土) 2008 J2リーグ戦 第7節
仙台 1 - 1 徳島 (13:34/ユアスタ/11,013人)
得点者:62' 関口訓充(仙台)、75' 大島康明(徳島)
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勝点1を分け合う形となった両チームだが、それぞれの側に残る感情はわずかながら異なるか。少なくとも徳島にとってすれば、追いついての引き分けということもあり、それなりの充足感が備わった引き分けという感覚に思える。
主導権を握り徳島を押し込む仙台。一方でドゥンビアの馬力溢れる縦への突破から得たセットプレーでチャンスを得る徳島。戦前の予想にさほど違わない内容で、試合は序盤から時間が過ぎていった。
強いて違うところを挙げるとすれば、仙台のDFラインが普段より少しばかり低めの位置を取り、前線との距離が開きがちなところ。だがそれは、裏を取られると厄介な存在であるドゥンビアへの警戒がそうさせるという致し方ない事情もあった上に、この日の仙台にとってはさほど大きな問題とならなかった。永井のボール拾いと持ち上がりや、広範囲を走り回りボールサイドに頻繁に顔を出す梁、さらには頻繁な攻撃参加で最後尾と前線を繋いだ菅井などの働きが、仙台のサッカーに「間延び」の悪影響をさほど感じさせない。
またこの日は、最終ラインの岡山から放たれる、サイドを変えるロングパスが効果を発揮(あまり目立たないが、岡山のこうした長距離パスは「リズムを変えるための武器は多いほうがいい」と語る手倉森監督の方針とも合致する)。そうしたものに支えられ、サイドでの1対1のほとんどで勝利していた関口の切れの良さがさらに際立つなど、攻撃の循環が良かったのは仙台だった。
ただそれでも、ゴールが決まらなくてはこれまでの試合と同じこと。実際、前半にはフリーで抜け出した梁のシュートがGKに当たり、CKから上手く合わせた中原の強烈なヘディングもDFに掻き出されるなど決定機を逃してきた仙台。ところが62分、スタジアムに溜まりかけていたうっぷんを払拭する一発が決まる。
徳島が攻めを開始しようと前へ出したパスを出足よくカットした田村がそのまま持ち上がった後、右前方の永井へ。永井が中央に優しいグラウンダーのパスを出すと、受けたのは関口。ドリブル突破を警戒したのか、何故か詰めてこなかった徳島守備陣を見て、関口は右足をスッと振り抜くと、グラウンダーながら鋭いシュートがGK島津をかすめてゴール左に突き刺さった。そしてその直後、交代で入った西山が梁のセンタリングに反応して惜しい場面を迎えるなど、スタジアムにはこの試合の仙台にとって課題であった「2点以上の獲得」への期待が高まる。
しかし、サポーターの期待通りに流れが仙台に傾くことはなく、むしろここからは徳島の反攻の時間となった。ハーフタイムで、攻守における積極性を取り戻せという美濃部監督からの指示を受けた徳島の選手たちは、仙台の攻勢にも臆することなく…いやむしろ追加点を狙うため決して守備を固めようとはしなかった仙台の布陣にスペースを見つけて、前半よりもリズム良く、サイドを使いながら攻めてきた。
仙台にとって不運だったのは、ちょうど流れが変わり始めたこの時間帯で、岡山が負傷したこと(CKでの競り合いで他の選手と激突)。一旦はピッチに戻った岡山だが、明らかに動きは重い。
そんな中で徳島に同点ゴール。75分、左サイドで高い位置まで来ていた藤田のセンタリングが、ニアでの競り合いを抜けて右ポストまで流れてくる。それを「この流れを読んでいた」と試合後に語った途中出場の大島が受けると、シュートコースを消そうとスライディングしてきたDFをフェイントでかわし、林の肩越しという狭いコースを狙った見事なトウキックでのシュートを決める。アウェイでの貴重な同点弾、狙い済ましたシュートまでの形、さらに自身リーグ戦では約1年ぶり(昨年の開幕戦以来)の得点ということで、ベンチに駆け出した大島の周りで、徳島の歓喜がはじけた。
そうなると流れは徳島に。ここで仙台がどう動くかが、ゲームを分ける鍵になる。
しかしこの時の仙台に、実は積極的に動く余裕はなかった。
岡山が結局プレー続行不可能(試合後の診断の結果、頚椎捻挫で全治2週間)となり、一柳を投入するため交代枠を1つ使わざるを得なくなったことも、仙台の采配から自由を少し奪った。本来この試合で点を奪うために用意していた、梁をトップ下に上げてのダイヤモンド型中盤へのシフトという策も、徳島に攻め立てられている以上危険が大きい。また、梁と関口のサイドでの守備が効果を発揮している上で今の状況があると思えば、彼らを下げてまで佐藤か飛弾を投入するのも難しかった。
この時間帯について、手倉森監督の会見コメントには、監督としての判断の難しさがにじみ出ている。「勝点2を失った」という心境に偽りはないだろう。だがその悔しさから現実を見失い、勝点を3つ全て失うわけにもいかない。手倉森監督はあえてギリギリまで動かないことで、最低限の結果があるうちにゲームを「閉じた」。
こうして両チームに、勝点1が与えられる結末となった。
死守した勝点1と、もぎ取った勝点1。意味合いはまるで違うが、次節に繋がる勝点1にしたいというのは、恐らく両チームとも変わらないはずである。
以上
J’s GOALニュース
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