4月13日(日) 2008 J2リーグ戦 第7節
湘南 1 - 0 甲府 (16:03/平塚/5,652人)
得点者:35' 石原直樹(湘南)
----------
あうんの呼吸による早業だった。敵に囲まれた石原直樹がすかさず捌く。原竜太がトラップする間に石原は動き出し、一方の原は相手DFの背後へ送る。前がかりとなっていた甲府のゴール前は薄い。DFとGKのあいだを突いた相方からのパスに石原は猛然と走りこみ、敵が交錯する隙にボールをかっさらい、先制弾をねじ込んだ。35分、この日唯一のゴールシーンである。
「前半の入り10分はよかったが、自分たちで突然、仕掛けることをやめてしまった。続けられない弱さが出た」甲府の安間貴義監督は嘆く。たしかに、キックオフ直後から攻勢に出たのはアウェイチームのほうだった。3トップに始まるタイトなプレスによって、湘南のパスワークを許さない。ボールをことごとく自分たちのものにし、9分には美尾敦がジョジマールとのワンツーで相手ゴールを脅かしもした。
対して湘南は、守備のバランスを保ちつつ、アジエルの展開力を皮切りに反撃を窺う。相手にボールを握られ、圧されてもなお、ゴールへの推進力は褪せない。思い出されたのは第3節のホーム・広島戦だ。菅野将晃監督の号令のもと、ゴールに向かうことを目標に臨んだ湘南は、しかし悪天候にも文字通り水を差され、なかなかフィニッシュまで持ち込めずにいた。だが今節は、2トップがひたすら裏に目を光らせていたように、続けること、やりきることが湘南の生命線たり得た。ジャブは打ち続けることで意味を増す。くだんのゴールは継続の結実だった。
ただしポゼッションで優位に立つ甲府も、クロスから、あるいは奪ってからのカウンターによってしばしばチャンスを演出している。前半の終盤には前田雅文が際どいシュートを連発した。さらにハーフタイムを挟むと、「自分たちのやるべきことをもう一度確認した」指揮官に送り出された選手たちは攻勢を強める。ブルーノと石原克哉が投入されたのちの27分には、左サイドを抜け出した宇留野純のクロスによって、またその直後にも素早いリスタートから立て続けにビッグチャンスを迎えている。だがいずれも、斉藤俊秀と鈴木伸貴が水際でかき出した。「死守」という言葉が相応しい、全員が体を張った粘り強い守備は、最後までゴールを目指した攻撃にも通じていた。
前節挙げた今季初勝利の勢いを駆り、連勝といきたかった甲府だが、猛攻を仕掛けるも最後までゴールを割ることは叶わなかった。寒空のなかバスを連ねて応援に駆けつけた多くの甲府サポーターの勝利への願いは、J2アウェイ通算150得点という節目のゴールと併せて1週間後に持ち越されることになった。次節の相手は、ともにJ1から降格し、現在無敗で首位を走る広島である。アウェイ連戦と条件は厳しいが、「続けられない弱さ」がメンタルに巣食う課題であるならば、内面と向き合い、ネガティブな要素も逆に起爆剤としたい。
一方、湘南は今季初の連勝を手にした。前半に先制し勝利を得たのもまた、今季初めてのことである。背景にあったのは弛まぬ集中力であり、一人ひとりの攻守に渡るハードワークであり、最後までやりきる姿勢だった。これらさまざまな描写を括るものはなにか。それは、指揮官が昨季も含めてつねづね口にしてきた「甘えの許されないサッカー」、すなわち自分に負けない、自分に打ち克つということだ。この日体現した“湘南スタンダード”を今後も着実に積み重ねていきたい。まずは2週間後、難敵・岐阜の迎撃から、継続のつぎなる一歩を踏み出す。
以上
2008.04.14 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第7節 湘南 vs 甲府】レポート:石原直樹の今季ホーム初ゴールによって湘南が連勝を手に。甲府は攻勢もゴールを割れず。(08.04.14)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













