7月5日（土）J1 第15節 東京Ｖ vs 千葉（18:00KICK OFF/味スタ）
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大宮、千葉、京都と続く中断明け３試合を「全勝は簡単ではないけど、せめて勝点１以上ずつを拾って乗り越えられれば、４試合目の（首位）浦和戦に良いモチベーションで挑める」（DF土屋征夫）と東京Vが描いた青写真は、残念ながら前節のJ１再開初戦・大宮戦で早くも崩れ去ってしまった。さらに「開始１５分のゲームの入り方は特に集中しなければ」（土屋）と意識していたにもかかわらずの立ち上がりわずか４分での失点は、統一感に欠けたチームの現状を露呈していたと言えるのではないだろうか。「自分たちのサッカー以前の問題」とMF福西崇史が指摘するように、今まず東京Vが確立しなければいけないのは『まとまり』。この試合も、『チーム統一』が最大のテーマとなるだろう。

　最大の鍵となるのが、フッキ、レアンドロのブラジル人２トップの存在だ。中断中、新戦術の刷り込みとコミュニケーションを深めるためにと行われた合宿に、肝心の両人とも遅れての合流となった。その影響でコンディション、戦術理解度とも不完全のまま迎えた前節は、やはりチームとして機能しなかった。揃って途中交代した後、合宿でも結果を残していたFW平本一樹、飯尾一慶が入ったことで良い流れになったのは一目瞭然だった。「あれで両選手とも、勝手ばかりやって結果を残さなければ容赦なく代えられると思い知ったはず。悪かったらたとえ前半でも代える」と、柱谷哲二監督も厳しい口調で話す。この１週間でフッキ、レアンドロがどこまで戦術理解を深めることができたか。勝負の大きな分かれ目となりそうだ。

　その一方で、柱谷監督が大きく評価するのが日本人FWの成長である。「平本、飯尾が少ない出場時間（前節、後半残り１４分間出場）の中でも良いパフォーマンスを見せてくれたし、MF河野（広貴）も一段と成長している。選択肢が増えたことで、調子の良い選手をどんどん使っていろいろな戦い方ができる」と柱谷監督。ブラジル人依存からの脱却こそ、チーム力アップの最善策となるに違いない。この試合こそ残念ながら登録が間に合わず出場叶わなかったが、元日本代表FW大黒将志の加入も含め、日本人攻撃陣の活躍にはぜひ注目したい。

　対する千葉は、一時の低迷時からはすっかり抜け出したようだ。２日（水）に行われたJリーグヤマザキナビスコカップ準々決勝・名古屋戦で、アレックスミラー監督就任から７試合目で初の黒星を喫したものの、チームとしては着実にステップアップしている。

中でも最も大きな変化といえば、守備ラインが整備され安定感を増したことではないだろうか。これまで１試合３失点、４失点と大量失点試合も少なくなかったが、ミラー体制になって以降は最低でも２失点（６/８ヤマザキナビスコカップ予選・川崎F戦）、それ以外は１失点もしくは無失点に抑えている。２日の名古屋戦でも敗れたとはいえセットプレーからによる１失点のみだった。
　ただ、セットプレーからの失点が２試合連続となったことは課題だろう。流れの中では耐え凌げる強さがあるだけに、ペナルティエリア付近では不用意にFKを与えないなどの確認を今一度徹底させたいところだ。

　守備に比べ、若干不安視されるのが決定力不足か。ここまでリーグ戦１４試合では２点以上挙げた試合は２試合しか無い。この先勝ち続けて順位を上げていくためには、得点力は欠かせない条件となるだろう。名古屋戦では拾えなかったセカンドボールを奪えるか、レイナウドを起点とし、MF新居辰基、谷澤達也らが絡んで厚みある攻撃ができるかが、千葉の最大のポイントとなるだろう。

　「良い内容で勝たないと。ただ何となく勝っても先につながらない」と福西が言うように、東京Vにとっては『良いムードで勝つ』ことが目下の課題である。そこで一役買いそうなのがフランス、イタリアと渡り歩いてきた大黒だ。海外外国人コンプレクスの無い彼は、合流わずか３日で日本人、ブラジル人両選手たちともすっかり打ち解け、良いパイプ的存在となりつつある。今節はピッチ上での貢献こそできないが、明るい雰囲気をもたらしたことで早くもチーム勝利の貢献につながるかもしれない。

以上

2008.07.04 Reported by 上岡真里江