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【J2:第29節 甲府 vs 仙台】レポート:また一歩進んだ甲府スタイル継続の危機(08.08.04)

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8月3日(日) 2008 J2リーグ戦 第29節
甲府 2 - 2 仙台 (18:34/小瀬/11,078人)
得点者:9' 梁勇基(仙台)、35' サーレス(甲府)、37' マラニョン(甲府)、44' 中島裕希(仙台)
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どっちも「勝てた」と思った試合。そして、現実は痛み分け。

立ち上がりが不安定だった甲府は旗の方向にイライラしながらプレーし、7分にハンドの判定でPKを献上。そして、(DF池端のハンドが)故意ではないことを主張するために独特の一言で主審に詰め寄った林が、出場停止リーチの3枚目のカードをもらう始末。見たくない光景だった。ゴタゴタが収まった2分後、「GKが左に飛ぶ気満々だった」と見切った梁がPKを右に決め、甲府は2点を取らないと勝てない戦いを強いられる。ピッチもスタンドもイライラ指数120%のまま時計は進み、24分に仙台のDF磯崎が太腿の肉離れで木谷に交代する。マラニョン、サーレスの激しいチェイスに仙台のDFが傷んでいき、甲府は徐々にマラニョン、サーレスを軸に決定機を作り始める。

そして、35分にGK桜井から出たボールを受けたマラニョンがドリブルで右サイド深く入り、切り返してからタイミングを見て上げたボールにサーレスが頭で合わせて甲府が追いつく。このゴールがイライラ指数を一気に下げ、2分後にはアシストの神様・大西が蹴ったFKをマラニョンが頭で決めて甲府が逆転。スタンドは一気にイケイケになり、マラニョンを見に来ていたJ1、J2のスカウトやあるクラブのGMの脳味噌には「マラニョン」という選択肢がインプットされた。マラニョンには、甲府は日本でいちばん住みやすい街で、他の地域はブラジル料理屋が一切なく、アフガニスタンより治安が悪く、北京より大気汚染が酷いと刷り込んでおこう。そして欲しがり屋の彼らはマラニョンがハードなチェイシングでイエローカードをもらいやすい選手であることも知った。

マラニョンは42分に2枚目のカードをもらってしまうのだ。彼が頼りになる選手ということは間違いないが、毎週クリスマスや誕生日がある訳じゃないんだから4試合で3枚のカードをもらうのはハッピー過ぎる。誕生日にカード1枚も来ないオジサンだっているのに…。それでも、2−1でリードしたまま甲府は前半を終われるはずだった。そのオジサンは取材ノートに「42分、マラニョン、イエロー2枚目で退場」と書いてから、その下に線を引いて後半に備えた。備えたかった。しかし、線を引くのは早過ぎた。甲府の選手の心のどこかに「そろそろ終わり」という気持ちがあったかどうかは分からないが、凌ぎきれなかった。仙台の中島に第4節以来のゴールを献上してしまう。前半が終わったときにストップウォッチを見ると50分40秒だった。甲府にとって、長い前半の終わり方は幸せと不幸のごった煮になった。

後半、一人少ない甲府は中盤の三角形は変えずに3トップの残り2人、サーレスと大西を縦に並べて対応した。しかし、サーレスにボールが収まらず、ボールを奪っても攻撃が形にならなかった。その間、仙台は梁のシュートがポストに嫌われ、一柳が平瀬に合わせたクロスはGK桜井に防がれた。PKは決められたが、桜井はこれ以外にも決定的な場面を何度か防いで、1人少ないチームをよく助けた。甲府・安間監督は67分に林を下げて久野を投入し、中盤を4枚にしてサーレスの1トップに変更する。仙台・手倉森監督は永井に代えて斉藤(60分)、中島に代えて佐藤(80分)を投入して守備のバランスを崩さず3点目を狙いに来る。結果的にはどちらの交代もチームを勝利に導くことは出来なかった。安間監督は仙台が3枚目のカードを切るのを待って美尾をサーレスに代えて投入したが、結果的にはもう少し早めに攻撃的に行くべきだったし、手倉森監督は数的有利を生かして攻撃の枚数を増やすべきだったかもしれない。そうしたときの悪い結果には責任は持てないけれど…。4位の仙台は負けないことにも少しは意味があったが、9位の甲府は勝たなければならない立場。今節は鳥栖が負けて、福岡と湘南が引き分けてくれている。勝点1を守る気はなかっただろうが、振り返って考えれば、3か0かという大きなリスクを背負うべきだった。

「(点は取れるようになっているから)何とかなる」。試合後、甲府の主力選手が言った。しかし、何とかなっていないから10位(第29節終了時点)にいる。変な自信が邪魔をする甲府の選手からは危機感が伝わってこない。残り15試合で3位・鳥栖とは勝点差は12。2位以下の上位がモタモタしてくれているからチャンスはある。確かに点を取れるようにもなってきているが、今のままなら毎試合4〜5点取れないと大型連勝なんて出来そうにもない。次節はマラニョン先生なしで徳島にアウェイで勝たないといけない。頼りになる先生がお休みでも徳島に勝たないと希望が繋がらない危機がある。

甲府の選手がボールを大事にするスタイルで点を取るサッカーをしたいのは分かるし、それが甲府の誇り。でも、このままの成績では信頼する安間監督とサッカーを続けることが出来なくなる日が“突然”やって来る可能性がある。でも、誰もそんなことは望んでいない。今の甲府が直面している危機はJ1復帰が危ういのではなく、甲府スタイルを継続できるかどうかの危機。相手の守備のバランスを崩すためにドリブルで突っかけて勝負しないとマラニョンとサーレスの頭に合わせるゴールしか生まれない。サーレスが一歩出遅れて合わなかったが、84分に藤田が相当頑張ってドリブルで切り込んで決定的なクロスを入れた。このようにパスだけではなく、ドリブルで勝負して相手のバランスを崩すシーンをもっと増やさないとパス回しが活きてこない。スタイル継続の危機にいることを選手はいつになったら気がつくのだろうか。

以上


2008.08.04 Reported by 松尾潤
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