4月12日（土） 2008 J1リーグ戦 第6節
東京Ｖ 1 - 2 Ｆ東京　（17:03／味スタ／22,503人）
得点者：43' フッキ（東京Ｖ）、62' 羽生直剛（Ｆ東京）、89' オウンゴ−ル（Ｆ東京）

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3年ぶりの東京ダービーに、試合開始前からスタジアムは熱気に包まれていた。

互いに「我々こそが東京を代表するチームだ」という思いを歌やコールに乗せて誇示。F東京の「ヴェルディだけには負けられない」と歌う声も確かに迫力があったが、「俺のヴェルディ」とチームへのラブソングを力強く歌い上げるヴェルディサポーターも負けてはいない。そのゴール裏上部に設置されたビジョンには、長きに渡ってFC東京のゴールマウスを守り、今は「東京Vの守護神」となったGK土肥洋一がダービーへの意気込みを語る姿が大きく映し出される。サポーター、選手、スタッフ、フロント・・・チーム一丸となって「FC東京を蹴散らす！」という強い思いを胸に挑んだこの東京ダービーだった。


MF河野広貴（左ひざ痛）、MF飯尾一慶（体調不良）が結局間に合わず、右MFにはJ１初スタメンとなる井上平を起用した以外は、前節と全く同じ顔ぶれでスタートした東京V。
「ダービーであるということをしっかり意識して勝ちにいきました」と柱谷哲二監督が話したように、東京Vは立ち上がりから積極的な姿勢を崩さず試合の主導権を掌握、奪ったあとはディエゴやレアンドロ、そしてフッキへと繋げゴールチャンスを伺う。

しかし、ボールが入ると2人以上できっちりと囲いこんでくるF東京守備陣に、フッキはなかなか仕事をさせてはもらえない。繰り返しF東京陣内に攻め入りながらフィニッシュまで辿り着けず、前半終盤になると逆にカウンターやセットプレーからピンチを迎えるシーンも。が、なんとなく嫌なムードが漂い始めた前半終了間際、待望の先制点が生まれた。

43分、ゴール向かって右側、ペナルティエリアギリギリのところでフッキが倒され、FKをゲット。キッカーMFディエゴが小さく蹴りだしたボールを左足で振り抜いたフッキのシュートはファーサイドのネットをGKの手をかすめながら直撃、見事にゴール！

決まった瞬間ライン際まで走り、７月に誕生予定の我が子への揺りかごダンスで喜びを表現したフッキに、サポーターの大歓声が降り注ぐ。大黒柱のヴェルディ復帰後初ゴールで「前半はほぼ完璧な内容（DF土屋征夫）」となった。

ところが後半、東京Vは、後に悔やんでも悔やみきれない時間を過ごすことになる。

「負けているチームの戦い方をしてしまった（DF富澤清太郎）」、「勝っているのに攻め急ぎすぎてしまっていた（GK土肥）」。試合後に選手達の口から次々と聞かれたのは、リードした後の試合運びについての課題だ。後半に入ってからもアグレッシブにゴールを目指した東京Vは、フッキのシュートがポスト、フッキから受けたディエゴのシュートが惜しくも阻まれる、という場面もあったが、追加点は取りきれず。逆にラインが間延びしだし、中盤とDFの間のスペースを使われ始める。加えて攻め急ぐあまり前線でキープする時間が短く、高い位置で取られると守備がセットし直す時間も作れない。結果、「仕掛けて取られてカウンターの繰り返し（DF富澤）」の展開に。

62分、投入されたばかりのF東京・MF大竹洋平にスペースを使われ、MF羽生直剛にミドルを決められ失点。その後も、焦りからかいつもの落ち着いたボール回しも見せることができない東京Vは、MF今野泰幸、FW赤嶺真吾、CKからはDF佐原秀樹・・・と、次々とシュートを放たれ、ヒヤっとする回数が増え続ける。そして遂にロスタイム、オウンゴールという形で２失点目。劇的勝利に沸きあがるF東京ゴール裏を目の当たりにしながら、1-2の敗戦の笛を聞くことになった。

更に最後の最後にはフッキがこの日２枚目のイエローで退場処分。東京Vは22503人の観衆を集めた東京ダービーの舞台で「ドタバタした後半（柱谷監督）」を演じることになってしまった。充分に勝機がありながら、自らの手でそれを手放した形。試合後のミックスゾーンでは、「惜しかったからこそ悔しい（DF服部年宏）」、「自滅です。悔しいから帰ります（MF福西崇史）」、「とにかく、悔しいです（GK土肥）」・・・、選手達の口からは絞り出すように「悔しい」という言葉が溢れてきた。

３年ぶりの「東京ダービー」は、選手達にとっても、サポーターにとってもなんともいえない悔しさが残るものになった。忘れられそうにもないこの思いは、今後へのモチベーションとしたい。そして、次の東京ダービーでは、必ず。

以上