6月25日(水) 2008 J2リーグ戦 第22節
横浜FC 1 - 0 水戸 (19:03/ニッパ球/2,772人)
得点者:35' 難波宏明(横浜FC)
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勝ちが拾えていないチームは、その調子の悪さをプレーの積極性で補う必要がある。7試合勝ちがない横浜FCと、2連敗を喫した水戸にとっては、まさにその戦い方が求められる試合。この試合で勝負を分けたのは、横浜FCが、積極的なプレーの使いどころを冷静にコントロールした点だった。
前半の立ち上がりは、横浜FCが難波宏明のスペースの飛び出しからペースをつかむ。一方、水戸は、赤星貴文を前で起用し1トップ気味にするとともに、パク チュホを左サイドで起用。横浜FCの守備にギャップを作ると、ビジュからの展開や、パクのドリブルで徐々にペースを引き戻す。そして、18分に波状攻撃からパクが鋭いダイレクトシュートを放つなど、水戸の出足が横浜FCよりも一歩勝る状態が続き、ゲームは水戸ペースとなる。しかし、先制したのは横浜FC。都並敏史監督がテクニカルエリアから盛んに修正を図ると、押し込まれながらもMFとFWの守備ブロックを整えることに成功。そして35分、その守備ブロックからボールの奪うと、左サイドからのクロスに思い切って縦に抜けた右SBの中田洋介が反応、こぼれ球を難波が冷静に決める。この後、水戸がより積極的に前に出るが、横浜FCも集中を切らさず守りきり、1-0で折り返す。
後半の立ち上がりも、水戸がパクを起点に横浜FCを押し込みにかかる。しかし、横浜FCの守備が時間を追うごとに安定感を増す。ボールを奪い行く間合いや、選手間の距離感が整理され、より前掛かりになった水戸に対して、冷静にボールを奪い、カウンターに繋げていく展開となる。逆に水戸は前掛かりになるあまり、DFラインのバランスが崩れるシーンが見られ、横浜FCのカウンター攻撃の餌食となっていく。得点にはならなかったものの、MFのラインでボールを奪い、サイドのスペースからカウンターを仕掛けるシーンが何度も訪れた。水戸も、62分に西野晃平、68分に金澤大将を投入するが、ペースを変えるには至らず。逆に、横浜FCが79分に、小野智吉をトップ下で起用し、ゲームを落ち着かせる盤石な采配を見せる。試合終了直前の時間稼ぎも含め、勝点3への執念を冷静に表現しきった横浜FCが、逃げ切りに成功した。
「我々に必要なものは勝利だった」とエリゼウ選手が語り、どの選手も異口同音に「区切りとなる」と振り返るように、横浜FCにとっては、再浮上のきっかけとなる大きな勝利となった。それは、単に勝利を得たというだけでなく、ハードワークからもたらされるバランスのよい守備からチャンスを冷静に嗅ぎ分けて、相手の隙を見つけると積極的に飛び出すという、勝利への基本形を取り戻しつつあるという点で大きい。そんな、闘志を冷静にコントロールする戦いぶりは、勝てるチームへの脱皮を予感させる。
また、「良かった時の粘り強い守備が出た」と都並監督が語るように安定した守備ブロックが形成されるとともに、得点シーンに象徴されるように、サイドからビルドアップを行いながら、選手がポジションを超えて動いて相手を崩す攻撃は、第2クールでのチーム作りの狙いが表現された待望の形だ。次節が休みとなるだけに、この試合で得たイメージを、1週間半のインターバルで暖めて、あと2試合続くホームゲームで爆発させたい。ちょうど半分の21試合が終了し、7勝7分7敗。勝点が28ならば、得点、失点もともに28。全く同じ数字が並ぶ、まさに振り出しに戻った状況の中で、この試合が良い区切りとなるだろう。
一方の水戸は、狙いとする前からのアプローチで、前半はペースを握る事に成功した。しかし、「相手陣内に入ったところでの仕掛けの質とかパスの質に欠けた」と木山隆之監督が述べたように、ペースが握れていた時間に、決定機に結びつけるラストプレーの精度を欠いてしまったことが敗因の1つとなった。さらに、ボールを持てている時間に前のめりになり、バックラインでのバランスを失うシーンが見られた。この試合の横浜FCから見ると、そこが隙と映ることになる。積極的なスタイルは確立しつつあるだけに、90分の試合のリズムの中でその強弱の表現をできることが、次のステップとなるだろう。
どのカテゴリのサッカーでも、闘志を持ってハードワークすることが勝利へのベースである。その上で、その闘志を90分間出し続けるだけでなく、使いどころを冷静にコントロールすることの重要性を改めて認識させられるゲームだった。
以上
2008.06.26 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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