4月13日（日） 2008 J1リーグ戦 第6節
Ｇ大阪 2 - 2 新潟　（16:03／万博／13,321人）
得点者：3' バレー（Ｇ大阪）、27' アレッサンドロ（新潟）、41' アレッサンドロ（新潟）、60' 遠藤保仁（Ｇ大阪）

----------
G大阪MF橋本英郎の言葉が試合の流れを顕著に言い表していた。
「楽に入れるゲームになってしまったことが、みんなが連戦で楽をしたいと思っている時だけに、逆に流れを悪くしたというか…守備の切り替えが遅くなったり、人数をかけられなくなったりしてしまった」。

この日を迎えるにあたり、G大阪に疲労がなかったと言えば、嘘になる。水曜日に行われたACL・メルボルンFCとのアウェイ戦は長時間移動になり、いつものアウェイ戦以上の疲れを選手の身体に蓄積させていたからだ。だが、この日のG大阪は、それを感じさせないほど、いい立ち上がりを見せる。その中で3分にはFWバレーがこの日最初のビックチャンスをゴールに結びつけ、先制弾。
これで、ポゼッションをとり、主導権を握って優位に進めていた試合は、より楽になると思われた。

ところが、試合は思わぬ展開を見せる。27分にはカウンターから新潟MF内田潤が絶妙のクロス。それにFWアレッサンドロが頭であわせると、41分にも再び、高く敷いたDFラインの裏をとられる形でFWアレッサンドロが抜け出し、G大阪GK藤ケ谷陽介の飛び出した無人のゴールに巧く流し込む。G大阪にとっては、いいリズムで進めていた試合での2失点。これにより、後半はビハインドを負ってスタートすることになる。

アウェイの地、しかも5節を終了した試合で未だ白星がなく最下位に甘んじている新潟が上位を走るG大阪から2ゴールを奪い逆転したとなれば、後半の形は分かりやすく想像できた。『守る』新潟と『攻める』G大阪。実際、試合はその想像通りに、殆どの時間帯を9人で引いて守った新潟の守備を、G大阪がいかにこじあけるかに注目が集まる。そんな中、60分にはFWバレーのエリア内への突破がファウルを誘いPK。これをPK職人、MF遠藤保仁が難なく決めて試合を振り出しに戻す。

その後も、圧倒的にG大阪ペース。ポゼッション率でも大きく新潟を上回る中で、新潟ゴールをこじあけようとするが、枠をとらえられない。66分にはFW山崎雅人に代えてMF佐々木勇人を投入。移籍加入後の公式戦では初めて、攻撃的MFのポジションで起用されたとはいえ、本来のポジションということもあったのだろう。水を得た魚のごとく前線をアグレッシブに動き回ったMF佐々木によって攻撃は再び勢いを増しはしたが、最終的には新潟守備陣が身体を張ってブロック。更に終了間際にはDF橋本に代えてMF寺田紳一を投入するなど、最後までゴールを目指し続け、新潟のシュート数『0』に対し、G大阪は『9本』のシュートを放ったものの、ゴールには結びつかず。『勝点1』への執念を見せ続けた新潟の気迫の守備の前に勝点を分ける結果となった。

　余談だが、6年間にわたってガンバ大阪の代表取締役社長を務めてこられた佐野泉氏の退任が発表され、この日が在任中の公式戦ラストゲームに。試合後には『社長コール』に促されサポーターに挨拶にたった佐野氏は「6年間共に闘いぬいてくれてありがとう」というメッセージを掲げてファンに別れを告げた。『強豪』と呼ばれるようになった現在のG大阪を育て上げただけではなく、ファンに親しまれ、選手、スタッフに愛され、慕われたこの6年。「いろんな仕事をしてきたが、ガンバでの6年間が自分には一番合っていたし、やりがいもあった。最後にこういう仕事をさせてもらって幸せに思う」と佐野社長。サッカー界では異例とも言える、ファンからの『社長コール』には「僕一人が何かをしたわけではなく、チームも頑張り、フロントも頑張り、みんなの力があったからこそ、サポーターからもああしてコールを頂くことが出来た。僕一人に対していただいたものではないとはいえ、とても嬉しく思う」と笑顔を見せた。だがその一方でチームについて聞かれると「今のガンバはトップ3で甘んじているチームではない。毎年タイトルを獲れるチームになって欲しい」とゲキ。常に溢れんばかりの厳しさと優しさの両方を持ち合わせてクラブ経営にあたってこられた佐野氏らしい言葉で締めくくった。尚、佐野氏の後任には、4月1日より顧問として赴任されている金森喜久男氏が4月16日付けで就任する予定である。

以上

2008.04.14 Reported by 高村美砂