7月27日(日) 2008 J1リーグ戦 第19節
大宮 0 - 0 清水 (19:30/NACK/10,193人)
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試合開始予定時刻の18:00を待ち構えていたかのように突然激しい雷雨が降り出したため、天候回復を待って約1時間半遅れてのキックオフとなった。
4連敗中の大宮・樋口靖洋監督は試合前、連敗を止めるために「走り勝つ」ことを強く求めたが、立ち上がりから大宮の選手たちはこれに応えた。
「良い形でボールを奪うことが良い攻撃につながる」というチームのコンセプトから、自分たちから積極的にボールを奪いにいく。特にFW吉原宏太が前線からしっかりとプレスをかけボールを奪ったことで、何度も攻撃の起点となっていた。
また、ボランチの小林慶行、佐伯直哉らも非常に効き、清水が1本で狙ってくるDFラインからのロングボールに対してもきっちりと対応し、FW西澤明訓、矢島卓郎にボールが入るのを遮断した。しかし、主導権を握り、ボールも保持できていながらも、中盤から前線に入れて形を作ろうとするところであっさりと奪われるシーンが目立つ。フィニッシュまではなかなか持っていけない時間が続いた。
この試合、中盤のサイドをいつもと左右入れ替えていたため左を担っていた小林大悟が、積極的にFWの位置まで上がりゴール前の枚数を増やしていたが、肝心のラストパスが出ない。逆にボールを奪われカウンターをくらう場面も多くチーム全体の運動量が徐々に落ち、ペースは清水へと流れて行った。
序盤こそ大宮の厳しいプレスに防戦一方だった清水だが、中盤で相手の攻撃途中のボールを奪えるようになると、そこから即カウンターを仕掛けていく。前半7分で負傷退場したMF藤本淳吾に代わって入った左サイド兵働昭弘、右サイドバックの市川大祐らが一気に上がって好クロスを入れるなどチャンスを作り出す。だが、こちらも決定機を逸した。
前半の終了間際になるとお互いにカウンター狙いの展開となったが、互いに決めきれず0−0で前半を終える。
後半に入ると、カウンター合戦の様相はより色濃くなっていった。特に後半残り15分は、FW森田浩史が「ノーガードの打ち合い」と表現したように、攻守が瞬く間に入れ替わるオープンゲームとなった。
そんな中、ゴールネットが揺れたのはただ1度。
後半42分、橋本早十からのパスをラフリッチが頭で折り返し、森田が倒れながらも左足で強烈に叩き込み大歓声が上がった。が、これは折り返したラフリッチのオフサイドと判定されノーゴールとなる。
その前にも大宮は後半30分、中盤で奪って短くふわりと浮かせたところを森田がうまく頭で触り、清水DFの頭上を越えたボールにデニス マルケスが抜け出し、完全にフリーとなってGK西部洋平と1対1の場面を迎えたが、トラップが長くシュートを放つ前にGK西部がキャッチ。大宮にとっては確実に決めなければならない最大のチャンスを逃してしまった。
清水も後半23分、得意のセットプレーから2本立て続けに大きな場面を迎えた。どちらも兵働の右CKから。1本目はファーサイドで岩下敬輔がヘディングで狙ったがDFがクリアし再びCKを得る。続く2本目は、CKのボールを直接対処した大宮DFレアンドロのクリアボールが強烈にGK江角浩司へと向かい、あわやオウンゴールかと思われたが、江角の好判断もあってゴールにはならず。
両者とも決定的場面は作り出したものの、結局試合を決める1点を奪うことができず、スコアレスドローの痛みわけとなった。
5試合ぶりに勝点を手にした樋口監督は「勝てなくて悔しい思いはありますが、連敗を止めたことは1つ前向きに捉えたい。球際の激しさ、セカンドボールを取る意識、前に行くアグレッシブさがいつも以上に出せた」と及第点を与えた。しかし、小林慶は「ハードワークと言っても、それがメインであっては意味がない。どこでハードワークするのかが問題。ボールを奪った瞬間の切り替え、セカンドボールを拾った後どう動くのか、どのタイミングで真ん中にぶつけるのか、くさびとして入るのか。ただパスを回していても横パスだけでは主導権を握っていることにはならない。そのあたりをもっと意識して戦うことが今後の課題だ」と話した。
一方、長谷川健太監督も「最後まで集中力を切らさず、アウェイでタフなゲームができている」と内容を評価したが、負傷交代した藤本が検査の結果、腓骨(ひこつ)骨折と診断されたとの報道もあり、長期離脱の可能性が高い。今の清水にとって非常に痛いところだ。この試合でも代わりに入った兵働を筆頭に、チームとして主軸の穴埋めをいかにしていくかが今後の最大のポイントとなりそうである。
試合開始が90分遅れるというアクシデントで非常に難しいゲームとなったが、「強いチームというのはこういう試合でもしっかりと勝てるもの」と、両チームの監督・選手全員が差を改めて感じたようだ。
その差を、大宮は次節まで約2週間空く中で、一方清水は8月6日にヤマザキナビスコカップ準々決勝を戦いながら確実に埋めていきたいところだ。
以上
2008.07.28 Reported by 上岡真里江
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