7月13日(日) 2008 J2リーグ戦 第26節
甲府 3 - 1 熊本 (18:33/小瀬/10,500人)
得点者:19' マラニョン(甲府)、54' 秋本倫孝(甲府)、71' 小森田友明(熊本)、89' 久野純弥(甲府)
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高校時代は埼玉県のストライカーだった国営放送のアナウンサーと「マラニョン、当りじゃない?」って言い合ったのはキックオフから10分後だった。5分後には「サーレスも結構いいよ〜。面白い」という話になり、19分にCKからマラニョンのヘッドが決まると、前線にボールが収まるサッカーの素晴らしさを楽しめることを確信した。記者席から右後ろを見上げると、マラニョンとサーレスをブラジルから連れてきた強化育成部長と目が合った。クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド、ポルトガル代表)のようなチャーミングなウィンクは出来なかったけれど、お互いに右手を突き出して親指を立てた。進退を賭けて補強を行った強化育成部長に笑顔はなかったが、親指が思いっきり反り返っていた。
雨の中、甲府も熊本も慎重なプレーでこのゲームをスタートさせた。前線にボールが収まっていたから手応えを感じながら甲府のプレーを観ることが出来たが、その理由は前線だけではなかった。シンプルに裏を狙ってくる熊本の攻撃に、DFラインが自分のゴールに向かって走らされる守備を強いられることも覚悟していたが、秋本の存在がそれを防いだ。ゴルフのドライバーのようなヘディングは距離が出るから、セカンドボールが拾えなくても相手ゴールに向かってボールを奪いに行くことが出来た。もっとも、秋本は「ドライバー・ヘッド」では満足できないようで、「世界は距離だけじゃなく、それを味方に繋いでいる」とアイアンのようなコントロールも求めている。彼のようにDFラインに信頼できる壁が出来ると、他の3人や中盤のプレーにも余裕や安定感が出て、甲府のストロングポイントが活きてくる。
ここ3試合いい流れだった熊本はボランチを中心にいい形でボールを奪いに行く場面もあったが、監督や選手のコメントにあったように、奪った後のパスが繋がらずに甲府を助ける形になってしまった。それでも、木島と高橋のワンタッチパスのコンビネーションで甲府のサイドを崩す場面もあった。が、その回数は少なすぎた。逆に、甲府の前線にボールが収まるから前からボールを奪いに行くことが出来ずに、引いて網にかけることを選択せざるを得ない場面が多くなった。センターバックの金狼コンビ(上村、河端)はハードマークで起点を潰しにかかるが、甲府の3トップの中央・サーレスは期待以上に耐えることが出来る選手だったから、甲府の直接FKが28回(熊本は18回)という数字になって返ってきた。
54分にはCKから秋本の軸足シュートが決まって小瀬のマラニョン・サーレス祭りが加速した。熊本は「林のところでマッチアップしたかった」(池谷監督)という狙いで小森田を投入して中盤をダイヤモンドにし、祭りを終わらせようとする。そして、その狙いが当たって小森田が71分に林の目の前でダイビングヘッドを決めた。これまでなら1点差になったことで、「ミスをしたくない」という気持ちがニョキニョキと出てくるのだが、前線にボールが収まるから甲府は前へのパワーを失うことはなかった。不安定だったシーンは少なく、時計の針が45に近づくと時間を潰しながらチャンスを突くという強かさも見せた。それが、アシスト王・大西が演出した89分の久野のダメ押しゴールに繋がった。マラニョン、サーレスの加入と彼らがデビュー戦で見せた存在感でFW陣は危機を感じないわけにはいかないが、イケイケの久野は普段から120%だから危機感があるのかどうか分からないほど熱く、(交代した)2人がいなくてもゴールを決めるという意地を見せた。だから羨ましいほど女性ファンも多い。
前評判ではマラニョンの方が良かったのだが、サーレスも期待以上の選手だった。だが、「ダントツで優勝」なんて強気でシーズンに入ったものの、昇格争いに関係なさそうな順位をウロウロしたことで謙虚というか弱気になっていた部分もあった。マラニョンが、金持ちのプードルを散歩させるようなドリブルをしたとしても失望しないサーモスタッドを心の隅に準備していたけれど、ゲームが終われば「(川崎Fの)ジュニーニョに近いタイプかなぁ」なんて気分になっていた。彼の強烈な切り返しは、飛行機でやってきた舶来品。やれることはもっと多いだろう。先制ゴールのヘディングは素晴らしいジャンプ力だったが、あのゴールが「プロになって2回目のヘディングのゴール。1回目はプロデビュー戦、へへっ」とハニカミながら言ったのには驚いた。まだまだ驚かせて欲しい。
ただ、2位(C大阪)、3位(鳥栖)を見上げると勝点は42。残り試合数を考えると、13点(甲府は勝ち点29)の差は小さくはない。しかし、今節最大の収穫はみんなが「追いつける」という気持ちになることが出来たこと。気持ちが一緒になれた。昼の試合でも雨が降っていても「輝く夜空」を何度でも歌ってやる。次節の水戸戦(ホーム・7月20日。@3連休のど真ん中)は当然のこと、第28節(7月26日)のアウェイ・鳥栖戦にも行きたくなったサポーターは多いんじゃないだろうか。相手が嫌になるほど、「輝く夜空」を歌うために。
以上
2008.07.14 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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