7月27日(日) 2008 J2リーグ戦 第28節
湘南 4 - 1 熊本 (19:03/平塚/4,350人)
得点者:14' 小森田友明(熊本)、41' 石原直樹(湘南)、64' 加藤望(湘南)、77' 菊池大介(湘南)、89' 三平和司(湘南)
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北京五輪出場を決めた湘南ベルマーレビーチバレーチームの白鳥勝浩と楠原千秋がハーフタイムにピッチで決意を語っているころ、湘南のロッカールームでは指揮官がゲキを飛ばしていたという。
「気持ちの部分もプレー面でも、前半はなにか一体感が足りなかった。それぞれの考えがすこしずつズレていたので、まずは気持ちをしっかり合わせようと、そしてプレー面を整理し、後半のピッチに送り出した」
たしかに前半の湘南は、11本というシュート本数が示すとおり試合開始からそれぞれが積極的な攻めの姿勢を見せる反面、パスが合わないなど出し手と受け手とのあいだに細かいズレも見受けられていた。そしてこの微妙な綻びを生んだのは、熊本が序盤のうちに挙げた先制点かもしれない。
13分、中盤での奪い合いからボールを手にした熊本は、左サイドの山内祐一から中央の山本翔平へと送る。山本はワンタッチで相手DFの裏を狙い、そこに小森田友明が抜け出す。小森田のシュートはGK金永基に一度は阻まれるものの、こぼれ球を自ら頭で流し込み、ゴールネットを揺らしたのだった。
しかし微妙なズレが生じていた湘南にとって大きかったのは、それでも前半のうちにビハインドを取り返したことだろう。41分だ。右サイドの臼井幸平から田村雄三、坂本紘司を経て逆サイドに展開する。「トレーニングでもやっていた」という鈴木伸貴の右足クロスは相手DFのあいだを捉え、入り込んでいた石原直樹がヘッドで合わせたのである。
ゲームを振り出しに戻し、指揮官のもとベクトルを再確認して迎えた後半は果たして、湘南が坂本のミドルを皮切りに猛然と襲い掛かった。2トップと中盤、さらに臼井と鈴木伸の両翼が波状攻撃を演出し、また田村雄三をはじめとする果敢なディフェンスも見逃せない。ただ、ゴールネットを揺らせぬまま15分も過ぎれば、どこかで流れが変わってもおかしくなかったろう。その微妙な時間帯に得点をもたらしたのは、臼井のハードワークがきっかけだった。前半の同点弾の契機となる攻撃参加をはじめ、この日誰よりも長い距離を走ったのではないかと思われる右サイドバックは、敵陣に転がったルーズボールをタッチライン際で捕獲するとすかさずパスを出した。これに反応したのが、おなじく前半から縦横無尽に活き活きとピッチを駆けていた菊池大介である。まえに向かっていく自身の特長を今週のトレーニングで示し、この日初めてスタメンに抜擢された17歳は、ペナルティエリアに侵入するや相手のファウルを誘う。そうして手にしたPKを加藤望が冷静に沈め、湘南が逆転に成功した。
猛攻はなおも終わらない。57分に投入されていた三平和司がミドルを狙い、坂本は加藤とのワンツーから相手ゴール前に躍り出た。湘南の追加点は、こうした途切れぬ積極性から生まれる。77分、途中出場の大山俊輔を起点に石原、三平と繋ぐ。三平が落としたボールに反応したのは、またも菊池だった。三平が左へ、石原が右へ開いたところで右足を一閃、J2最年少ゴールを相手DFのあいだから鮮やかに貫いてみせた。
防戦を強いられた熊本もその後、途中出場の木島良輔のミドルやワンタッチでリズムよくパスを繋ぎ、反撃を目論んでいる。だがゴールを奪うまでには至らず、逆に湘南は大山のクロスから三平が反転シュートをねじ込み、J初ゴールとともにゲームを仕上げた。
敗れた熊本の池谷友良監督は、「継続」という課題を口にした。こと前半は粘り強く戦っていただけに、一瞬時間が止まったかのような同点の場面から後半の展開が悔やまれる。1週間後には、第1クールにアウェイで苦杯を舐めた徳島を鴨池に迎える。開幕からDFラインを支えてきた河端和哉の負傷退場が気がかりだが、ホーム連勝とともに星を取り返したいところだ。
一方、前回のホーム愛媛戦に続く4−1と、スコアだけを見れば快勝に映る湘南だが、しかし指揮官の表情は険しい。「大勝だとはけっして思っていない。またつぎもアウェイでの厳しい闘いが待っているので、なんとかしっかりと勝点を持ち帰りたい」菅野将晃監督は引き締めた。つぎの戦地は博多、篠田善之監督に代わり、前体制とあわせて目下4連勝中と上向きの福岡と闘う。今節すべての選手が見せたハードワークと後半に示したイメージの共有、そしてチームの結束は紛れもない。熊本同様に継続し、難敵との一戦にあらためて向き合いたい。
以上
2008.07.28 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
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