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【J1:第7節 F東京 vs 川崎F】F東京サイドレポート:F東京GK塩田仁史が、責任と誰よりも強い思いを胸に多摩川クラシコでリベンジ果たす!(08.04.20)

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4月19日(土) 2008 J1リーグ戦 第7節
F東京 4 - 2 川崎F (16:04/味スタ/22,283人)
得点者:19' 鄭大世(川崎F)、25' カボレ(F東京)、26' 谷口博之(川崎F)、43' 赤嶺真吾(F東京)、63' 大竹洋平(F東京)、70' 今野泰幸(F東京)

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F東京は、多摩川を挟んだリバーサイドマッチ『多摩川クラシコ』を4−2で制し、リーグ3連勝を飾った。昨季同一カード2試合合計12失点を喫した川崎Fを相手に逆転勝ち。昨季の悪夢を払拭した。

前半19分、中村憲剛のFKから、鄭大世―ジュニーニョと繋ぎ、最後は再び鄭 大世へと渡り右足ボレーで川崎Fが先制する。前半25分、F東京が栗澤僚一のFKをカボレが合わせ1−1に追いつくも、続く同26分またも中村のFKからこぼれたボールを谷口博之が決めてリードを奪う。だが、F東京も同43分、左サイドを攻め上がった長友佑都のクロスを赤嶺真吾が押し込み2−2で前半を折り返す。

後半は18分、大竹洋平の投入でゲームの流れがF東京に傾く。大竹は投入直後、トゥキックでループシュート。左足から放たれたボールはGK川島永嗣の頭上を越えてゴールネットへと吸い込まれた。さらに同25分には、12本のパスを繋ぎ、最後は大竹のスルーパスに抜け出した今野泰幸がダメ押しとなる4点目を決めて4−2でゲームを決めた。

「もう言葉にならない。自分の結果でしたし、別に言い訳するつもりもない。川崎フロンターレ戦イコール塩田みたいなイメージをつけられてしまった。それはそれで自分で作ってしまったものだから自分の責任だと思う。これから『多摩川クラシコ』という名前は続いていくだろうし、これがきっかけにもっと盛り上がって欲しいとも思う。ただ、俺は不名誉なレッテルを剥がすために全力を尽くすしかないですから」
F東京のゴールマウスを預かるGK塩田仁史は、自分への戒めも込めて昨シーズンの川崎Fとの2試合をそう振り返った。昨季の多摩川クラシコは塩田にとって、土肥洋一(現東京V)との激しいポジション争いの中で正守護神の責任と自覚を学んだ大きなターニングポイントだった。

昨季リーグ10節川崎F戦アウェー等々力で雨の中、5失点を浴びてチームは敗れた。塩田はゴールネットを揺らされるたびに、屈辱と嫌悪感に襲われた。3ゴール目のネットが揺らされた後、僅かに保たれていた気持ちさえも折れてしまった。そして、翌節からは土肥に再び自らの居場所を奪われベンチへと追いやられる。

「あの時期は、フロンターレ戦の結果と試合に出られなくなるという落ち込みがあって本当に辛い時期だった」
だが、彼を救った言葉があった。前年まで選手としてともにプレーした、三浦文丈(現・F東京U-15むさしコーチ)から送られた檄だった。
「俺が下を向いていたから見るに見かねて『下を向いてる暇なんてあるのか、ここからがお前の勝負だからな』って言われたんですよね。その言葉に救われた」
もうこれで今シーズンは終わってしまう。そう悩んだ自分を振り切り「フミさんの言うとおりだよな、まだ半年もあるじゃないか」と、気持ちを切り替えた。

塩田は、Jリーグ初出場も気持ちが折れそうな時期にたゆまぬ努力で掴みとった。「それをもう一度繰り返せばいい。そう自分を見つめ返すきっかけをフミさんが作ってくれた」。全体練習が終わると浜野GKコーチのシュートを受け、トレーニングルームにこもって一から体を作り直した。土肥の影に隠れ出場できなかった数年間で培ったスピリットを取り戻す作業に没頭した。そして、誓った。「今度はピッチにたった時、何が起こってもどんな状況に陥っても自分を失いたくない。強くありたい。下を向くんじゃなくて最後まで戦える選手でありたい」と。

そして再び定位置を奪い返し、迎えたリーグ30節ホーム川崎F戦。リベンジの舞台へと立ったが、またもチームは0−7と記録的な敗戦を喫してしまう。だが、ピッチに立った塩田は、等々力にいた自分とは別人だったと話す。

「負けた全責任は俺たちにある。でも、あの試合では1度も下を向かなかった。それだけは自信を持って言い切れる。最初の5失点よりは後の7失点のほうがまだ出来たと思える。気持ちがぶれなかったし、最後までまっすぐ前を向いて戦えたから」
自分は成長できたと実感できた。例えどれだけゴールネットを揺らされても、何度、顔を背けたくなるような現実を見ても塩田だけはあのピッチで声を張り上げ続けた。

そして、リベンジの時を迎えた。塩田にとって2年目の多摩川クラシコを前に、城福監督はミーティングで『12』という数字を掲げた。
「ミーティングであえて12という数字を出しました。首を傾げる選手もいる中、塩田だけはすぐに気づいたようでした」(城福監督)

後半31分に接触で頭を打ち付けてもなおピッチに立ち続け、同41分には黒津のミドルシュートを防いだ。昨シーズン自らに誓った正守護神としての誇りと自覚を、同じ舞台で証明して見せた。リベンジは果たされた。誰よりもサポーターへの感謝の言葉を忘れない塩田が、試合終了後行われる観客席への挨拶に参加できなくなるほど必死になってもぎ取った勝利。スタッフに抱きかかえながらぎこちなく観客席に向けて振られた右手は、彼が自らに宛てたささやかな勝利の報告だったのかもしれない。

以上

2008.04.20 Reported by 馬場康平
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