7月5日(土)J1 第15節 札幌 vs 清水(14:00KICK OFF/札幌厚別)
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ともに中断期間前はなかなか波に乗ることができず、札幌が17位、清水が15位とどちらも不満足な順位で中断期間へと突入していた。だが、その中断期間明けの初戦となった前節では、双方の試合結果の部分が若干対照的なものになった印象だ。
京都と対戦した清水はフェルナンジーニョの移籍で空いたトップ下に枝村匠馬を、守備的MFには伊東輝悦を配し、右MFにはリーグ戦初出場となるマルコス・パウロを起用。中断前とは中盤の配置を変えてリーグ戦の再開に挑んだわけである。そして、見事に結果を引き寄せた。長谷川健太監督は「試合内容はまだまだという部分はあるが、今日のゲームはまず勝つことが一番大事だった。何人かの選手が新しく先発に入って、出た時間でそれぞれの特徴を出してくれたと思っている」と手応えを感じさせながら振り返る。中断期間前は清水らしいサッカーを発揮している試合がありながらも、ちょっとしたミスから失点をし、そのまま流れを失って敗れるという展開が目立っていた。それがこの中断明け初戦では相手チームに、しかも中断期間に自分達のチームから移籍していったフェルナンジーニョに決められるという精神的なダメージの大きい先制点を与えながらも、そこから気持ちを落とすことなく粘りを見せて見事に逆転勝利を掴み取ったのである。この部分はチームにとって大きな自信となったはずだ。
「中断期間に中心選手が1人外に出て、自分達が何とかしなければいけないと。また逆に、その選手がいなくても自分達の力をピシッと示すんだという強い意志が感じられた」とも長谷川監督は見ている。中断期間を経た清水はメンタル面での強化が施されたとでも言うべきか。
一方、そんな清水をホームで待ち受ける札幌。こちらはベンフィカ・リスボン(ポルトガル)など欧州ビッグクラブでのキャリアを持つストライカー、アンデルソンを前線に。最終ラインには川崎Fから長身DFの箕輪義信を補強し、攻守両面のレベルアップを果たしてリーグ再開に臨んだ。そして「チーム力がアップしたのは間違いない」と三浦俊也監督が振り返ったように、強豪・G大阪に2−4のスコアで敗れはしたもののアンデルソンが前線で起点を作る動きをこなし、箕輪がハードなタックルで相手の攻撃を潰すなど新加入選手が活躍を見せてくれた。もちろん、アンデルソンも箕輪も札幌に加入してまだ1試合目なので、ここで評価を下すのは難しい。だが、今後に期待を抱かせるだけの存在感は示したと言っていいだろう。
ただし清水のように、先制点を奪われてから逆転をするという展開にまでは持ち込むことはできなかった。やはり札幌のように全体としての守備をベースとして戦うチームが相手に先制点を与えてしまった場合には、その後の時間帯では攻守のバランスに変化をつけなければならないため、どうしても難しい展開になってしまうという事実もあらためて突きつけられた印象だ。
とはいえ、である。リーグ再開を黒星でスタートさせてしまったが、内容に目を向けるとポジティブに捉えられる部分は幾つもあった。まず、G大阪に2度もリードを許してしまいながらも、そこから貪欲にボールを前へと運ぶ姿勢を失わず2度詰め寄っている。中断期間が明け、勝利を追い求めようとするチームのメンタリティがタフになったような印象を受けた。そして2得点をともにセットプレーから奪っているという部分も見逃せない。現代サッカーにおいてセットプレーというのは勝負の大勢を左右する重要なポイントであるし、昨季の札幌の大きな得点源でもあった。そのセットプレーの攻撃力がここにきて高まってきた感もある。敗れはしたものの今後に期待を持てるリスタートと評してもいいのではないだろうか。パス能力を持つDF西嶋弘之も負傷から復帰し、そのおかげでポゼッションの質も高まっている。
そしてこの札幌−清水戦は今季初めての厚別競技場での試合となる。札幌ドームという全天候型の近代的なスタジアムがあるものの、厚別は札幌というクラブ全体にとっても多くの歴史を残してきた重要な場所。札幌はこの厚別開幕戦をきっかけとし、浮上の波に乗りたいところだ。水曜日にナビスコカップの鹿島戦を敵地で戦った清水にとっても、湿度の高くない北海道の試合ということで7月のデーゲームとはいえ運動量もそう大きくは落ちないはず。アグレッシブな好ゲームが見られそうである。
以上
2008.07.03 Reported by 斉藤宏則
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