7月30日(水) 2008 J2リーグ戦 第28節
愛媛 1 - 0 徳島 (19:04/ニンスタ/7,809人)
得点者:63' 大木勉(愛媛)
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またしても、という言葉しか見当たらない─。
徳島は勝利するために最も改善が必要と思われた課題を、この特別な一戦でまたもや引きずってしまった。前半から後半序盤までで幾度かの好機を作りながら決めきれず。しかもそれをハッキリと出してしまったのは、このゲームにおいては新加入のブラジル人FWソウザであった。まさかチームの悪い部分がいきなり伝染したわけではないだろうが。
いずれにしても、徳島は四国ダービーで再び敗れた。言い訳の出来ないダービーマッチ連敗。そして、一体いつチームは『決定力の欠如』という課題を乗り越えられるのだろうか。
徳島は加入して間もないFWソウザとMFアンドレジーニョを先発で登場させた。徐々に図られてきたとは言えまだ合流から2週間で周囲との連携はもちろん十分なはずもないが、途中出場させて上手くいかないよりも、上手くいかなければこれまでのベースに戻すという美濃部監督の意図がそこにはあったように思われる。ただ、結果的に見ればこの起用は全く悪くなかった。特に前半はアンドレジーニョからソウザへとラストパスが供給され、この2人であと一歩のシーンを作り出す。さらにソウザはオフサイドと判定されたものの麦田のクロスを得意のヘディングで捉えてネットを揺らした。
しかし前半終了間際、徳島にとっての大きな決定機をこのソウザが逃してしまう。これも左サイドを抜け出たアンドレジーニョからの折り返しだったが、愛媛GKとDFラインの間に入ってきた絶好のボールを空振りのような形で触ることが出来なかった。さらに迎えた後半もビッグチャンスを掴んだのはソウザ。ペナルティエリア内で短いパスを受けて愛媛DFを巧みに外し至近距離からフィニッシュを放ったのだが…。きっと昨日は彼の日ではなかったのだろう。
とは言え今日の敗戦の理由をそこだけに置くことは決して出来ないはず。指揮官も試合後「ボールをもう少し握りたかったし、中盤でボールを動かしたかったがそれが出来なかった」とコメントしたが、この戦いでの徳島は最近の数試合に披露していた中盤の構成の良さを明らかに失っていた。攻撃のカギとなるはずの両サイドDF麦田和志、藤田泰成に効果的なオーバーラップがほとんど見られなかったことがその何よりの現れであろう。今や大黒柱とも言える倉貫一毅、さらに米田兼一郎もが愛媛の激しいチェックにさらされたことで両翼を活かすタメが消えてしまっていたのは間違いない。
さらに、全体的な出来としては問題のなかった守りも一瞬とは言え甘さを見せた事は反省しなくてはならない。確かに得点を決めた愛媛FW大木勉の見事なトラップからのシュートは賞賛に値するプレーだったが、一番の危険地帯であるペナルティエリア内中央へあれだけフリーで相手を入り込ませれば痛い目を見るのも当然。今後同じ過ちを繰り返さないために、どこでどうマークがズレてあのような場面になってしまったかを守備陣はしっかりと話し合い確認しておくべきだろう。
さて、これで今季の四国ダービー負け越しが決まってしまった徳島。最初の四国ダービーチャンピオンフラッグも愛媛に譲ることとなり、Jの先輩としてのプライドは今やズタズタに引き裂かれてしまったと言えよう。選手たちからはもう一度だけあるこのダービーマッチ(38節・9/27)での雪辱が聞かれたが、それを実現させるための道のりは言うまでもなく平坦ではない。冒頭に触れた大きな大きな課題をはじめとしてあらゆる部分をそれまでにしっかりとレベルアップさせなければならない。
スタジアムからの帰り際、美濃部監督はポツリとこぼした。「サポーターの皆さんに本当に申し訳ない」。それは会見でも口にした言葉だったが、改めて聞いたこの時には今の苦悩がこれ以上ないほど伝わってきた。
以上
2008.07.31 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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