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【J2:第28節 山形 vs 草津】レポート:アクシデントが流れを一変!? 数的不利の山形が形勢を立て直して1−0と勝利! 草津は攻めに攻めたが無得点に終わる(08.07.26)

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7月25日(金) 2008 J2リーグ戦 第28節
山形 1 - 0 草津 (19:34/NDスタ/4,132人)
得点者:53' 長谷川悠(山形)
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 この1週間、アプローチの厳しさを重点的にトレーニングしてきた山形。最初のうちこそ連動したプレスで守備の立て直しがはかられたかに見えたが、スタートでは右サイドにいた草津・熊林親吾が中盤の底にプレーエリアを移してさばき始めると、それも怪しくなってきた。ノープレッシャーでの的確な配給に、一歩遅れてアプローチに行くもかわされ、そのまた先でもかわされ……繰り返すうちに、流れはすっかり草津のもの。前半5分、右から崩して最後はバイタルエリアに現れた島田裕介がミドルを打ち込むと、前線の高田保則は、この日コンビを組むことになった山崎渡と交互に、後方からボールを引き出しながら山形のスペースを攻め始めた。前半10分には熊林からの縦パスに抜け出し、左からシュート。前半14分には左タッチ際で起点をつくり、山崎のオーバーラップを促した。

 ようやく山形が反撃を見せたのは前半16分。GK清水健太のゴールキックをリチェーリがヘッドで流し、これを受けた長谷川悠がターンからシュート。しかし、これも反撃ののろしにはならなかった。この日はボランチに預けられる機会が圧倒的に少なく、遠目から2トップに当てるようなラフな攻撃が目についた。徐々に左サイドバック石川竜也へボールが集まり始めるが、クロスの先に誰もいないなど、受け手との間に問題を抱えていた。

 草津の圧倒的優位。そうしたなかで起きたのが、前半31分のアクシデントだった。右サイド深い位置で起点をつくった北村知隆が、右サイドに見える広大なスペースへリチェーリを走らせるパスを出すと、対応するはずの田中淳が足を滑らせ転倒。キーパー本田征治とリチェーリの1対1。しかし、スピードに乗ってペナルティーエリアへ入ったところで、カバーリングに入ったペ スンジンが斜めに戻りクリア。止まれないリチェーリはそのままペと交錯するが、このプレーに対し、リチェーリにイエローカードが提示された。前半24分に続き2枚目の警告となったリチェーリはここで退場。残り60分ほどを、山形は10人で戦うことになった。

 しかし、ここで思わぬ化学反応が生じる。小林伸二監督は、トップに長谷川を残した4−4−1をリトリートさせることで裏のスペースを狭め、2ラインをコンパクトにセットすることで、草津が縦に入れるパスも奪えるようになってきたのだ。1人退場者を出したことで、奇しくも「向こうにしっかり引かれてブロックをつくってディフェンスされるのが僕たちは嫌でした」(草津・松下裕樹)という戦術に移行した山形は、39分のFKと43分のCKでマークを外した長谷川が惜しいシュートを放つが、その余韻とともに前半を折り返した。

 石川のFKにレオナルドがフリーで飛び込み、後半に入っても山形から得点のにおいは消えていなかった。すると後半7分、崔のマークについた佐藤健太郎がプレスをかけてサイドへ追いやる。左右に振られても粘り強く対応し、最後にはタッチの外に蹴り出したプレーに、スタンドが大きな歓声に包まれた。背番号12の力強い援軍だった。均衡が破られたのはその直後。レオナルドのパスカットから、秋葉勝を経由し宮本卓也がシンプルに裏へ送ったボールを宮沢克行が追った。ペナルティーエリアを出て処理しようとしたGK本田は、大きくクリアするよりも一発でくさびを入れ決定機へつなげようとしたが、そこに落とし穴があった。ミスキックした先にいたのは味方ではなく、敵の長谷川。「止めちゃったら(キーパーが)戻る時間ができるので」とワンタッチで跳ね返したボールは、無人のゴールマウスに吸い込まれていった。

 1人少ない相手に先制を許した植木繁晴監督は、ボランチ2人を下げ、秋葉忠宏と後藤涼を投入。1ボランチ気味の秋葉忠の後ろにはセンターバックの2人とキーパーだけ。両サイドバックもおそろしく高い位置をキープしたまま、山形を一気に押し込んだ。後半26分、山崎に代わって鳥居塚伸人が登場してバイタルエリア付近で起点ができると、熊林がフリーでミドルシュートを放つなどシュートの数を増やし始める。しかし、決死の覚悟で守る山形の牙城を、草津のラストパスとフィニッシュの精度が乗り越えるまでには至らなかった。熊林のスルーパスを受けた高田のシュートはバーのはるか上を越えていき、崔成勇、寺田武史の両サイドバックもクロスの本数こそ多いものの、窮屈な状態でプレーするゴール前では生きなかった。

 後半36分の寺田のミドルがGK清水の好セーブに阻まれ、CKからの田中のヘディングシュートが枠をそれると、緊張の糸が切れたように草津はイージーなミスを連発。さらに声量を増したサポーターの応援を受けた山形は、最後の力を振り絞るようにカウンターを仕掛ける。後半40分、途中出場の渡辺が左スペースへ飛び出して起点をつくり、最後は秋葉勝のスルーパスから北村がシュート。また、後半43分に登場した太田徹郎は、直後のドリブルでペを2度目の警告で退場に追い込むと、ロスタイムには左から巻いてファーポストに当てる惜しいシュートも放った。追加点はならなかったが、1点を守りきった山形が勝点3を手にした。

 草津のゴールへの執念は実らなかったが、植木監督は「向こうが退場するまでは思いどおりのサッカーができたと思っていますので、これをいい糧にして次に進んでいければと思っています」と、今後もブレずに前進する意気込みを語った。心配される決定力に関しても、「サイドから崩せてますので、中への入り方とかいう工夫で、もうちょっと点を取れるかなというふうに思います」と、焦らずに見つめるつもりだ。7月は未勝利に終わった草津は、6月の輝きを取り戻せるのか。愛媛、水戸と続く第2クール残りの2試合で大きなヤマ場を迎える。

 早い時間に数的不利になった山形は、開始時に22.5度という涼しさも、あるいは次節に試合がないということも総動員して、厳しい状況を乗り切った。勝点を47まで伸ばし、2位をがっちりとキープ。前節・徳島戦同様、厳しい戦いのなかで勝点3をつかんだことで、担当記者たちの間では「昇格するチームの勝ち方ではないか?」との声も聞かれている。ただ、立ち上がりから自分たちの形がつくれず、一方的に流れを渡してしまった姿は、昇格チームにふさわしいそれではない。3連敗でいったんギアを落とし、今は再びアクセルを踏み込めるようになった状態。課題を修正し、精度を上げていくことでギアをひとつずつ上げていく過程だが、厳しい道だからこそ楽しいという昇格レースのパラドクスが、8月の向こうで待っている。

以上

2008.07.26 Reported by 佐藤円
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