8月24日(日) 2008 J2リーグ戦 第32節
鳥栖 0 - 1 湘南 (18:03/ベアスタ/6,625人)
得点者:22' 原竜太(湘南)
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今節の試合を振り返る前に、前節(第31節17日ニンジニアスタジアム)の愛媛戦を思い出してください。前半は愛媛に完全に押し込まれ、鳥栖は苦戦しました。後半に盛り返して、FW藤田祥史が2得点をあげて勝つことができました。この試合の勝因は、愛媛の守備が後半に入って緩んだことと、鳥栖がボールを動かして攻撃に厚みを付けたことでした。今節の湘南戦の敗因は、愛媛より湘南の守備の意識が高かったことと、左右を上手く使った攻撃だったと思います。
キックオフを得たのは湘南。原竜太と石原直樹の2トップは、前線から激しくボールをチェイシングしてきます。このチェイシングに、中盤の選手も連動して数をかけてボールを奪いに来ます。このアグレッシブさに圧倒されたわけではないでしょうが、鳥栖の選手は自陣に押し込まれてしまいます。こうなると、負の連鎖が続きます。クリアボールは、湘南のMF田村雄三にことごとく拾われます。DFからのロングフィードは、DFジャーンに跳ね返されてしまいます。これでは、攻撃の形を作ることはできません。徐々に湘南に押し込まれ、試合の流れは湘南に傾いていきました。
その結果が22分に訪れました。
左サイドでのセットプレーからのボールを右サイドに展開した湘南にチャンスが訪れました。右サイドMF永田亮太のセンタリングは、鳥栖ゴールを過ぎて左サイドにいた加藤の足元に入ります。ダイレクトで折り返したボールは、鋭いグラインダーのボールでゴール前に詰めていた原の足に向かいました。
「あのボールに合わせた原が上手かった」と加藤が褒めたシュートは、先制点となって鳥栖のゴールネットを揺らしました。
岸野監督(鳥栖)は、「セットプレーからカウンター。そこをしっかりと守れたか守れてないかの差が出た」と分析しました。確かに、あの左右への揺さぶりと早いクロスとダイレクトパスには、鳥栖のDFは付いていけませんでした。DF飯尾和也も「ミスはあのシーンだけ」と振り返りました。それだけ、湘南のゴールに対する意識が高かったとも言えます。前半を終了してみれば、シュート数は4本と同数でしたが、ゲームを支配していたのは湘南のほうでした。
「この試合は、勝点3を得ることが大事。内容も問いたいが、まずは勝ちにこだわりたい」と試合前に岸野監督は述べました。このことは、鳥栖の選手がみんな思っていることです。もちろん、スタジアムに駆けつけたサポーターとファンも同じ気持ちです。この気持ちを後半に鳥栖の選手が実践してくれました。
前半終了間際に主審と接触して負傷退場を余儀なくされたMF下地奨に代わって入ったMF船谷圭祐が、たびたび攻撃の起点になりました。加入後、数日で試合に出場するには大変な労力を要します。サポーターの期待と重圧も感じていたでしょう。それでも、ファーストタッチでFW藤田にピンポイントのパスを出しました。狭い間をFW金信泳にキラーパスを通しました。パスだけではなく、ボランチを組んだMF高橋義希と連動して、ボールを散らすことを行った結果、湘南の選手11名を完全に守備に押し込んでしまいました。
こうなると、右サイドDFの日高拓磨も前半と違ってたびたび攻撃に参加します。好機と見るとDF飯尾までが攻撃に参加します。湘南ゴールを割るのは、時間の問題だと誰もが思ったに違いありません。それだけ、鳥栖の猛攻が続いたのです。
しかし、サッカーはある意味理不尽なスポーツです。必死の思いでDFを崩して僅かなスキを見つけてシュートを打とうとしたら、最後の砦にGKが構えています。しかも、GKは手でボールをコントロールすることができるのです。最後の最後に強敵が構えているのです。中々得点が入らない理由のひとつですが、その理由が今節の鳥栖にも当てはまっていました。湘南の先制した1点は、鳥栖にとってとてつもなく大きな1点でした。その1点を返すことができなくて、今節は勝点を上積みすることができませんでした。
ひょっとしたら、鳥栖が湘南を押し込みすぎて、返って湘南の守備を強固にしたのかもしれません。湘南がもう1点を取りに来たならば、守備にほころびができて鳥栖がそこを突くことが出来たかもしれません。しかし、今節の鳥栖は無得点。この大きな1点は、鳥栖と湘南の勝点差を1まで縮め、3位争いを激化させる得点でした。
しかし、悲観ばかりすることはありません。次節は『九州ダービー』、鳥栖は福岡と戦います。ここで勝利を収めれば、チームに勢いが付くだけでなく、リーグ自体を盛り上げることにもなります。この盛り上がりの名脇役になることができます。『昇格』と言う、まだ叶えた事のない大きな夢の舞台に立てるのです。今節は「湘南が強かったということ」(岸野監督/鳥栖)でしたが、次節以降は誰にも分かりません。幅と厚みがある攻撃をできることを鳥栖は今節で証明してくれたので、次節に期待しておきましょう。
「夢をかなえる努力を行えば、それはもう夢ではなくかなうことのできる目標になる」と岸野監督は、岐阜戦終了後に語っていました。今節の鳥栖対湘南戦は、『昇格を目標としているチーム同士の戦い』にふさわしい、熱い試合でした。
『強いから勝つのではなく、勝った方が強い』
これが、スポーツであり、筋書きの無いドラマでもあります。スポーツには、無限の可能性と現実が同居しています。
だから、得点シーンが少ないサッカーは、得点機会が訪れるだけで多いに盛り上がることができるのです。
サッカーの魅力は、得点までの過程にも詰まっています。
以上
2008.08.25 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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