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【J1:第6節 札幌 vs 磐田】レポート:得意のスタイルで今季リーグ戦ホーム初勝利を得た札幌。敗れた磐田は攻撃にアクセントが欲しかった(08.04.12)

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4月12日(土) 2008 J1リーグ戦 第6節
札幌 2 - 1 磐田 (13:34/札幌ド/15,240人)
得点者:43' ダヴィ(札幌)、44' 柴田慎吾(札幌)、47' 河村崇大(磐田)

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「相手がパスの出しどころがなく、やり難そうにしているのを感じた。システムが3−5−2の相手はボクらにとってはやりやすいのかもしれない」。試合後、勝った札幌の坪内秀介はこのように感想を話していた。だが、実際の戦績はそうではない。2節に対戦した横浜FM、4節に対戦した川崎Fも3−5−2をベースに戦っているチームだが、この2試合での札幌はどちらも力負けしている。ならば、今回の試合で「やりやすさ」を感じた理由は何なのか。それはやはり攻撃面におけるアクセントの部分だろう。

磐田は中盤に成岡翔、上田康太、犬塚友輔といった選手を、そして2トップにはジウシーニョ、萬代宏樹といった技術の高い選手を揃えている。実際にこの試合でも中盤で小気味よくパスをつなぐシーンが幾度もあり、特に後半開始時に名波浩が投入されてからは「これが磐田だ」と言わんばかりにテンポよくボールを動かした。だが、パスは回るもののそれだけでは札幌の守備網を崩すことはできなかった。パスを回していたというよりも、回させられていたというのが実情。例えば横浜FMは中澤佑二のダイナミックなオーバーラップや最終ラインからの一発のスルーパスを、例えば川崎Fは鄭大世やジュニーニョによる縦への強引な突破をポゼッションに織り交ぜて札幌の守備網を崩しにかかった。この日の磐田はリズミカルにパスをつなぐシーンを作りながらも、そこにアクセントをつけることができず札幌の守備をこじ開けられなかった。この試合に限らず、この部分が今季の磐田がなかなか勝ちきれない大きな要因になっているのだろう。

ゲームを振り返ってみると、立ち上がりこそ個々のテクニックで上回る磐田がボールを支配したが、10分ほどが経過して札幌がそのボール回しに慣れてくると、DFとMFの8人がしっかりとブロックを作って磐田の攻撃をシャットアウト。守りながらゲームをコントロールするという、昨季のJ2で見せていたようなお得意の戦い方を札幌は発揮していた。そして43分にはセットプレーからダヴィが頭で合わせて、直後の44分にはルーキーの柴田慎吾がゴール前の混戦から押し込み、前半終了間際という絶好の時間帯に2点を奪うという願ってもない展開で札幌が試合を進めた。
後半に入ってからは前述したように名波を投入した磐田がパス回しのテンポを速め、そうして得たCKから河村が得点し一時的に磐田が主導権を奪い返したが、「2点目を取れなかったことが響いてしまった」と名波が振り返ったように、せっかく主導権を奪い返しながらも磐田はもうひと押しができずに、再び札幌にゲームをコントロールされてしまったのだ。

しかし、1点をリードしている札幌も難しい状況に立たされた。磐田に1点差に詰め寄られたのは47分のことであり、タイムアップまでは40分以上もある。逃げ切りを図るには残り時間が長すぎるし、追加点を奪いにいけば磐田のパス回しに屈するリスクもある。ホームゲームで前半を2点差で折り返すという絶好の展開に持ち込んだ以上、勝点を取り逃すようなことは絶対に避けなければいけない。そして三浦監督は「できるだけ我慢しようと思った」と攻守のパワーバランスを変えないまま、何とか終盤まで時計の針を進めることを選択したのだった。残り6分の場面で池内友彦を投入するまでは、特別大きな動きは取らなかった。

こうなると、試合の展開を左右するのは磐田の動きになるわけだが、ジウシーニョに代わって入った山崎亮平、成岡に代わって入った船谷圭祐が名波を中心としたボール回しに上手く絡むことができず、結局、最後まで堅実にブロックを形成した札幌に守り切られてしまった。磐田としてはゲーム全体を通してもそうだが、名波の投入により流れを引き寄せ、1点差に詰め寄った時間帯にこそ攻撃面のアクセントが欲しかった。札幌がなかなか手を打てず、我慢を続けていた場面で何かしらの思い切った策を取っていれば試合の流れ、さらには結果さえも変えられたかもしれない。

この勝利により、札幌の勝点は磐田と同じ6に。自分達が得意とする試合展開で得た勝点だけに、今後に与える影響の大きな勝点3になるかもしれない。一方の磐田はどこか歯車が噛み合っていない印象があるが、逆に言えば歯車がなかなか噛み合わないながらも高い技術をベースとしたパスワークを発揮していたのだから、そのポテンシャルは間違いなく高い。ちょっとしたきっかけで歯車がガッチリ噛み合う可能性もある。
札幌も磐田も6節を終えて勝点が6。すべての試合を引き分けた場合と同じ勝点を得ているわけだが、果たしてこの数字をどう捉えるべきか。監督、スタッフ、選手、サポーターそれぞれが色々な想いを巡らせながら、まだまだこれからもシーズンは続いていく。

以上


2008.04.12 Reported by 斉藤宏則
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