6月21日(土) 2008 J2リーグ戦 第21節
熊本 0 - 1 鳥栖 (15:04/熊本/3,292人)
得点者:44' 藤田祥史(鳥栖)
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サッカーは、本当に難しい。相手もあることだから、同じ内容にはならないだろうが、目指すところは同じサッカー。しかし、それができないところに難しさがある。
第20節の湘南戦は、1−0の勝利。第21節の熊本戦も、1−0での勝利。勝点は3ずつ上積みできたものの、その内容には相当の差があった。同じ雨の中での90分間、褒めるべきところは熊本に多くあり、反省するところは鳥栖に多くあった。しかし、勝点3は鳥栖に入った。
シュート数は熊本の14本に対して、鳥栖は7本。それだけ、熊本が攻め込んだといえる。しかも、熊本FW高橋泰だけで、8本のシュートを放っている。いかに熊本の攻撃が強かったかを数字では証明できる。
鳥栖の狙いは前節同様、高い位置からのプレッシャーとセカンドボールを拾って、前線につなぐこと。攻め込まれたら、ディレイとカバーリングで攻撃スピードを落とし、最後は身体を投げ出してシュートブロックを行うことだった。今節で、狙ったことができたのは、最後のシュートブロックを行うことだけで、高い位置からの連動したプレスは、最後まで見せることができなかった。
その大きな要因は、長い芝と豪雨によるスリッピーなグランド状態だった。つなぐ意識はあっても、やはり第一選択肢はセーフティなボール運び。必然とロングボールが増えてくる。もちろん、高いDFラインの裏を狙ったシンプルな攻撃の意図もあったが、それだけでは対応されやすい。奪ったボールは、熊本の守備陣に跳ね返され、セカンドボールの多くは熊本に拾われてしまう。シュート数の多さがそれを証明している。MF鐡戸裕史は「もっとボランチが高い位置にいければよかったけど…」と反省の弁を口にした。FW藤田祥史も「前線と中盤の連動が取れなかったから苦しかった」と振り返った。試合開始から、この状態が続いたのだから、全員が苦しかったに違いない。
それでも、前半のアディショナルタイムに鳥栖が先制点をあげた。MF山城純也が中央に位置したFW金信泳にボールをつなぐと、金信泳は打つと見せかけて切り返しを行った。彼の切り返しは、分かっていても止められるものではない。案の定、熊本DF陣はつられて藤田へのパスコースをあけてしまった。後は、金からのボールを、藤田が落ち着いてゴールに蹴りこむだけだった。前半の終了間際だっただけに、鳥栖にとっては大きな先取点であり、熊本にとっては大きな痛手となったが、熊本のスピリッツに火をつけた。
後半に入ると、さらに熊本の攻撃に勢いを増した。幾度となく、鳥栖のゴール前にボールを運び同点機を作った。82分には、FW高橋がシュートを放った。終了間際にも、DF矢野大輔がシュートを放った。どちらも鳥栖DFがシュートブロックに入り、GK室拓哉が辛うじて枠外にはじき出した。
池谷友良監督(熊本)は、「決定力の差があった」とコメントしたが、スタンドに駆けつけた多くのサポーターとファンは、「最後の集中力は切れていなかった」と感じたに違いない。これが、現在の順位につける鳥栖の力であり、倍のシュートを放たれながらも耐える力がついてきたと思いたい。
「前節の鳥栖と今節の鳥栖、どちらが本当の鳥栖か、ようわからへん」と岸野靖之監督は自嘲気味に振り返ったが、「前節の勝ちと今節の勝ちには大きな違いがある。この差を分析して埋めないと、鳥栖は強くならない」と続けてくれた。このことは、選手たちも感じているようで、帰路のバスに乗り込むときに表現こそ違え、同様のことを話してくれた。
キャプテンマークを巻いたDF飯尾和也が、「勝ったことに満足してはいけない。今日の試合は、自分たちの試合ではなかった」と語ってくれたことが全ての内容だった。
「無失点で耐え、先制点で勝つ」サッカーをした鳥栖。前節と同じ結果でも、学び取った経験は大きな違いが生まれている。若い鳥栖戦士たちが見せた前節との違いは、どちらも鳥栖の今の姿である。これからどのような鳥栖になって行くかは、次節の愛媛戦でどのようなパフォーマンスを見せるかにかかっている。シーズン前のトレーニングマッチから通算して、熊本に初めて勝った鳥栖。『九州ダービー』の歴史はまだ序章である。
負けて学び取ることは多いが、勝って学び取ることもある。敗れて学んだ広島戦と勝って学んだ今節の熊本戦。どちらも、今の鳥栖に必要な『経験』である。サッカーで生まれるドラマは、見ている人の心に響くものである。
以上
2008.06.21 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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