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【J1:第6節 東京V vs F東京】F東京サイドレポート:すべての人の思いが導いた劇的な逆転勝利。新戦力の力が光ったF東京が3年ぶりの東京ダービーを制した。(08.04.13)

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4月12日(土) 2008 J1リーグ戦 第6節
東京V 1 - 2 F東京 (17:03/味スタ/22,503人)
得点者:43' フッキ(東京V)、62' 羽生直剛(F東京)、89' オウンゴ−ル(F東京)

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2008年4月12日、3年ぶりの東京ダービー。最寄り駅の飛田給駅から味の素スタジアムに向かう途中、自分のホームスタジアムに向かって同じ道のりを歩く両チームのサポーター。お互いを意識しつつも平静を保ちながら歩く様子からも、すでにダービーの雰囲気が漂っていた。歩く人たちの胸の中はすでに燃え上がっているように見えてならなかった。

スタジアムに到着するとホームの東京Vサポーターは左へ、アウェイのF東京サポーターは右へと流れていく。F東京のサポーターにとって久しぶりの逆の位置に「不思議な感じ」もあっただろう。小さな子供の中には「初めてこの子はこっちで応援することになる」という子もいた。

中に入るとメインスタンドから向かって右に位置するアウェイ側のゴール裏は、青赤でびっしり。早い時間からコールが始まりすでに戦闘モード。GKがウォーミングアップで登場すると更に大きな声で塩田仁史を鼓舞した。「昨年、一昨年のこととか…いろんなことが頭をよぎって熱くなりました」という塩田。なかなか試合に出られなかった頃のことを思い、今自分がつけている“F東京の1番”への思いを噛み締めた。F東京のゴール裏からは「味スタはうちのホームだ!」という気持ちがスタジアム中に届き、スタジアム中を“ダービー”の盛り上がりでいっぱいにさせた。

F東京のスタメンはGK塩田、DF徳永悠平、佐原秀樹、藤山竜仁、長友佑都、MF浅利悟、今野泰幸、梶山陽平、羽生直剛と赤嶺真吾、FWカボレの4-3-2-1。新加入の羽生が前節に続きキャプテンマークを巻いて先頭で入場してきた。前節試合前のロッカールームで渡されたときには監督からの何かメッセージが伝わってきたという羽生だが、「渡されるた時の監督の目が、今回のほうがなんか強い感じだった。“やろうよっ”という感じ」とその様子を語った。クラブの思いすべて込められたキャプテンマークをつけて羽生はピッチへと入っていった。

両チームの選手のワンプレーワンプレー随所に見せる激しいプレーからもその気迫が伝わる。3分ほど試合が止まったのが、前年までF東京に所属していた福西崇史と今野の接触で、今野が目の周りをいため福西にイエローカードが出された直後のこと。両チーム選手だけでなくベンチが審判の周りをかこみ騒然とする。「治療されててまったくよくわからなかったけど、なんか後ろからどんどん押されて、怖かった」と今野もそのときの様子を振り返った。F東京が一番警戒していたフッキに対しては、F東京のDFが高い集中力で連携して守備をする。特に見ごたえがあったのは、フッキと長友の1対1だ。「絶対に1対1では負けたくない!」という長友は、前日こんなことを話していた、「絶対止めますよ!ハルクとゴリラの戦いですからね、楽しみですよ」…と。

そのすぐ近くでは、浅利が細かく、冷静にまわりとのバランスを取るため声をかけ続けている。しかし、前半終了間際にはFKでその警戒していたフッキにセットプレーから得点を決められ1-0で前半を折り返した。

ロッカールームでは、「1-0まではプランどおりだったから落ち込まなくてもいいのに、何か静かだった」と感じた羽生は、選手たちに「プラスには思えないけど、プランどおりなんだから、1点取られても大丈夫!前半と同じスタイルでバランスを崩さず立ち上がり20分、25分をまずはやってみようよ!」と声をかけた。

F東京は「0-0か1-0まででいければ、後半になればヴェルディの運動量が落ちるから、そこで勝負だ」というプランでのぞんでいたのだ。

すると後半「攻めている時にチャンスがあるように感じた」という羽生は、「狙う」と決めプレーを続けた。後半16分、浅利に代わり大竹が投入され、4-4-2に。その1分後の後半17分、右の大竹からカボレへ、そのパスをうけた赤嶺が落とし、羽生がそのまま右足で放ったシュートが決まる。そのスーパーゴールには「自分が一番びっくりした」という。そして、その瞬間スタジアム中が割れんばかりのF東京サポーターの声が響き渡る。そこからおよそ7分間も「ヴェルディだけにはまけられない、俺たちの力見せてやろうぜ」の大合唱が続き、選手たちの背中を押し続けた。「いける」「もう1点」とベンチを含め選手全員が感じたという。足に少し違和感を訴えた羽生に代わり金沢浄を、そして32分には赤嶺に代えて平山相太を投入。試合前から「結果にこだわろう」と選手たちにはっきり伝えていた城福浩監督。「交代からも監督のはっきりしたメッセージが伝わってきた」と振り返る選手たち。

「勝ちたいという気持ち」がひとつになり、ロスタイム、とうとう逆転ゴールが生まれた。梶山から大きくゴール前に出されたパスを今野が意地のヘディングで落とし、ゴール前につめていた長友が胸でトラップすると、それを防ごうとした東京Vの選手の足がそのボールにあたりオウンゴールとなり、1-2と劇的な逆転。

長友は「俺じゃないな。とは思ったけど、それはもういくでしょ!」とゴール裏に向かって走りこみ大喜び。誰もが長友の得点と思ってしまうほどの喜びようだった。試合終了と同時にベンチ前で雄叫びを上げ、スタッフと抱き合って喜んだ城福監督は、声がかれて出なくなっていた。

初めての“シャー”(F東京が勝った試合の後、ゴール裏で行われるパフォーマンス)にとまどいながらも“シャーデビュー”した羽生と長友。5回もでんぐり返しをしてしまい、目が回ったという長友。試合後のミックスゾーンでは、「ハルクとゴリラは、ゴリラのほうが強いんです!!」と胸を張り、まわりをなごませた。そして試合を冷静に振り返っていた羽生は、試合を通して見えた課題をあげながらほっとした表所でスタジアムを後にした。移籍後まだ6試合、F東京のニューリーダーとしての存在感の大きさを見せた試合だったともいえる。

今シーズン“人の心も動かすサッカー”を掲げるF東京。こうした劇的な勝利を見た多くの人の心は、確実に動いたことだろう。そして何よりも、3年ぶりの東京ダービー、この試合のヒーローは、アウェイ側のゴール裏からプレーしたサポーターたちだったのではないだろうか。

以上
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