8月16日(土) 2008 J2リーグ戦 第31節
仙台 0 - 1 山形 (19:04/ユアスタ/17,537人)
得点者:78' 豊田陽平(山形)
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仙台はダービーを落とした。これでダービーにおいて、1999年以来となる負け越し決定である。
だが、過去からのデータを云々するより、この試合の内容そのものが、仙台にとっては悔しく、歯がゆく、そして今後に改善の必要性を感じさせるものとなってしまった。
仙台はスタメンに、出場停止が関連したものを除いても2つの変更を加えてきた。DFラインに木谷公亮を復帰させた他、ボランチにも永井篤志を2試合ぶりにスタメンに返り咲かせ、斉藤大介加入後初となる、永井と斉藤のダブルボランチを敷いた。
その効果はすぐに見えた。木谷は手倉森誠監督が「相手が引いている守備陣形に対して、しっかりしたビルディングアップからいこうとしたときに、彼はそういうところに特長がある」と試合後に語ったように、最終ラインから一発で前線の足元にパスを当てるなど攻撃にアクセントを加えれば、永井も第1クールの好調時が戻ったかのように、ボランチの位置から積極的に攻撃に絡んでいく。序盤から仙台がポゼッションで山形を押し込む展開が続いた。
しかし時間が経つにつれ、それが山形の仙台対策あっての流れであり、押し込んだ後に仙台が手詰まりの状況に入っていることが分かってくる。
山形はこの日、仙台の速いカウンターへの警戒から「予定より5メートルほど引き気味で守備をさせた。カウンターで点が取られる中で、入り込まれると(仙台にとっては良い意味で)単純な攻撃になり、仙台に楽にならせてしまうのかなと思った」(小林伸二監督)と、仙台の攻撃を受け止める形をとっていた。
だが仙台の2トップは、ナジソンと中島裕希。前節「自陣でブロックを組んで守る時間が多くなると予想し、取ってから出ていくことを考えた時に、ナジソンと中島はスピードがあるので、スピードの2人を並べた」と手倉森監督が語っていた通り、ゴールまでの長い距離をスピードで駆け抜け、相手の薄い守備陣系からゴールを奪うにはもってこいのコンビだったが、完全にスペースを消してきた山形の陣形に対しては、なかなかペナルティーエリア内でボールに触れることが難しい。象徴的な場面が15分、宮沢克行のトラップが大きくなったところを関口訓充が奪って前線に持ち込んだのだが、山形はサッと陣形を作りゴール前を固める。速攻を封じられた仙台は右でフリーだった永井に出すのだが、守備の選手が多い上に、仙台の攻撃陣が高さをまるで持ち合わせてなかったこともあって、出しどころのなかった永井は速くて低いボールを入れるという判断まで少々時間をかけてしまった。
中盤より後方に、ボールを動かし相手を押し込める面子を揃えたまではよかったが、相手も引いて守ったその後でフィニッシュにつなげられる要員が前線にいない。この矛盾した展開が、仙台の前半の全てだった。
さらに、前半からのこうした流れが運動量の低下と共に失われていった後半、仙台は「次の手」が打てなかった。山形がサイドに起点を作るためのスペースを見つけて、前半とは対照的に仙台を押し込み始め、それもあってか仙台の中盤が前に出られないことから、前線と後方が分断されるという展開となった60分過ぎからのこと。山形は60分に豊田陽平を入れたことにより、山形優勢の流れをさらに加速させてきた。しかし仙台は、69分に中島に代えて平瀬智行を投入はしたものの、それはゲームの流れを変える類の交代ではない。そもそも平瀬を入れて高さが増したとしても、もう豊富に人数をかけて押し込み、サイドに綺麗に展開できていた前半のような流れは仙台になかった。例えば動きが前半に比べると落ちてきた永井を下げて、前節のようにボランチからサイドに飛び出していける富田晋伍を入れる、あるいはもっと積極的に佐藤由紀彦を入れるなど…前節と違い、勝ちにのみこの試合の意味があった仙台こそ動くべきだったと思われるのだが、仙台ベンチは現状のままでの打開を期待した。
しかしその判断は、最も悲劇的な結末を生む。間延びした中盤が、ハーフウェーラインの手前でボールを失うと、山形は素早く左サイドへボールを供給。宮沢克行から鋭いボールがニアに入ってくると、飛び込んできた豊田が千葉直樹に競り勝ってヘッド、逸らされたボールは林卓人の手をかすめ、ネットに吸い込まれていった。
リードをされた仙台はそれから5分後に、永井に代えて佐藤を入れる。しかし…繰り返すがこの試合の意味を考えれば、それでは遅かった。そのまま試合終了。試合中から降り注いでいた激しい雨が、この敗戦で自動昇格圏内の2位である山形から勝点で8離されたという事実と共に、疲れた選手、サポーターの肩にのしかかる。
残りは13試合。これをまだ十分な数ととるか、お尻に火をつけるべき数ととるかは、人それぞれかもしれない。しかし仮に考えてみよう。次節山形が勝利を収め、仙台がもし引き分けてしまったとすると、残り12試合で勝点差は10となる。「残り試合数が、ぎりぎり挽回できる勝点の差」というよく言われる説を踏まえれば、こうなるともはや危険水域。つまり仙台は、もうホーム、アウェイでどうこうではなく、勝ち続けないといけない。
厳しいことを書けば、ナジソンは今のままでは全く物足りない。そういった個々のプレーの向上も必要だし、画竜点睛ではないが、最後に点を取るための形も、相手の守備陣形によっては途端に見えなくなる。これまでも言われていた課題だが、勝点3がこれまで以上に必要になる今後は、得点力がまさに、仙台の浮沈を決める。
以上
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